都内でリムジンハイヤーのドライバーに特化した人材事業を運営する株式会社Riozの代表を務める鶴留晃清様は、ドライバーの集客から管理まで全てを外注化して自前の工数がかからないビジネススキームを構築し、都内4大タクシー会社のひとつを主要取引先に持つ敏腕経営者です。「何もしなくても収益が上がっている状態だった事業を手放す」決断をされた鶴留様は、なぜM&Aに踏み切ったのか、その目的は何だったのか、詳しくお伺いしてまいりました。
譲渡企業 | |
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社名 | 株式会社Rioz |
業種 | 人材事業 |
拠点 | 東京都 |
譲渡理由 | イグジット |
譲受企業 | |
---|---|
社名 | 匿名 |
業種 | コンサルティング業など |
拠点 | 東京都 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
運転下手なドライバーが始めた、運転が上手なドライバーの人材事業
非常に多くの人材会社がひしめく昨今ですが、そこには私たちが普段触れることの少ない、ニッチな事業スタイルを持つものもあります。鶴留様が手掛ける人材事業は、リムジンハイヤーのドライバーに特化しており、集客から管理まで全てを外注化し、自前の工数がほとんどかからないビジネススキームを構築しておられます。
ニッチな市場に参入した上で、合理的かつ効率的な仕組みを構築するという鋭くもユニークな着想はどこから得たのか、事業をスタートした背景についてお伺いすると「元はと言えば、富裕層をターゲットとしたビジネスをやっていて、そのための顧客接点や人脈作りのために、リムジンハイヤーの運転手として働き始めたのがきっかけです。ただ、実は自分はHSP(Highly Sensitive Person:神経が細やかで感受性が強い性質を生まれ持っているとされる人のこと)なので、人に見られると気を遣いすぎてしまい、普段ならできるようなことでもできなくなってしまうんです。だから、人を乗せた運転もすごく下手で、お客様からクレームをもらうばかりでした。」
通常であれば落ち込むと思われる出来事ですが「だったら出来る人に任せれば良くね、チャンス到来と思いました。その日にドライバーを辞めて、その日に必要な仲間を集めました」とのこと。その言葉の通り、効率的な集客施策を設計できる人や、採用面談を行なってくれる人など、多くの人を巻き込んで築き上げた新規の人材事業は、順調に業績を伸ばしていったのでした。
「事業はうまくいき、めちゃくちゃ忙しく働いて稼ぎが増えました。ただ、実際に手にしたお金を見ただけでは全然楽しいと思えない自分に気がついたんです。今の自分は、お金のためだけに働いていて、好きなことのために働いているんじゃないんだなって思いました。
また、完全に外注化して自由な時間が増えたころ、六本木のホテルで生活するようになりました。そう聞くと、すごく恵まれた生活に聴こえるかもしれませんが、その時が人生で一番、鬱の状態だったと思います。人間って単純で、お金と自由があっても社会との接点をなくしてしまうと、自分の存在価値が分からなくなってしまうんです。
そんな時、突然昔の親友から電話が来たんです。“さいきん大丈夫か?”って。強がって“余裕余裕”とは言いましたが、嬉しさのあまり電話を切った後に号泣しましたね。人の役に立つ為なら、また働きたいと心から思いましたよ。だから、この事業を欲しい人に譲渡して、これからは面白い事を好きな人と一緒に出来て、目の前の人が幸せになる様な仕事がしたいと思いました」と、当時のことを振り返る鶴留様。
こうして、鶴留様のM&Aが始まったのでした。
M&Aを活用した事業拡大で、もっと面白い人に出会いたい
もっと多くの人々に出会うことで人生を豊かにしようと決めた鶴留様にとって、M&Aの目的は「桁違いな人との出会い」が一つにあるそうで、その持論を詳しくお伺いすると「毎月100万の収入があるとして、その事業を継続していけば得られる金額は年々少しずつ増えていくでしょうが、ひと月に手にできる金額は急には増えません。その点、M&Aは将来を見据えた中長期の事業価値を一括で現金化できるので、それを元手に毎月1000万の収益が出る事業を創れる可能性もあります。そうして得た月1000万の収益が出る事業を売却すれば、今度は毎月1億の収益が出る事業を創れるかもしれない、そうやって桁違いに成長していける機会を得ることがM&Aの醍醐味だと思っています」とのこと。
「そして、事業規模が変われば、人脈も変わっていくものだと考えています。もちろん、誰と話しても勉強になるのですが、上の階層にいる人たちからは多くの学びと刺激が受けられると感じています。M&Aは、そこに自分が上がるための手段のひとつだと思っているんです」とも。
事業がうまくいった後も前進することをやめず、アグレッシブに事業を展開していく鶴留様のエネルギッシュさに、お話を聞けば聞くほど驚くばかりでした。
「買取金額<買い手の人間性」決め手は、人として尊敬できる経営者だったこと
そんな鶴留様が譲渡先として最終的に選ばれたのは、東証一部に上場した某IT会社の創業者でした。
M&Aは「桁違いな人との出会い」の一つだと話し、実際に、周囲の方々との繋がりを活かして本事業を成長させてきた鶴留様に、承継先の決め手についてお伺いすると「TOP面談をして、あとは入金するだけというステータスまで詰めていった候補者は全部で3〜4人いて、彼(買い手様)よりも高い買い取り金額を提示してくださった候補者の方もいました。ですが、彼と話をしていると非常に勉強になるなと感じたことが、自分が最終的に彼を選んだ理由です。
金額面だけで決めてしまったら、きっと売ってサヨナラという形になっていたでしょうし、それでは相手にも申し訳ない上に、一緒にこの事業を作ってくれたパートナーに対しても無責任だと思いました。そうではなくて、売った後も一緒に何かをやりたいと思えるような、寄り添いたいと思えるような相手に譲渡した方が良いだろうと考えていました。
彼は、なんでも短期視界で捉えて行動に移す自分と違って中長期的に物事を考える方で、落ち着いてアクションプランを立てればよいというスタンスなんです。上場企業の社長としての器を感じましたし、自分にないものを持っているので、多くのことを学べそうだという期待が持てました。
また、相手のことを真摯に考えてくださる懐の深さもあって、このM&Aが双方にとってWin-Winの関係になるように配慮してくださったのも印象的でした」とのこと。
今後は、買い手社長様と協働しながらハイヤーの手配会社を運営し、人との関わり合いを大切にしながら社会に良いものを残していきたいとと笑顔で語る鶴留様は、独創的な持論の中に揺るぎない意思決定基準を携える素晴らしい事業家でいらっしゃいました。
鶴留様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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