WEBサービスの企画・デザイン・開発を一貫して支援する、月額定額の受託開発として事業展開を行う「株式会社プラハ」は、資格試験予備校の“アガルートアカデミー”を始めとした事業を複数手掛ける「株式会社アガルート」のグループ会社となりました。創業以来、売上が伸び続けている会社がM&Aの決断をした背景について、株式会社プラハの代表取締役社長である松原様にお話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社プラハ |
業種 | IT事業 |
拠点 | 東京都 |
譲渡理由 | イグジット |
譲受企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社アガルート |
業種 | 教育サービス |
拠点 | 東京都 |
譲受理由 | 技術力・開発ノウハウの強化 |
リクルートの同期5人で始めた本事業。きっかけは、事業者が抱える技術課題の解決
2018年10月に設立された株式会社プラハは、もともとリクルートのエンジニアとして従事されていた松原様と、会社の同期メンバー5人で立ち上げられた会社です。
スタートアップ企業に特化して受託開発をしているプラハには、資金調達を終えて更なるエンハンスをしていきたい事業者が多く発注しており、質の高いエンジニア/デザイナー集団としてこれまで3期連続の黒字経営を続けてこられました。
事業立ち上げの背景について、松原様は以下のように語ります。
「同期5人でご飯を食べながら話をしていたときに、各々が別で “副業としてでもいいから、自分たちのサービスを手伝ってほしい” という依頼を受けていることがわかりました。本当に困っている声が周りに沢山あって、だったら“本業としてみんなでやっていかないか?”という話で盛り上がまして。ほとんどノリと勢いで始めた感じですね。」
そんな引く手数多のエンジニアが集まってできた株式会社プラハは、毎年200%近い成長を続けるプロの集団として、着実に業績を伸ばしていきました。
売り上げ好調のプラハでしたが、松原様にはひとつ気がかりな点がありました。それは、社員一人一人が高い技術力を持ったエンジニアとして自立できているが故に起きてしまっていた、受託するプロジェクトの不統一感。
「会社は成長しているのですが、気づけばみんながバラバラのプロジェクトに参画しているという状態になっていました。私は採用面も担当していて、“プラハチャレンジ”というオンラインブートキャンプの運営もしているのですが、そこに参加してくれた生徒さんの中にどうしても入社して欲しいと思った方がいて、北海道まで口説きにいったこともあります。
そうやって折角プラハに集まってくれた仲間と、一緒に何かに取り組んでいるという感じがなく、“技術者として尊敬でき、気の合うプラハのメンバー全員で、ひとつのものを作っていきたい”と思うようになりました。」
これまで何度か自社サービスの立ち上げを試みたものの、期待するだけのものが生み出せなかったと話す松原様。自分たちの強み・弱みを改めて整理したときに、“作る力はあるが、一から生み出す力は弱い”ということを感じられたそうです。
「逆に、既に良いサービスを展開していて、技術者に困っている会社と手を組めば、世の中に役立つサービスに一丸となって取り組めるんじゃないか、というところから、M&Aを検討するようになりました。」
そこから、株式会社プラハのパートナー探しが始まります。
50件近い買い手からの交渉依頼。譲渡先を選んだ決め手とは?
より良い相手を求めて、バトンズを通じて引継先を探し始めた松原様。自社サービスを展開しており、自分たちの強みが活かせる会社を求めて案件公開をすると、その需要は高く、50件近い買い手から交渉オファーが入りました。
その中から松原様が譲渡先に選んだのは、資格試験予備校を中心とした、教育事業をメインに事業展開を行う株式会社アガルート。譲渡を決断した背景について、松原様は以下のように話しています。
「お話しする中で、プラハの文化や制度、採用方針などを全て一任するということを言っていただいたので、これまで私たちがやってきたことを尊重していただけるんだなというのを感じました。また、アガルートの岩瀬さんと社風や価値観について話している時に、“あれ、これって僕が言ったことかな?”と思うくらいに一致するところがありまして。この会社なら、安心してものづくりに集中できるだろうなと感じました。」
株式会社プラハでは、一時期ホラクラシーを組織形態として採用しており、 “社員を管理するのではなく信頼する”という価値観を大事にしているとのこと。そのことに共感してもらえたこと、信頼してもらえている感覚を抱いたことは、譲渡を決断する大きな要因となったそう。
「ホラクラシーは、各々が自分でやるべきことを決めるんですよね。“それだとカオスになるんじゃないか?“と思われるかもしれませんが、みんな自立した大人ですし、”何をしたらこのチームに貢献できるのか?“ということを、自分たちで考えて行動できる前提でお任せる、という考え方なんです。そういった考えに基づいてこれまでやってきた背景があって、そこをアガルートさんにも共感いただけまして。アガルートさんほどの会社規模でそれを実施していることは本当にすごいと思いましたし、信頼感を持って進めることができました。」
互いの専門性を尊重し合えるチームを基盤に、プラハは新たな挑戦へ
取材中、“信頼”という言葉を何度もおっしゃっておられた松原様に、そのことについて深堀すると「僕が思う強いチームというのは、自分の専門領域を持ちつつも、それ以外の職種の人たちを尊重し、敬意を持って接することができるチームだと思っています。
例えば、岩瀬さんは弁護士という専門性を持っているので、当然私はその分野での決定に敬意を払い、理解して業務を遂行していきたいと思います。一方で、エンジニアはシステムを作るプロとして、その領域で理論的に考えて導き出した答えに関しては、理解をしてほしいと思っています。
それぞれの職種が尊重し合い、理解を示せるかどうかは、チームを作る上で大事にしたいポイントでした」とおっしゃっておられました。
アガルートの共同創業者で取締役である岩瀬様とお会いした際、誠実さや配慮が言葉の節々に感じられたという松原様。ニーズのマッチングに加えて、価値観の共感があったことは、成約を進める大きな後押しとなりました。
株式会社アガルートのグループ会社として、新たなスタートを切る株式会社プラハ。最後に、今後の事業展望についてお伺いしました。
「プラハで培ってきた強いモノづくりチームとしての知見を、アガルートグループに横展開していって“アガルートの開発チーム、デザインチームってイケてるよね“と言ってもらえるような、日本中に轟く会社にしていきたいなと思っています。
また、譲渡先にアガルートさんを選んだ理由には ”会社の勢いがある“ ということもありました。創業からまだ10年も経っておらず、資金調達0でここまで伸びている会社を私は知りません。アガルートさんの勢いに、プラハの持つ ”作る力” が組み合わさった時に、どこまで会社を伸ばせるか?といったところは非常にワクワクしています。
プラハ単体でいうと、アガルートという心強い後ろ盾ができたことで、これまで実行できなかった攻めの投資をしていきたいと思っています。クライアントワークも分散していたところから、メンバー複数人でまとまって取り組んでいきたいですし、採用もリファラルやインバウンドのみで賄ってきたところから、より加速させた人材確保をしていきたいです。」
アガルートにあるコンテンツの強さと、プラハにある作る力。それぞれの強みを活かした相乗効果で、会社がどこまで伸びるのか。今後の企業発展に期待が高まります。
株式会社プラハと松原様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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