オンラインの学習システムが一般化していく中、学習塾や語学スクールはどのような事業展開を思索しているのでしょうか。関西の学習塾を中心に幅広く事業を行う株式会社成学社の藤田様から、2021年8月に東京都内の語学スクールを買収された経緯についてお伺いしました。
広がる日韓の文化交流。アッパーグレードの需要を満たすサービスを展開したい
株式会社成学社は、学習塾を中心に、保育園、日本語学校などを運営する会社です。また、3年前から韓国ソウルに現地法人を所有し、日本語教育や職業紹介を目的とした国際交流の事業も展開しています。
韓国に海外進出を果たした成学社ですが、コロナの状況や日韓関係の現状を考えたとき、現地のみで国際展開をしていくことに難しさを感じ、語学スクールのように日本で国際的な教育を行うという新たな事業を展開していくためのM&Aの検討を始めたそうです。
早速、日本における韓国語教育の需要に関するマーケット調査を行ったところ、若い方を中心に文化交流が多く、日常会話レベルの韓国語学習のマーケットが日本で広く展開されている一方で、アッパーグレードであるビジネスクラスの韓国語教育需要は満たしきれていないのではないか、という結論に至ったそうです。
その需要を満たすために大阪・東京で語学スクールの事業展開を進めていこうと思ったタイミングで、バトンズを通じてすでに東京で理想に近い事業を行っている会社を見つけたそうです。すでに事業として運営されている会社を買うことができれば、現在目指しているスクールのカタチに速く到達できることから、M&Aを行うことを決められたとおっしゃっていました。
<レベルの高い教育現場が、自分たちの目指す理想のカタチと一致
社長の宮内様からお話を伺う中で、消防庁や上場企業の教育を受託しているということを知り、また実際の教育現場を拝見したことで、自分たちが目指しているような高いレベルの教育をされているということを感じ、高い興味関心を寄せられたとのことでした。
成約の決め手となったのは、成学社側と宮内様との教育理念に通じるところがあったこと、これから広く展開していきたいと考えていた東京における拠点の拡大につながること、そして、宮内様が長年培ってきた歴史や教育ノウハウが魅力的だったこと。この3点が、成約するに至った大きな理由となったそうです。
大切なのは、生徒が望む教育を提供すること
今回のM&Aは、売り手に比べて買い手の事業規模が大きい案件でした。そのような場合にスクール運営をいかにシームレスに継続していくか、という部分は大きなポイントとなるはずです。その点に関して、藤田様は「私たちは、生徒さんたちからお金をいただいて成り立っている商売です。
いくら買収したからといって、先生を全部変えます、なんていうのは当然生徒さんのためになりません。生徒さんが望むカタチで教育を行うことが大切です。事業の継続性を維持していくためにも、講師の方々にもご協力いただく予定です。幸いにも、講師の方々も皆さん残っていただけるとのことですので、引き続きお願いしています。」とお話してくださいました。
社長の宮内様にも、成約後も残っていただいてアドバイスをいただいたり引継ぎを行う予定とのことです。
成学社は、事業譲渡含めこれまで10社ほどM&Aを経験しているそうです。今後も自分たちの柱となる学習塾事業を成長させていきながら、良いご縁があれば事業譲渡や株式譲渡など、いろいろなスキームでM&Aも検討していきたいとおっしゃっていました。また、事業規模が大きくなればなるほど、当然ですがM&A仲介会社へ支払う仲介手数料も大きくなっていきます。
一方で、事業規模が小さくなればなるほど、支払う仲介手数料は少なくなるものの、買収にかかった全ての金額における仲介料の割合が大きくなるということが起こります。
バトンズのようなM&Aプラットフォームは、成学社のような自社でM&Aができるチームを持つ企業にとって、規模の小さいM&Aのネックとなる仲介手数料を抑えることができるという面で、非常に助かっており、今後マーケットも大きくなっていくのではないかとおっしゃっていただきました。
M&A仲介会社の手を借りるときと比べてバトンズで自社の力のみでM&Aを進めることの難しかった部分をお伺いしたところ、「M&A仲介業者からお話をいただくときは、その段階である程度スクリーニングがされていると思います。信用ができない会社を紹介した場合は自分たちの看板に泥を塗ることになりますから。
もちろん、プラットフォームの場合もどんな会社でも登録できるというわけではないと思いますが、M&A仲介業者からご紹介いただく会社よりも、ネットで検索した会社の方が検討する上で警戒心が強くなることはあるかと思います。」とのことです。
一方で、「実際にお会いしてお話を伺ったり、掲載情報から7~8割くらいは会社の情報がわかるため、そこが条件としてクリアできれば、あとは売り手と価値観が合うか合わないか、だと思います。」とも。
関東圏の事業を伸ばし、時代に沿って多角的に展開
関西を中心に全国で300超の拠点を展開している成学社ですが、現在関東圏においても40を超える拠点があります。今後の事業展開についてお伺いすると、「40拠点といっても関東圏での知名度はまだまだだと感じているので、M&Aという手段を含めて事業を拡大していこうと思っています。
一方で、少子高齢化において現在のビジネスモデルでこれまでもずっと続けられる保証はどこにもないので、デジタルコンテンツやAI教育など、シナジー効果が見込めるものであれば積極的に検討していきたいです。」とのことでした。
成学社の今後の発展をバトンズ一同、応援しております!
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2024年10月23日
M&Aで独立して2年。近隣の調剤薬局を譲受!仙台で地域密着の調剤薬局チェーンを目指す
宮城県仙台市で調剤薬局を運営する「合同会社KYS」は、同じく仙台市で調剤薬局を営む「有限会社ケーエスアイ」を譲り受けました。KYSの代表である...