かねてから飲食業界への参入を考えていたA様は去年、M&Aで老舗お寿司屋さんを買収されました。これまで複数の事業展開をされてきましたが、飲食業界はリスクが高いためゼロから立ち上げるのではなく、M&Aで既存のお店と職人を引き継ぐことで事業を開始されました。
参入し易いが経営の難易度高い飲食業界だからこそ、ゼロからではなく既存店舗を引き継ぐことに
――まずはバトンズでM&Aを行ったきっかけを教えていただけますか?
これまでIT系、美容系、幼稚園等の事業を立ち上げたことがあったのですが、飲食事業も前からやってみたいなと興味を持っていました。最初にご縁がありましてIT、美容に関する事業を始められたものの、飲食事業は今までなかなかきっかけがありませんでした。
そんなとき、ネットでバトンズに関するニュースを読み、話題になっていらっしゃったので登録しました。バトンズってどんなものかなと見ていた当時、新たに事業を始めるためちょうど資金集めなどの準備も始めていたタイミングでした。
最初からすべて自分で行うのは難しい業種ですし、経験がないと参入できないと思いまして。やはり飲食業界は参入しやすいですけれど、継続して運営するのが難しい業界ですから。元々飲食業をやっていらっしゃる方から業界について色々と教えていただく中で、M&Aという形でお店を譲り受けるのがベストだという考えに至りました。
――元々どういった条件で探しておられたのですか?
商業施設内など、安定して経営できるような飲食事業を探していました。実は今回譲受したのは京都の百貨店内にある店舗なんです。当初は条件として絞り込んでいなかった地域でしたが、有名百貨店だったこともあり、比較的安定した経営ができるかなと考え決断しました。結果的に、去年の1〜2月にバトンズで百貨店内にあるお寿司の弁当専門店を見つけ、去年8月頃に最終契約を結びました。
私だけでお店を経営し始めたのが今年4月からで、普段は東京をベースに複数の事業展開をしているため店舗の現場運営はスタッフに任せ、私は月に1〜2回出張です。必要なときは遠隔で連絡を取り合っています。
有名百貨店特有のルールに直面し、引き継ぎの難しさを実感
――トップ面談されたときの売り手の印象などございましたか?
初めて前オーナーとお会いした時は職人らしい方だなというイメージでした。3代続いていて、前オーナーのお父様の代から百貨店に店舗を移したそうです。
これまでほぼ休みなしで、職人2人でお弁当を作りお店を回されていたと聞いています。
――M&A交渉中は論点などございましたか?
そうですね。百貨店に入るっていうことがそもそも非常に難しいことじゃないですか。交渉中は色々とあったんですけれども、有名な老舗百貨店内なので引き継ぐ時期をいつ頃にした方が最適なのか、また前オーナーからどういった流れで引き継ぐのがベストなのかが交渉中の主な論点でした。
百貨店独特のルール等に不慣れだったため、やはり交渉の難しさを感じました。当初は百貨店側との信頼関係を築いていくため、前オーナーと一緒に少しずつ話し合いを進めていくことで、“今までのお客様を継承すること”を前提に事業を引き継がせていただくことになりました。
前オーナーがいきなりぱっといなくなるのが難しかったため、名前を残していただく期間を設け、ある時期までは前オーナーにお店に居ていただくようにしています。
基本的にはM&Aアドバイザーの栗田さんが動いてくださり、話をまとめて下さいました。
――従業員さんの引き継ぎはどのように行ったのですか?
皆さんにはオーナーが変わるタイミングで一人ひとり丁寧に面談を行い、誰一人辞めることなく続けてくれました。M&A後にスタッフの人数をさらに増やさなければいけなかったため新たに採用もしています。
――3代続いてきた味の継承みたいなものは、どのように行われたのですか?
私は職人ではないため、職人の体制を整えるために新しく調理スタッフを2名採用しまして、前オーナーともう1名の職人から業務の引き継ぎを行っていただきました。
コロナショックを乗り越え、あっと驚く新しいお寿司をお客様に届けたい
――今年4月にA様が一人で経営されるようになってから緊急事態宣言に。影響はございましたか?
もちろん売上もそうですし、スタッフの精神的な面もすごく大変な時期が続いています。しかし、打撃はあったんですけれど本当に閉店しなければいけないほどの打撃ではなかったので、それはやはり百貨店の名前があったからだなと思います。
――オーナーが変わることでお客様の変化はありましたか?
そうですね。元オーナーの頃からのリピーターのお客様が多くいらっしゃいますので味を変えずに継承しながらも、新しいメニューで新規でお越しいただけるお客様を増やしていきたいと考えています。いまは若いスタッフの意見を吸い上げながら新しい商品を構想中です。
――最後に今後の展望についてお聞きしてもよろしいですか?
これからは百貨店のお寿司屋さんの事業を拡大していくためにも、新たなターゲット層に好まれる新しくて斬新なお寿司を展開していけたらと考えています。
いま季節ごとで企画をしており、試作の中で従業員のウケが良かったものをミックスしてみたり、従業員からも色々と意見を募ったりしてアイディアを出しています。私も一緒にこれがいいあれがいいと話し合っているところです。みんながびっくりするようなお寿司をお店に出すために切磋琢磨しているところです。
――ありがとうございました。
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