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中小企業の経営を新型コロナから守る!経産省の支援策【設備投資・その他編】

2020.03.16

新型コロナウイルスの感染拡大はいまだ終息する気配を見せず、ビジネスへの影響も長引くことが予想されます。営業方針の転換や調達ルート・生産拠点の改編を迫られている企業も幅広い業種で発生しています。しかし中小企業にとっては即座に設備投資(新たな設備の導入や工場新設など)を図ることは容易ではないのが実情です。

こうした事態に対応して国はさまざまな支援策を繰り出しており、経済産業省はビジネス・経済方面の対策の取りまとめ役として働いています。この記事では経済産業省が公表している情報(3月11日現在)をもとにして、設備投資や事業継続、雇用維持などに関する支援策をできる限りわかりやすく噛み砕いて解説していきます。

生産性革命推進事業による支援

生産性革命推進事業はものづくり・商業・サービス補助、持続化補助、IT導入補助の3つの柱からなる事業です。生産性と賃金水準の向上を目的としています。補助を受けようとする企業から3~5年にわたる事業計画を募り、外部有識者からなる委員会の審査によって補助対象を採択する仕組みになっています。

新型コロナウイルス感染の拡大を受けて、今回の公募では感染の影響から立ち直るための計画(設備投資・販路開拓・テレワーク導入)が優先的に採択されることになりました。

ものづくり・商業・サービス補助|調達ルート立て直し

新しい製品やサービスを開発したり生産工程を改良したりするための設備投資を支援する事業です。基本情報と公募スケジュールは次の通りです。

■ものづくり・商業・サービス補助

【対象】

中小企業、小規模事業者(個人・法人)など

【補助上限】

原則1,000万円

【補助の割合】

中小企業:1/2 小規模事業者:2/3

【公募スケジュール】

公募開始 :令和2年3月10日(火)17時~

申請受付 :令和2年3月26日(木)17時~

応募締切 :令和2年3月31日(火)17時(1次)、5月(2次)、8月(3次)、11月(4次)

今回の公募では、新型コロナウイルスの影響で部品・材料の調達が困難になった事業者の立て直し計画が優先的に採択されます。

中国での感染拡大により、中国企業の工場や日本企業の中国工場が閉鎖したり稼働が制限されたりしため、さまざまな業種で部品・材料の調達が滞る事態になっています。その影響で、製造量が低下したり、建設工事が停滞して完成期日に間に合わなくなるといった事例が多々生じています。

部品を自社の工場で生産するように転換したり、中国の拠点を国内に移転するといった対応策が有効と考えられ、そのための設備投資を行う計画が優先的に採択されることになったのです。

 

持続化補助|販路開拓・ブランド変革

企業が持続的に事業を展開していくための取り組みを支援する事業です。新しい販売方法を工夫して新規分野への参入を図ったり、これまでとは違った顧客層に向けて商品を開発・改良するなど、販路開拓の取り組みがおもに採択されます。

基本情報と公募スケジュールは次の通りです。

■持続化補助

【対象】

小規模事業者(個人・法人)など

【補助上限】

50万円

【補助の割合】

2/3

【公募スケジュール】

公募開始:令和2年3月10日(火)18時~

申請受付:準備中

応募締切:令和2年3月31日(火)当日消印有効(1次)、6月(2次)、10月(3

次)、令和3年2月(4次)

今回の公募では観光客の減少や自粛の流れにより打撃を受けた企業の取り組みが優先的に採択されます。

中国や韓国からの日本入国が規制され、日本への渡航を禁止する国も出たことから、中国人を中心とする外国人観光客が激減しました。これにより京都などの観光地は大きな打撃を受け、百貨店や免税店、飲食店、ホテル・旅館などは売上を大幅に悪化させ、なかには閉店や倒産に陥るところも出てきています。

また、政府が大規模なイベント・集会の自粛を要請したことが一つのきっかけとなり、細々とした部分にまで自粛の波が広がっています。国内で最も感染の広がっている北海道ではとくに影響が大きくなっています。大小のイベントの中止、宿泊施設・飲食店・交通機関の予約キャンセルや利用自粛が相次ぎ、幅広い業態で販路開拓や新しいプロモーション戦略が求められている状況です。

商品や施設の方向性を転換したり、インターネット販売を強化したり、店舗改装・ホームページ改良などによりブランドイメージの革新を図ったり、受付を自動化してより特徴のあるサービスに人材を集中させるといった対策が有効と考えられます。しかしとくに小規模の企業では従来の売り方からの転換は容易ではないため、持続化補助への申請は活路の一つとなることでしょう。

 

IT導入補助|テレワーク導入

労務・人事・経理・法務・生産などの部門をITツールによって効率化する取り組みを支援する事業です。コンピューター、インターネット、AIなどを活用して多様な情報を一括管理したり、手続きを自動化したりするシステムの導入がおもに対象となります。

基本情報と公募スケジュールは次の通りです。

■IT導入補助

【対象】

中小企業、小規模事業者(個人・法人)など

【補助の割合】

30~450万円

【補助率】

1/2

【公募スケジュール】

公募開始 :令和2年3月13日(金)15時~

申請受付:令和2年3月13日(金)15時~

公募締切 :令和2年3月31日(火)17時(1次)、6月(2次)、9月(3次)、12月(4次)

今回の公募ではテレワークという働き方の導入計画が優先的に採択されます。テレワークでは、従業員が各自の都合に合わせて自宅、カフェ・ファミレス、コワーキングスペース(仕事場所のレンタルができる施設)などで仕事をします。しかしただバラバラに仕事をするわけではなく、インターネットを介してつながり、チームとして会社の仕事をするのです。

テレワークは仕事と生活を調和させやすく、幅広い人材を活用することができ、緊急時にも事業を継続しやすいというメリットがあります。

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにして改めて重要性が強調され、大企業を中心にして導入が広がっていますが、中小企業ではそう迅速には導入に踏み切れないのが実情です。そこで今回の公募ではテレワークを導入する取り組みが重点的に採択されることになったというわけです。

仕事の多くは同僚・上司と共同で行われるため、コミュニケーションツールなどを用いて密に連携をとらなければなりません。また、外部の環境で機密情報を扱うことになるため、さまざまなセキュリティ対策が求められます。仕事の開始時間・終了時間、残業時間などをきちんと管理するためにもツールが必要です。

テレワークを円滑に行うためには、多様なツールを導入し、社員がうまく使いこなせるように教育し、非常時の対処法を整備しておくといった取り組みが必要で、中小企業がすぐに始めるのは困難です。IT導入補助をうまく利用してリモートワークを導入すれば、災いを転じて今後の成長に活かすことができるでしょう。

 

テレワーク導入に関するその他の支援策

生産性革命推進事業によるIT導入補助よりも手軽に利用できるテレワーク支援策があります。

■テレワークマネージャー派遣事業

テレワークの専門家が無料でWeb・電話によるコンサルティングを実施

【相談実施期間】2020年3月31日(火)まで

【応募期限】2020年3月24日(火)まで

【支援回数】1団体あたり最大3回(1回あたり最大2時間)

【費用】コンサルティング費用は無料、通信料は利用者負担

■時間外労働等改善助成金特例コース(テレワークコース)

新型コロナウイルスに対応するためにテレワークを導入した中小企業を支援するため、特例コースを設置

■税制面での支援(少額減価償却資産の特例)

中小企業は30万円未満のテレワーク用設備(PCやソフトウェア)を全額損金として算入することが可能

雇用調整助成金の特例措置

経済的理由により事業を縮小しなければならなくなった企業が事業立て直しを図るために雇用調整を行う場合、雇用調整助成金を受け取ることができます。雇用調整とは、授業員を解雇せずに当面の間だけ休業・教育訓練・出向を引き受けてもらうことを言います。

新型コロナウイルス対策では雇用調整助成金に2つの特例が設けられています。

■雇用調整助成金の特例①

【対象】

新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主(例:観光客の減少の影響を受ける観光関連産業や、部品調達停滞などの影響を受ける製造業など)

【特例措置の内容】

・休業等計画届の事後提出が可能(令和2年5月31日まで)

・最近1か月の売上高が前年同時期と比較して10%減少していれば申請可能(通例は3か月の平均売上高を比較)

・従業員数(最近3か月の平均値)が前年同時期と比較していくら増加していてもよい(通例は上限あり)

・事業所設置後1年未満の事業主も対象(売上条件は最近1か月の売上と令和元年12月を比較して判定)

■雇用調整助成金の特例②

【対象】

自治体が緊急事態宣言を発出して活動の自粛を要請している地域(現時点では北海道のみ)

【特例措置の内容】

・特例①と同等の内容に加え、さらに以下の特例が加味される

・売上高減少の条件が不要

・助成率を大企業2/3、中小企業4/5に引上げ(通例は大企業1/2、中小企業2/3)

・非正規も含めた雇用者に対する休業手当が対象

特例①は最近1か月の売上高が一定以上減少していれば十分なため、今まさに影響を受けたばかりの企業が利用できます。②は北海道にある企業の惨状に対応した大幅な特例措置となっています。

 

小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援

新型コロナウイルスのために小学校・放課後児童クラブ・幼稚園・保育所などが休業になると、小さな子どもの面倒を見るために親が仕事を休まなければならない場合が出てきます。また、この年代の子どもが新型コロナウイルスに感染した(恐れがある)ときも同様です。

保護者の休暇取得支援策は上記いずれかの理由で仕事を休む場合に適用されるもので、休職を有給休暇扱いとすれば、会社に助成金が支払われます(有給支給額の100%、上限は日額8,330円)。現在のところ令和元年2月27日~3月31日の間に取得した休暇が対象で、業種の限定はなく、大企業・中小企業ともに助成額は同じです。

中小企業・小規模事業者に関する配慮要請

感染拡大による景気悪化のしわ寄せを受けやすい中小企業・小規模事業者を守るため、経済産業省が大手企業などに向けて配慮要請を出しています。

下請け企業に関する配慮要請

部品・材料の調達が困難になり幅広い業種で資材不足や生産量低下、業績悪化が起こっており、下請けを使う大きな企業(元請け・親企業)が下請け企業に対して無理な要求をする恐れが高まっています。

経済産業省は業界団体などを通じて親企業に対して下請け中小企業への配慮を要請しています。おもな内容は次の通りです。

【支払いについて】

・事業が停滞しているからといって、通常支払う対価より低い下請代金の設定を行わないこと

・原材料価格が高騰した場合や、通例より短い納期で発注したり部品調達を委託したりする場合には、それに見合うだけの料金を上乗せすること

・下請け企業の資金繰りが苦しい状況にあることを踏まえ、支払いは迅速に行い、前払いをするなどの柔軟な対応に努めること

・発注の取り消しや変更を行う際には、仕掛品(未完成品)に対して支払いを行うなどの最大限の配慮をすること

【納期について】

・やむを得ない事情で期限に遅れてしまう可能性を考慮し、納期に関して柔軟な対応を取ること

【契約について】

・親企業が不意に契約を途絶させれば下請け企業の死活問題になることを心に留め、できる限り従来通りの取引関係を継続し、優先的に発注するよう努めること

個人事業主・フリーランスについても、下請け中小企業と同様の配慮を求める要請が発注側の企業に出されています。

【契約について】

・感染拡大や自粛による需要減少を理由にして契約を変更する場合には、下請振興法・独占禁止法・下請代金法などの趣旨を踏まえて適切な対応を取ること。

例えば、一方的に契約変更を行うのではなく、変更の内容について書面で明示し、相手方の個人事業主・フリーランスの同意を得るようにすること。契約変更によって新たに相手方に発生する費用は報酬額に上乗せし、既に個人事業主・フリーランスに発生していた費用は負担すること。

・できる限り従来の取引関係を維持し、優先的に発注を行うこと。相手方が一時的に休業する場合は再開時にもそうした対応を取ること。

・相手方に発熱などの風邪の症状があったり、休校にともなって子どもの面倒を見なければならないといったやむを得ない事情がある場合は、納期延長の要請にできる限り応えること

親企業・発注企業から不当な扱いを受けた場合は「下請かけこみ寺(電話・0120-418-618)」に相談しましょう。

官公需における配慮要請

官公庁が発注元となる場合(官公需)についても、受注側の中小企業・小規模事業者に対して上と同様の配慮を行うよう要請されています。

【支払いについて】

・工事完了後速やかに支払いを行うこと(前金払・中間前金払の場合はその都度迅速に)

・新型コロナウイルス感染症の拡大による需要と供給の変化や、原材料・輸送費などの価格上昇に応じて、適切に予定価格の見直しを行うこと

【納期について】

・納期や工期を柔軟に設定し、年度をまたぐ変更などにも対応すること

【相談対応】

・各府省などの相談窓口で、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている中小企業・小規模事業者の相談に適切に対応すること

下請けGメンによる実態調査

120名の下請Gメンが全国の中小企業を訪問して業務上の困難についてヒアリングを行って実態把握に努め、その内容を政府の対策に反映させています。また、ヒアリングのなかで親企業の不当行為を把握した場合には下請法などに基づいて厳正に対処しています。

ヒアリングを受けたい企業は各地方の経済産業局などに連絡してください。ヒアリングでは次のような声が上がっています。

■放送コンテンツ産業

「3月に予定していたイベントが全て中止、売上の目途が立たない。」

■産業機械製造業

「中国からの部品供給の停滞により、代替製造の依頼がある。なかには短納期の仕事もある上に、残業代を下請代金に上乗せしても、利益があがらない。」

■建設機械製造業

「人手不足の影響から少ない従業員で経営していたところ、今、従業員が新型コロナウイルス感染症に罹患すると、工場の稼働を止めざるを得ず、倒産の危機に直面する可能性がある。」

厚生年金保険料等の猶予制度

厚生年金保険料等(厚生年金保険料、健康保険料、船員保険料、子ども・子育て拠出金)の納付が一時的に困難になった場合に、換価(差押さえ)や納付そのものが猶予される制度があります。

納付猶予は災害や盗難、事業主の病気、大きな事業損失などがあった場合に適用されます(換価猶予については困難の原因は不問)。新型コロナウイルスの影響で納付が困難になった場合は換価・納付いずれも猶予対象になります。

■厚生年金保険料等の換価猶予

【猶予条件】

以下のすべての条件を満たすこと

①厚生年金保険料等を一時に納付することにより、事業の継続等を困難にするおそれがあると認められる

②厚生年金保険料等の納付について誠実な意思を有すると認められる

③猶予申請期限を過ぎた厚生年金保険料等については延滞がない(延滞金を完済している)

④(原則として)猶予を受けようとする金額に相当する担保を提供する

【猶予期間】

原則として最長1年。申請者の財産や収支の状況をもとに、完納が可能となるまでの最短期間を年金事務所が算定し、この期間を猶予期間とする。ただし、やむを得ない事情があれば延長が認められる場合がある(当初の猶予期間と合わせて最長2年)。

【申請方法】

管轄の年金事務所に次の書類を添えて「換価の猶予申請書」を提出

①財産収支状況書 (猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は「財産収支状況書」に代えて「財産目録」と「収支の明細書」が必要)

②担保の提供に関する書類(猶予を受ける金額が100万円を超える場合に必要)

【申請期限】

納付困難となった厚生年金保険料の納期限から6か月以内

【担保の提供】

原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要。猶予を受ける金額が100万円以下である場合や、猶予期間が3か月以内の場合、担保として提供できる財産がないと年金事務所が確認した場合は、担保が不要。

厚生年金保険料等の納付猶予

【猶予条件】

以下のすべての条件を満たすこと

①次のいずれかに該当する事実がある

・財産が震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受けるか盗難にあった

・事業主または生計をともにする親族が病気にかかるか、負傷した(個人事業所の場合)

・事業を廃止または休業した

・申請前の1年間に、その前年の利益額の2分の1を超える損失(赤字)が生じた

・上記に類する事実があった場合(年金事務所への相談が必要)

② ①に該当する事実により、納付すべき厚生年金保険料等を一時に納付することができないと認められる

③(原則として)猶予を受けようとする金額に相当する担保を提供する

【猶予期間】

原則として最長1年。申請者の財産や収支の状況をもとに、完納が可能となるまでの最短期間を年金事務所が算定し、この期間を猶予期間とする。ただし、やむを得ない事情があれば延長が認められる場合がある(当初の猶予期間と合わせて最長2年)

【申請方法】

管轄の年金事務所に次の書類を添えて「納付の猶予申請書」を提出

①財産収支状況書 (猶予を受けようとする金額が100万円を超える場合は「財産収支状況書」に代えて「財産目録」と「収支の明細書」が必要)

②担保の提供に関する書類(猶予を受ける金額が100万円を超える場合に必要)

③災害などの事実を証する書類

【申請時期】

 猶予に該当する事実発生後速やかに

【担保の提供】

原則として、猶予を受けようとする金額に相当する担保の提供が必要。猶予を受ける金額が100万円以下である場合や、猶予期間が3か月以内の場合、担保として提供できる財産がないと年金事務所が確認した場合は、担保が不要。

 

まとめ

経済産業省が発表している新型コロナウイルス対策について「資金繰り編」「設備投資・その他編」に分けて紹介してきました。とくに資金繰り対策については短いスパンでの申請が可能なものが多くなっていますので、ぜひ迅速な対処に活用してください。

また、新型コロナウイルスに対処しつつ中長期的なスパンで事業改善を図るための補助制度もあります。リスクに強い調達・販売網の構築や、システム導入による業務効率化、東京オリンピックや働き方改革への対応も見据えたテレワーク導入など、思い切った施策に踏み切るためのチャンスと捉えることも可能かもしれません。

なお、対象となる業種や企業規模、詳細な要件などについては経済産業省のサイト(※)で確認してください。今後も随時対策が更新されていくと思われますので、定期的にチェックすることをおすすめします。

※)経済産業省「新型コロナウイルス感染症関連」

 

 

 

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