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2019.06.20

PBR(株価純資産倍率)とは?正しい活用法をやさしく解説!

前回、企業の株価の割安さを測る指標として、PBR(株価純資産倍率)を紹介しました。

PBR(株価純資産倍率)は、企業の純資産から見た株価やM&Aの算定価格が割高なのか割安なのかをはかるものさし、いわゆる投資指標として使われます。計算方法は株価を1株あたりの純資産(BPS)※で割り算して算出されます。

※純資産(BPS)とは…企業が持っている総資産から、負債などの外部から借りている借金を返したあとに残る株主の資産。純資産を発行済み株式数で割ることにより、”1株あたりの純資産”(BPS)が求められます。

そこで今回はおさらいを兼ねて、基本的なPBRの活用方法について分かりやすく解説します。

PBRが示す意味

PBRの倍率は、企業の資産面から見た割安度を表しています。

例)A社の株価が1,000円、1株あたりの純資産(BPS)が500円の場合

1,000÷500=2、PBRは2倍ということになります。この倍率が高ければ割高、倍率が低ければ割安となります。

また、企業には「解散価値」というものがあります。企業の借金をすべて返して残った土地や工場、設備、有価証券などを売って現金にしたときに残る金額のことです。

PBRが1倍であればこの解散価値と株価が同じ水準ということになります。仮にA社のPBRが0.5倍まで下がった時にA社の株をすべて買い占めることができれば、解散価値の半額でA社の株を買ったのと同じことになります。この時点のPBRのまま企業が解散すれば、買値と同じだけの利益を得ることができるため、割安と考えることができます。

割安とされる基準

それでは、PBRはどれくらいが割安なのでしょうか?一番わかりやすいのが市場全体との比較でしょう。東証1部に上場するほぼすべての企業の株価を指数化したのかTOPIX(トピックス)です。TOPIXのPBRは2019年5月現在およそ1.1倍となっています。ひとつの目安としてPBRが1.1倍を下回っていれば割安といえるでしょう。

また、企業のPBRは株価と同じく常に変動するため、過去のレンジと比較して割安度を測るのもひとつの方法です。

さらに、同じ業種の代表的な銘柄と比較する方法もあります。たとえば、自動車業界であれば、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなどと比較してみるのも1つのやり方です。これは業種によってPBRが高くなる傾向の業種と低くなる傾向の業種があるからです。たとえばITやバイオなどの医薬品といった成長産業のPBRは、人気を反映して高くなりがちです。マザーズ市場などの新興市場の小型の企業の場合も、将来の成長への期待から高く評価されることが多く、PBRが高くなるケースがあります。

一方、リーマンショックなど市場全体の雰囲気が悪化している状況では、業績の安定性や純資産の多さに関係なく、多くの株が叩き売られることになります。このような時には、健全な株であってもPBRは下がるので、その後市場が落ち着きを取り戻せば、PBRと株価は上昇が期待できます。ただ、リーマンショックのような市場全体の雰囲気が悪化している局面では、PBRは下値の目途として使われやすいという特徴もあります。その点では、割安株投資には欠かせない指標であるといえるでしょう。

1.0倍を下回る場合

先ほど、PBRが1.0倍を下回ると解散価値より安く株を買うことができるとお伝えしました。それでは、PBRが1.0倍を下回っており、株価が解散価値を下回る場合は常に「買い」になるのでしょうか?

答えはNOです。

PBRが1.0倍を下回っていても、赤字の企業には注意しなければいけません。赤字続きの企業は、将来的に純資産が減ってしまう可能性があります。今はPBRが低くても、後々PBRが高くなり、株価がさらに下がってしまうリスクがあります。

PBRを見る際の注意点

PBRは割安株に投資するために欠かせない指標ですが、注意点もいくつかあります。

1つ目は、短期的な株価変動には対応していないということです。純資産の数値は四半期ごと、1年ごとの企業の決算時に変動します。そのため、短期的な投資の投資指標としては使いづらいという側面があります。

2つ目は、赤字でなくても利益が伸び悩んでいる企業や、何か潜在的なトラブルを抱えているリスクのある企業、上場廃止の可能性のある企業の株などはPBRが低くてもリスクが高いため、割安だからという理由だけで投資するのはおすすめできません。そのほか、ITやバイオなどの小型の成長企業は純資産の額も小さく変動も大きくなります。売上高の成長性といった要素は加味されないので、このような成長株投資には不向きであることに注意しましょう。

PBRをマスターして、株価の割安度を測ろう。

PBRが高ければ企業が持つ純資産価値に対して割高、PBRが低ければ純資産価値に対して割安ということをご理解いただけたでしょうか。PBRを判定する方法はいくつかあり、市場全体との比較だけでなく過去の水準との比較、同業他社との比較など様々です。

短期的な変動には対応していないこと、成長性を測る指標ではないことに留意しなければいけませんが、市場全体が値下がりしている場面で株を買うことに大きな不安を感じる時には、企業の資産価値の割安さを測る確かなものさしであるPBRが役に立つでしょう。ぜひPBRをマスターして、皆さんの今後の投資に役立ててください。

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