2015年に経営コンサルティング事業を手掛ける「河西総合研究所」を開業され、本業である種苗会社と二足の草鞋でビジネスに取り組む河西様。経営コンサルタントとしての実績を積みながら、ご自身でも複数の事業を手掛けておられます。
30年以上勤める本業がありながら、副業として事業を展開している河西様が、この度M&Aに取り組んだ経緯は何だったのか。なぜ、「テントサウナ」のレンタル事業を選択されたのか。今後の事業展望とともに、お話を伺いました。
譲渡側 | |
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区分 | 法人 |
業種 | 小売・EC(テントサウナ) |
拠点 | 山梨県 |
譲渡理由 | 移住による譲渡 |
譲受側 | |
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事業名 | 河西総合研究所 |
業種 | 経営コンサルティング業 |
拠点 | 山梨県 |
譲受理由 | 起業・副業 |
サラリーマンをしつつ、いまや副業の経営コンサル事業がビジネスの柱に
河西様が副業を始められたのは、2015年のこと。当時、既に上級管理職を務めていた河西様は、本業にも活かせる知識・ノウハウの習得ができる、『中小企業診断士』の資格を取得。その資格を活かして立ち上げたのが、経営コンサルティング事業を運営する『河西総合研究所』でした。
「経営コンサルタントという仕事は、いわば『何でも屋』だと思っています。なぜなら、クライアントの抱える経営課題を解決するために、あらゆる提案をするからです。事業名の『総合』には、コンサルタントとして何でも仕事を請け負いますという意味と、自分自身があらゆる経験を積んでいきたいという意味が込められています。」
コンサルティング事業で得た資金は、次なる事業へ再投資をすることで、多角的に事業を広げている河西様。2019年にはドローンを活用した農薬散布会社への出資を行い、監査役や経理担当を務めながら、経営ボードとして事業に参画。翌月にはAmazon のオンラインショップを立ち上げてEC事業をスタート。2020年にはレンタルスペースの運営へと触手を広げておられます。
「主軸としている経営コンサルタントの仕事では、あらゆる提案をしてクライアントの問題解決の糸口を見出しています。ただ、私は自分が何かを提案する以上、口先だけではなくて、実績や実体験を伴ったものにしたいと考えていまして。
やはり、机上の空論でモノを言う人と、実体験に基づいて話す人では、説得力が違うじゃないですか。なので、より良い提案、信頼ある提案をするためには、実際に自分で経験しなければと思い、いくつかの事業を立ち上げてきました。たとえば、2019年に始めたAmazonへの出店は、当時のクライアントにECサイトの運営を提案しようとしていた時に始めたものになります。」
ご自身の実体験をもとに、経営課題の解決を提案していくスタイルを構築している河西様。今回M&Aに取り組まれた背景にも、M&Aの経験を得ることで、新たな解決案が提案できるようになるという目的がありました。
「テントサウナのレンタル事業を買収するに至ったのは、クライアントがテントサウナ事業やレンタル事業をやっていたという訳ではなく、M&Aという経験を積んでみたかったという理由が大きいです。
昨今では、事業譲渡または事業譲受というソリューションを経営者に提案することも増えてきたので、自分でも一連のプロセスを実体験したほうがよいと考えたんです。」
買収の判断軸は、「想定の資金内で、面白いと思える事業かどうか」
M&A経験値の獲得、そして河西総合研究所で経営の多角化を実現するため、M&Aの検討を始めた河西様。数多くの案件から、どのような基準で事業を選定されていったのでしょうか。
「初めての事業買収ということもあり、予算は300万以下と決めていました。その上で、感覚的に面白いと思えるモノや、自分が好きなモノ、経験やノウハウがあるものを選んでいました。
たとえば、本業である種苗会社の延長にあたる農業関連とか、食べることが好きなので飲食業関連とか。既にECサイトを運営しているので、EC事業関連にも目を通していました。」
河西様は業種を特定のものに絞らず、ご自身の興味と経験にヒットするものを広く探されていました。そんな中、興味関心に引っかかった事業のひとつがテントサウナのレンタル事業でした。
「私は自然も大好きでして。大学時代には登山部に所属していましたし、30歳を過ぎてからは釣りにもハマっていて、アウトドア事業に非常に興味を持っていました。そんな私にとって、『テントサウナ』という商材は大変興味深かったですし、ニーズの共感も持てました。
具体的な交渉に進み、財務状況を調べてみても、きちんと利益は出ていたのでその点も問題ないと思いました。しかも、単に利益が出ているだけではなく、売上とコストのバランスがよく取れており、投資回収見込が3年以内であるという、ビジネスモデルとして価値が高い事業でした。また、売り手の方が私の自宅から車で15分ほどの近隣に住んでいらっしゃるという点にも、ご縁を感じてしまいまして。」
他にもいくつかの案件で基本合意の一歩手前まで進んだものの、売り手の方とのビジネス感覚のズレがあったり、財務状況を正しく開示してもらえなかったりしたこともあり、成約までは至らなかったという河西様。その点、テントサウナ事業の交渉は1ヶ月というスピードで基本合意まで進まれたと言います。
「売り手の方はIT企業ご出身ということもあってか、きちんと数字を管理していらっしゃいましたし、ビジネス感覚にズレもなく、スムーズにキャッチボールができました。結果、わずか1ヶ月で基本合意まで進めることができました。」
年間で9ヶ月ある閑散期!豊かな発想力で描いた事業拡大のシナリオとは
譲り受けた古民家:富士見町ウツリスムステーション
今回のM&Aを進めるにあたり、行政から最大600万円の事業継承・引き継ぎ補助金を獲得された河西様。補助金申請を行うにあたり、どのように進めていかれたのでしょうか。
「この補助金は、買収資金というよりは今後の事業拡大資金という形で承認されました。今はテントサウナのレンタル事業のみですが、宿泊業としてテントサウナを楽しめるような事業を新たに立ち上げようと考えていて、その構想を提案して調達できたお金ですね。
具体的には、大正14年に登記された、田舎の山奥にある大きな古民家をM&A後に購入しました。その古民家をリフォームし、居心地のよい宿泊施設に仕立てた上でテントサウナを設置し、そこでサウナを楽しんでもらうといった構想です。
というのも、レンタル業は意外と繁忙期が短く、夏以外は回転率が下がります。そんな長い閑散期を埋めるため考えたのが、この新規事業でした。補助金が承認されたのは、レンタル業とのシナジーが認められた結果だと思っています。」
既に商標権も申請し、他社が相乗りできないような基盤固めも始めていると話す河西様。今回の古民家事業がうまく軌道に乗ることができれば、今度は海沿いの古民家を購入したいとも話しています。
「実は今、並行して釣り船を運営している会社との交渉が始まっていて、『釣り船が出せる古民家で、テントサウナ付きの宿泊を楽しんでもらえる』といったパッケージも面白そうだと思っています。船長の代理を探すのに苦戦していますが、もし見つかったら、新たな事業構想が実現できると考えています。
また、古民家を探している最中に、甲府のぶどう園の譲渡案件を見つけました。こちらも、土地の売買契約と合わせて、引継ぎに向けて進めています。農地なので、農地法の手続きが必要で多少時間はかかりますが、今年11月の契約締結に向けて調整しています。
そして、これまでは個人事業主としてやってきたので、今後は法人化して細かい実作業をしてくれる従業員を雇い、自分は事業を大きくすることに専念したいと考えています。実は、今日も自分でテントサウナを出荷してきましてね(笑)。」
経験に伴ったアイディアを通じて、ご自身の「好きなこと」「興味があること」とビジネスを巧みに繋げて未来を描く河西様。引き継がれたテントサウナの事業は、レンタル事業という枠を超えて、非常に楽しみなビジネスへと育っている途中です。
河西様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
河西様が譲り受けたテントサウナのレンタル事業:https://yamasauna.com/
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