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M&A交渉をスムーズに進める方法〜FAと仲介の違いを解説〜

2023年05月09日

会社を譲渡しよう、事業を売却しよう、などM&Aに関しての相談をする場合、誰に相談するのが良いでしょうか。顧問税理士の先生でしょうか? はたまた、過去に会社売却の経験のある知人経営者でしょうか?

M&A業務を事業の一環として行っている税理士事務所であれば話は別ですが、顧問税理士の先生は基本的に会計業務・税務顧問業務のみを行っているケースの方が多いです。また、会社売却の経験のある方も、その方が経験したことのある経験談に限られ、網羅的にアドバイスを頂くには適しておりません。

 

お勧めするのは、M&A支援業務を専任で行っているM&Aの専門家」にお願いする方法です。

顧問税理士の先生や、会社売却の経験のある方に相談するのも間違いではありませんが、本人が経験したことのある内容や、税務に偏った内容(M&A特有の視点ではないことも多い)についてのアドバイスが主になってしまうことが多いので、出来る限りアドバイスを求める程度にしておきましょう。

 


【監修者プロフィール】


株式会社LifeHack 代表取締役/ M&A支援機関登録専門家
冨田修平(とみたしゅうへい)

一般社団法人茨城県事業承継センター 代表理事/
横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、地元茨城県の税理士法人勤務を経て、2018年株式会社LifeHackを設立。
中小・零細企業のM&A支援業務に特化し、第三者M&Aに関しての啓蒙活動にも注力している。
株式会社LifeHack」の紹介ページ

M&Aの専門家に相談した方が良い理由

M&A支援業務を専任で行っている専門家に相談することがお勧めなのは、下記理由からです。

M&Aの交渉を進めていくとなると、予想だにしない問題やトラブルが沢山起こります。それらのトラブル対応の場数を経験している、課題を解決した経験を沢山しているのが、M&A業務を専門で行っている専門家なのです。

それらの専門家は、日々M&A漬けの毎日を送っています。それ故、たくさんの事例や経験を持っています。実際に会社売却の経験はないかもしれませんし、税務項目だけに限定すれば税理士さんに知識量で及ぶものではございません(そもそも税務相談業務は税理士法的にもNGかと思います)。

しかし、あなたが進めようと思っているM&A交渉に関しては、経験豊かなプロなのです。

なにも、顧問税理士の先生や、知人経営者にアドバイスを求めるな、と言っている訳ではありません。お客様などから相談を受けてM&A支援業務を提供している税理士の先生も沢山いるでしょう。しかし、税務顧問業務の傍らでM&Aに関しての相談を受けている税理士の先生と、M&A業務のみを行っているM&Aの専門家では、こと「M&A」支援業務に関しての経験値が圧倒的に違うのです。

M&Aの交渉について広く、網羅的に把握しているその道の専門家(M&A支援業者)に舵取りはお願いしつつ、所々で発生する専門的な税務相談は顧問税理士に、個別な相談や特殊事項についての相談は、同じ悩みを経験したことのある知人経営者に相談するのがお勧めかと思います。

 

業務を依頼する場合の2つの方法

M&A支援事業者と二人三脚でM&A交渉を進めていくことが決まったら、どの会社(アドバイザー)に、どの様な方法で交渉を進めていくかを検討します。

代表的な方法として、FA業務」としてお願いする、「仲介業務」としてお願いする、この2つのパターンが挙げられます。

M&A交渉を進めていくにあたり代表的とされるこれら2つの方法の特長や注意点について、詳しく見ていきましょう。

 

①FA業務とは?

ここで言うFAとは、ファイナンシャルアドバイザーのことを指します。

具体的には、M&A案件の発掘からアプローチ、交渉、資料作成、買い手候補の探索、契約書の作成など、M&A成立までの全般的なアドバイス業務のことを指します。

売主、あるいは買主のどちらかからのみ依頼を受け、依頼者の利益を最大化するために注力することが特徴です。

買主のアドバイザーとして業務を受託するのであれば、譲渡価格は出来る限り安くなるように交渉を行うなど、出来る限り買主の有利になるように交渉を進めていくことになります。

 

②仲介業務とは?

一方で仲介業務とは、言葉の通り売主・買主の間に立ち、M&A案件を仲介していく業務のことを指します。

業務内容としては、M&A案件の発掘からアプローチ、交渉、資料作成、買い手候補の探索、契約書の作成など、M&A成立までの全般的なアドバイス業務を行うことはFA業務と同様です。

売主・買主どちらか一方からのみ業務を受託するFA業務と違い、売主・買主、両方から依頼を受け、交渉が成立するよう調整を図りながら、交渉を進めていく点が特徴です。

 

③FA業務の報酬体系

FA業務の報酬体系はFA業務を提供しているM&A会社によって様々です。

相談料を設定している企業もあれば、相談のタイミングでは報酬が発生せず成約に至った際にのみ成功報酬を設定している企業もあります。中小企業におけるスモールM&A業務において一般的、主流になっているのは、成功報酬のみ発生する報酬体系が多くなっております。

【代表的な報酬項目と内容】

相談料:初期的相談を行う際に発生する報酬

株式価値算定報酬:自社の株価相場がいくらになるのか、算定してもらう際に発生する報酬

着手金:アドバイザリー契約を締結し、案件に着手する際に発生する報酬

中間報酬:基本合意契約を締結した際に発生する報酬

成功報酬:最終譲渡契約を締結した際に発生する報酬

 

 

④仲介業務の報酬体系

仲介業務を提供しているM&A会社の報酬体系は、基本的にはFA業務に対しての報酬体系と同じものであることが多いです(上記③FA業務の報酬体系を参照)。FA業務に関しての報酬は売主、あるいは買主のみに請求するのに対して、仲介報酬は売主・買主両方に請求することになります。

 

⑤FA業務のメリットとデメリット

FA業務を依頼するメリットは、ご自身の利益を最大化するための交渉を実施してくれることです。売主側のFAであれば出来る限り高い金額で売却を進めますし、買主側のFAであれば出来る限り安い金額で買収を進める交渉をする、などです。

また、交渉のほとんどを専門家同士(売主の依頼するFAと、買主の依頼するFA)で進めていくことになりますので、スピード感を持って交渉を進めていくことが可能になります。

 

一方でデメリットとしては、交渉を進める相手(あなたが買主の立場だったとした場合、売主)の本意が掴みにくい、という点があるでしょう。あなたが依頼しているFAは、基本的には相手方のFAとやり取りを行うことになるため、相手方の意図や顔色などを直接把握することが出来ていないのです。そうすると、相手方の細かい心の動きまでは窺い知ることは出来ないでしょう。

例えば、ある条件を受け入れてくれた場合に、快く受け入れてくれているのか、渋々受け入れてくれているのか、FAとのやり取りだけからは汲み取れないことがあるのです。

 

⑥仲介業務のメリットとデメリット

仲介業務を依頼するメリットは、売主・買主などの登場人物以外に介在する人物がいないため、交渉がまとまりやすいという点があるでしょう。FA業務の様に、かたや譲渡金額を高くしたいFAと、かたや譲渡金額を抑えたいFAが交渉を進めると、お互いのメンツがあることから交渉が進まない、なんてことも多いのです。

 

一方で仲介業務のデメリットとしては、ご自身の利益の最大化につながらないこともある、という点でしょう。なぜならば、仲介担当者は交渉の成立を第一優先に掲げて業務に全うするため、です。

例えば、あなたが売主だった場合、1円でも高い金額で譲渡を進めたいと考えると思います。にも関わらず、依頼している仲介担当者は買主からも依頼を受けて動いていることになるため、1円でも安い金額で株式を取得して欲しい、と依頼を受けている可能性があるのです。

これは利益相反と言うのですが、一方の方の利益を最大化させようとする行為が、一方の方の利益を喪失してしまうのです。それ故、どちらかが妥協する、折衷点を模索する、などの検討をする必要が出てきてしまい、当事者(買主・売主)からすると、「仲介担当者はどちらの味方なの?」といった不満につながることが稀に発生します。

 

4.セカンドオピニオンの重要性

中小・零細企業間でのM&A交渉の場合、売り買いFA分かれて交渉を進めるよりも、仲介担当者が交渉を主導し交渉を進めた方が案件が進みやすいことが多いのが現状です。

希望としては◯◯だけど最悪△△でも仕方ない、△△を求めるのであれば◾️◾️は認めてほしい、などの交換条件の提示や交渉を行いながら、お互い納得のいく着地点を探っていくのです。

それ故、一方の観点から見ると経済合理的ではない選択を推奨されるケースもあります。ご自身の損失を理解した上で承諾するのであれば良いのですが、説明も蔑ろに不利な条件を押し付けられたりしない様に気をつけることが必要です(M&A仲介会社の数も増えてきておりますので、中には一部、その様なアドバイザーがいることも事実です)。

 

そんな時にどうしたら良いかと言いますと、セカンドオピニオンの制度を活用すると良いでしょう。最近では、セカンドオピニオンのサービスを提供しているM&A支援会社が増えてきております。

セカンドオピニオンとは、M&A業務を依頼している仲介会社やFA会社以外の専門家から、アドバイスをもらうことを指します。

仲介担当者からは妥当な譲渡価格だと言われているけど、本当に妥当な金額なの?
FAからM&Aの交渉でその考え方は一般的ではないと言われたんだけど、本当にそうなの?

 

など、当事者とは別の第三者から、客観的な意見を求めるのです。

とは言え、なかなかセカンドオピニオンの依頼は進めることが出来ない、と言う声をよく聞きます。なぜならば、アドバイザリー契約を締結している仲介会社・FA会社に対して、100%信頼しきっていないことを表明する行為になってしまうからです。

それ故に、アドバイザリー契約を締結しているM&A会社には伝えずにセカンドオピニオンを求めている方も多い様です。状況に応じて上手に活用していく必要があるでしょう。

 

5.M&A交渉をスムーズに進める方法

FA業務のメリット・デメリット、仲介業務のメリット・デメリット、セカンドオピニオンの重要性、などについてはご理解頂けましたでしょうか。

では、ご自身がM&A支援会社にアドバイザリー業務を委託する場合、FA業務、仲介業務、どちらをお願いしたら良いのでしょうか?

どれだけ成約に時間がかかっても自社の利益を最大化する交渉を進めていきたいのであれば、FA業務を委託する方が良いでしょう。一方で、多少は条件が悪化したとしても、出来るだけ早期に契約を締結したい、臨機応変に条件を調整しながら交渉を進めていきたいのであれば、仲介業務を委託する方が良いでしょう。

とは言え、初めてのM&A実施にあたってはなかなか判断が出来ないかと思います。

そこで、以下のような判断基準を設けてみてはいかがでしょう?
どのような経緯で、あなたのもとにM&A案件の提案が来たかに応じて、どちらを選ぶかを決める方法をご紹介します。

 

※以下にご紹介する手法は、なるべく早く案件を成約したい、どうしてもその交渉のテーブルに立ちたい、それらの目的に焦点を置いたものになりますので、状況に応じて慎重にご判断ください

 

①あなたが買主候補で、売主のFAである専門家から案件の提案があった場合

このケースの場合、案件を提案してきた売主FAの方には仲介契約をお願いした方が良いと思います。紹介された案件が非常に良い案件で、どうしてもその会社(事業)を引き受けたい、そう考えているのであれば尚更です。

なぜならば、あなたに案件を提案してきている売主FAは、あなたにだけしか案件を提案できない訳ではなく、複数の買主候補の中から買主を選ぶことが出来るのです。

そのような状況下で、買主であるあなたが案件を提案してきた売主FAとは別のFA会社にお願いする、(稀にあるのですが)M&A業務に慣れているのでFA業務を委託することなく自力でM&A交渉を進めていく、その様な選択をすることは好ましくないでしょう。

上記仲介業務の報酬体系でも説明している通り、M&A専門家としての収入は、FA業務として進めるよりも仲介業務として進める方が大きくなります(基本的には2倍になるでしょう)。よほどの理念や使命感を持っているM&A支援会社でない限り、あなた以外の買主候補の中から、仲介業務をお願いしてくれる買主への提案に熱が入ることになるでしょう。

上記理由から、買主として案件を進めていきたいのであれば、案件を提案してきた売主FAに委託し、仲介業務をお願いした方が買主として選んでもらう確率は上がると思います。

 

②あなたが買主候補で、あなたと元々接点のあるM&A専門家から案件の提案があった場合(売主には売主のFAがいる場合)

このケースの場合、案件を提案してきたM&A専門家にFA業務を依頼する以外の選択肢はないかと思います。なぜならば、あなたに提案をしてきたM&Aの専門家は、あなたにしか報酬を請求できる場がないからです。

このケースはよくあるケースですが、売主には売主のFAがおり、そのFAと接点のある同業専門家に対して「買主候補がいれば提案して欲しい」と案件を紹介され、その流れであなたの元に提案に来ている案件だからです。

 

③あなたが会社の売却を考えていて(急いでいない)、M&A支援会社から「会社の売却をしませんか?」と提案を受けた場合

この場合は、売り手FAとして動いていただけるのであれば検討する旨を伝えてみると良いでしょう。あなたに連絡をしてきているM&A支援会社は、ダメもとで営業をかけてきているケースがほとんどです。

案件化を目的に連絡をしてきているのですが、最悪案件化出来なくても良いとも思っておりますので、案件化出来ないよりは売主FAとしての関与だけだとしても御の字だからです。

ただ、あなたが急いでいない、と言うのもポイントになります。急いでいないため、すぐに成約に至らなくても良い、時間がかかっても良いから自社の利益の最大化を求めたい、そんな時は自社の利益を最大化するためにもFAとしての関与をお願いしましょう。

 

④あなたが会社の売却を考えていて(急いでいる)、M&A支援会社から「会社の売却をしませんか?」と提案を受けた場合

この場合は、仲介として委託する方法が良いでしょう。なぜならば、あなたにアプローチをかけてきたM&A支援会社のモチベーションが上がる選択肢だからです。

同じような売上規模・利益規模・売却価格の案件があった場合、同じ労力をかけるのであれば報酬額が大きくなる仲介案件に注力するのが想像できるでしょう。

そんな M&A支援会社に対して、売主FAとして限定してしまうと動きが鈍ってしまう可能性があるので、スピード感を持ってアプローチを進めてもらうべく、仲介として動いてもらうことを選択すると良いと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

当記事では、FA業務と仲介業務の違い、それぞれのメリットやデメリット、セカンドオピニオンの重要性、M&A支援会社に案件を振ってもらいやすい方法、などを解説してまいりました。

昨今のM&A機運の高まりによって、良くも悪くも様々なM&A支援会社が増えてきております。M&A支援会社との関係性もあるので難しいところですが、状況に応じた判断・選択をしていきたいものです。

バトンズに掲載している案件でも、

[専門家あり/FA相談可]:M&Aの専門家が売主側のFAとなっており、基本的には仲介業務を想定しているケース

[専門家あり/FA可]:M&Aの専門家が売主側のFAとなっており、基本的には仲介業務を想定しているものの、買主には別のFAがついて、専門家同士での交渉を想定しているケース

[専門家なし]:M&Aの専門家が間に入っておらず、売主が直接案件を掲載しているケース

 

などの形態があります。事業を拡大したい、新規事業に参入していきたい、などの戦略から売り案件にアプローチするものの、なかなか買い手候補として交渉を進められない場合、上記の様な専門家の方の思惑による取捨選択が入っている可能性がございます。

上記視点に立ってみて、専門家の方から買主として選ばれやすい立ち位置でのアプローチをしてみてはいかがでしょうか?

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