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【2023年2月版】事業再構築補助金とは?「M&A」実施時に補助金を活用する方法

2023年02月08日

「補助額最大1億円!予算規模は1兆円!」

発表当初、そんなインパクトのある事業再構築補助金の第1回公募が開始されてから、はや約2年が経過しました。

公募回数は2023年2月3日時点で第9回公募まで進み、細かい申請の条件や申請枠は変わっておりますが、今でも新たな事業に対する資金調達手段の一つとして人気となっております。当コラムでは、改めて事業再構築補助金とは何なのか、どんな流れで申請を実施するのか、M&Aの場面で活用する方法がないか、その辺りのご紹介をしていきたいと思います。

 

事業再構築補助金とは?

事業再構築補助金が始まった背景

2020年から騒がれ始めたコロナウイルス感染症の影響が長期化し、1年が経過した2021年になっても需要や売上の回復が進みにくい状況が続いておりました。そうした状況が続く中で、国内ではポストコロナ・ウィズコロナに向けた経済社会の変化が求められる様になっていきました。

国としても、中小企業が上記経済社会の変化に対応していくための事業の再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことが重要になっていきました。

そこで生まれたのが、中小企業による思い切った新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、又は事業再編に対しての挑戦を支援し、対象となる費用を負担する「中小企業等事業再構築促進事業」なのです。

 

申請の要件

では、どのような要件を満たせば、補助金を申請することができるのでしょうか。事業再構築補助金を申請するための主要な要件は、大きく分けて以下の3つがございます。

 

①売上が減っていること

2020年4月以降(コロナウイルス感染症拡大後)の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1月〜3月)の同時期3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していること。

※つまりは、コロナの影響で売上が減少していること

 

②事業再構築に取り組むこと

事業再構築指針に沿った新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、事業再編を行うこと。

※つまりは、コロナ前は行っていなかった新しい事業や業種・業態に進出すること

 

③認定経営革新等支援機関と事業計画を策定すること

事業再構築を実施するための事業計画を、認定経営革新等支援機関と策定すること(補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関も参加して策定する必要あり)。

さらには、再構築をかけて臨んだ事業終了後3〜5年で付加価値額を年率平均3%以上増加させること、又は従業員一人当たり付加価値額を年率平均3%以上増加させること、これらを盛り込んだ事業計画を策定すること。

※つまりは、税理士や金融機関などと連携して、付加価値額の増加が見込まれる事業計画を策定すること

例外等もございますが、以上3点が事業再構築補助金を申請するための主な要件となります。

 

「事業再構築」とは?

売上減少要件、認定経営革新等支援機関との事業計画策定要件はイメージしやすいかと思います。では、申請の要件の一つにもなっている「事業再構築指針に沿った事業再構築」とは具体的にどんなものを指すのでしょうか?

こちらについては、「事業再構築指針」に示されておりますので、それぞれの概要を宿泊業・飲食サービス業を提供するホテルを例にとってご説明致します。

 

①新分野展開

新製品・新サービスを作って、新しい市場へ進出すること。

例)大人をターゲットにした宿泊業を営んでいるホテルが、屋内プールを作ってファミリー層にきてもらえる様な取り組みを行う(宿泊業自体は変更ないがターゲットを変更する)

 

②事業転換

大きな業種を変えることなく、提供するサービスを変更すること。

例)ホテル内のレストランで料理も提供しているホテルが、レストランの料理をテイクアウトできる専門店を作る(宿泊業・飲食サービス事業自体は変更なし)

 

③業種転換

新製品・新サービスを作って、業種自体を変更すること。

例)ホテルの稼働率が下がってしまったので、客室をシェアオフィスやコワーキングスペースとして提供する、不動産賃貸業に転換する

 

④業態転換

提供している商品やサービスは変えずに、提供方法を変更すること。

例)ホテルとしての営業方法は変えないが、チェックインロボットを導入するなどして、サービスの提供方法を変える

 

⑤事業再編

M&A等で会社の状態を変化させて、新分野展開 or 事業転換 or 業種転換 or 業態転換 を実施すること。

例)温泉のないビジネスホテルをM&Aして、屋上に温泉露天風呂を作ることにより、新たに温泉好きの非ビジネスマン層もターゲットにする(新分野展開)

 

どんな経費が補助金の対象になるの?

どんな経費も補助金の対象になるわけではございません。以下に、代表的な補助対象経費の例をご紹介致します。

 

・建物費

再構築事業を実施するために不可欠な事務所、工場、販売所、倉庫などを建設・回収するための費用。ただし、真に必要不可欠であることが認められない場合、新築は不可。

 

・機械装置、システム構築費

再構築事業を実施するためにのみ使用される、機械装置の購入、専用ソフトウェアの構築に要する費用。少しでも、既存事業のために使用してしまってはいけない。

 

・専門家経費

再構築事業を遂行するために、学識経験者や専門家に依頼したコンサルティング費用。ただし、事業再構築補助金を申請するために認定経営革新等支援機関などに支払う経費は対象外。

 

・広告宣伝、販売促進費

再構築事業で開発する製品又は提供するサービスに係る広告の作成、展示会出展、マーケティングツール活用に係る費用。ただし、再構築事業以外の広告に関しての費用は対象外。

 

上記の他、外注費や研修費、技術導入費なども補助金の対象経費となります。後から補助金の対象にならないなんてことがないよう、事前に対象となるかの確認はしっかり行いましょう。

 

補助上限額と補助率

補助金の補助率、上限額についてですが、企業規模・申請する枠の種類・従業員数に応じて異なります。補助率の幅は1/3〜3/4まで、補助上限額については500万円〜1億円と、だいぶ幅広くなっております。

特筆すべきは、最低補助金額が設定されているため、あまりに低額な補助事業に対しては対象とならないこととなります。

 

スケジュール

2023年2月3日時点で公募が開始されている第9回公募については、応募の締め切りが2023年3月24日(金)18時となっております。今回の公募が令和4年度における最終の公募になりますが、次年度についても順次公募が開始される予定になっており、2023年度末までに3回程度の公募が予定されている様です。

 

補助金申請を実施するための具体的な手続き

では、具体的に申請を実施するために必要なことは何でしょうか。申請完了までに必要な手続きは、大きく分けて以下3工程になります。

 

GビズIDの取得

事業再構築補助金の申請に必要な要件を満たしており、いざ申請の準備を進めようと思ったら、まず始めにすることは「GビズIDプライムアカウント」の取得です。

1つのID・パスワードを取得することで、様々な行政サービスにログインできる「GビズID」ですが、細かく分けると3つの種類のアカウントがあります。その中で、事業再構築補助金の申請に必要なアカウントは「GビズIDプライムアカウント」になります。

・申請書

・印鑑証明書

 

上記書類を郵送で提出し、書類審査が実施されます。申請書の提出から、基本的には1週間程度でアカウントが発行されます。書類に不備がある、タイミング的に申請が立て込んでいる、などにより審査に時間がかかってしまう場合があるので、余裕を持って早めに申請することをお勧めします。

GビズIDは、事業再構築補助金の申請だけに限らず、社会保険の手続きを始めとした各種行政サービスにも活用できるため、いずれにしても取得しておくと便利になるので取得しておくと良いでしょう。

 

事業計画の骨子検討

次に実施することは事業計画の策定です。GビズIDの取得には時間がかかりますので、書類審査の結果を待っているタイミングから策定を始めると良いでしょう。なぜならば、この事業計画の策定が非常に大変だからです。

初めてあなたの会社を知る人(補助金の審査員)に向けて、

・自分の会社はどんな会社なのか

・どんな商品やサービスを、誰に対して、どんな方法で売っているのか

・強みや弱みは何なのか

・市場環境はどうなっているのか

・コロナウイルス蔓延の影響でどんな被害が、どれだけあったのか

・コロナウイルス蔓延の影響を打開するために、どんなことを、どれくらいの費用をかけて、どんな方法で、どんなスケジュールで実施するのか

・上記実行するに際しての課題は何か、その課題を解決するためにどうするのか


などを盛り込んだ提案書を作成するのです。

この事業計画を策定する作業は非常に大変ではありますが、自社の現状分析、市場の分析、具体的な計画への落とし込みなど、そこまで深く考えたこともなかった事を考える非常に良い機会になります。

これまで気がつくことの出来なかった自社の強みに気付かされることや、他社のサービスを知るきっかけとなったり、新たな営業手法や営業先の発見などもあり、今後の経営に役に立つことは間違いありません。

 

「認定経営革新等支援機関」への相談・事業計画の策定

補助金申請に必要な事業計画書ですが、最大でA4用紙15枚作成する必要がございます(正確には15枚「以内」とされています)。特に決まったフォーマットが決められている訳でもなく、申請者の自由作文に任せられている部分があるため、初めて補助金申請用に事業計画書を作成する方は頭を悩ませてしまうかもしれません。

そんな時は、「認定経営革新等支援機関」の専門家の方に相談しましょう。事業再構築補助金の申請には「認定経営革新等支援機関」との計画策定が必要となりますので、早かれ遅かれ相談することになります。どこまで支援して頂くかにより、報酬の金額は変わってくる可能性もあるのですが、費用をかけてでも早期のうちから相談することをお勧めします。

なぜならば、これまでに何件も事業再構築補助金の申請支援をし、事業計画書を何件も見てきた専門家に任せた方が、採択率が格段にアップするからです。個人的なお勧めは、元々補助金の審査員をやられていた様な中小企業診断士の先生が運営する「認定経営革新等支援機関」に依頼することです。

下記URLから認定支援機関を検索することが可能ですので、ある程度事業計画の骨組みが固まったタイミングで問い合わせてみると良いでしょう。

https://www.ninteishien.go.jp/NSK_CertificationArea

 

電子申請で申請手続き完了

GビズIDプライムアカウントの取得、認定経営革新等支援機関との事業計画の策定が完了しましたら、あとは申請を実施するだけです。

申請は電子申請のみとなっているため、申請受付期間中に、事業再構築補助金の特設申請サイトにGビズIDプライムアカウントを使用してログインし、申請書の入力項目と添付書類を添付の上、申請します。

申請時に添付が求められる書類は、

・決算書

・事業計画書

・労働者名簿

・コロナにより売上減少したことを示す書類

・認定経営革新等支援機関による確認書


※認定経営革新等支援機関が、この計画であれば事業を再構築できそうだ、と太鼓判を押した確認書

など、多岐に渡るため、事前に専用ファイルに保管しておくなど、整理しておくと良いでしょう。事業再構築補助金の特設サイト内には、電子申請の際の操作マニュアルも準備されておりますので、参考にすると良いでしょう。

 

採択事例の紹介

温泉旅館を運営する宿泊業者が、グランピング施設を新たに建設する再構築事業

コロナ前までは温泉旅館での宿泊業を営んでいましたが、コロナ禍になり宿泊客が激減してしまいました。密を避けるアクティビティ(ゴルフやキャンプ、グランピングなど)の需要が強まる中で、旅館の近くの空き地を活用し、サウナ付きのグランピング宿泊施設を建設する計画。

これまでは温泉旅館に興味のある60代以上の高齢者層が多かったところ、キャンプ好き・サウナ好きの30代中年層、ファミリー層の新規予約に繋がる新分野展開になると判断され、採択となったケース。

 

焼鳥居酒屋を運営する飲食業者が、串打ち工場とテイクアウト専門の小型店舗を建設する再構築事業

コロナ前までは居酒屋店舗1店舗での飲食業を営んでいましたが、コロナ禍になり緊急事態宣言などの影響で来店客が減少してしまいました。お惣菜やテイクアウトした食材を家で楽しむ、そんな巣篭もり需要が広がる中で、スーパーマーケットの入り口横スペースや駐車場内の空きスペースなどを活用して、小型の焼鳥テイクアウト専門店を建設する事業。

テイクアウト店舗は1店舗だけでなく複数店舗建設し、販売本数の急増が見込まれることから串打ち専門の工場の新設も実施する計画。

提供する商品(焼鳥)は変えずに、飲食店舗での提供方式からテイクアウト専門店での持ち帰り販売方式へと変更する業態転換として、採択となったケース。

 

M&Aの場面において事業再構築補助金を活用する方法

譲渡実行後に発生する費用のみが補助金の対象

事業再構築補助金において、M&Aに関する費用を補助金の対象とするには事業再構築のタイプの中で、「事業再編型」を活用する方法となります。

事業再編を実現した後に、事業再構築(新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換、いずれか)を実現するために要する費用が補助金の対象となります。

注意しなければならないのは、事業譲渡代金や仲介専門家に対する仲介費用、デューデリジェンス費用などの、事業再編手続きの際に要した費用は対象にならず、事業再編後に実施する事業再構築事業に対しての費用が対象となる点です。

 

M&Aの特質と補助金の特質の違い

「補助事業を実施する前に申請し、採択を受けた経費のみ補助金の対象となる」

そんな補助金の特質から、M&Aの取引とはタイミングが合わない、という問題があります。公募期間、採択時期など、一定のスケジュールに基づき手続きを進めて行く必要がある補助金の申請に対して、M&Aの交渉・手続きはそうもいきません。

M&Aの交渉は相手があることですので、タイミングが非常に大切になります。そんな中で、「補助金の公募期間前なのでM&Aの交渉は始められない。来月の10日から交渉を始めさせてください」などとは言っていられないのです。たまたま、補助金申請のタイミングと、M&A交渉のタイミングが合致すれば良いですが、そんなことは滅多にあり得ません。

上記理由から、M&Aの交渉と補助金の申請は相性が悪い、そう考える方は多いと思います。

 

事前着手申請を行うことでカバー可能

通常の補助金であれば、上記理由からM&Aと補助金の申請は相性が悪いよね、で終わってしまうかと思います。しかし、この事業再構築補助金に限っては違います。

事業再構築補助金には「事前着手承認制度」という他の補助金では存在しない、少し変わった制度があります。補助金の採択がおりる前、補助金の本申請を実施する前から、「待っていられないので、申請前から事業の再構築を始めちゃいますね」という申請を行うことができるのです。

この制度を活用すると、事業譲受の相談があったタイミングでM&Aによる統合の相乗効果を測定、事業計画を策定しておいて、M&Aの実行の可否を検討します。相乗効果が見込め、譲受を決断した場合はM&Aを実行します(このタイミングで、事業再構築補助金の公募期間である必要はありません)。

そして、次の公募期間が訪れたタイミングで事前着手承認申請を実施し、さらにはM&A検討のタイミングで作成しておいた事業計画書をベースに補助金の申請を行うのです(補助金申請のためだけに作成するよりも、事業計画策定の負担感はだいぶ減ります)。

仮に採択されなかったとしても、M&Aの可否を判断するための計画策定ですので落ち込みすぎることはありませんし、採択されれば一石二鳥です。

そしてM&A実行後に、M&A後に計画していた新事業に必要な経費支払いを実行し、後にその経費負担を補助金として回収できるのです(補助金入金の時期は、だいぶ先にはなってしまいますが)。

M&A後に実行する事業が、当初の事業計画と180度変更してしまった場合は、一切補助金の対象とはなりません。しかし、当初M&Aを検討する際の作業としては、無駄な作業ではないと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

新たな事業への転換、挑戦するという文脈から、事業再構築補助金とM&Aは非常に相性が良いと思います。しかし、「事業再編型」を活用した申請の複雑さや分かりにくさから、この類型での申請はあまり浸透していない様にも感じています。

M&Aで事業の譲受、合併等を検討する際に、事業再編に伴う相乗効果や事業戦略を練る方は多いと思います。しかし、事業再構築補助金用の事業計画書を作成するほど具体的に、検討する方は少ないのではないでしょうか?

より深く事業統合の可能性、相乗効果を探る観点から、【事業再構築補助金の申請+事業統合の相乗効果精査】を同時に進めていけたら一石二鳥かと思います。M&Aの交渉を進めるかどうかを深く検証し、ついでに事業再構築補助金の申請も行っておく、公募のタイミングにもよってくるかとは思いますが、オススメです。

 


【監修者プロフィール】


株式会社LifeHack 代表取締役/ M&A支援機関登録専門家
冨田修平(とみたしゅうへい)

一般社団法人茨城県事業承継センター 代表理事/
横浜国立大学経済学部卒業。大学卒業後、地元茨城県の税理士法人勤務を経て、2018年株式会社LifeHackを設立。
中小・零細企業のM&A支援業務に特化し、第三者M&Aに関しての啓蒙活動にも注力している。
専門家ページ:https://batonz.jp/experts/2988

 

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