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2024/01/09

事業再編投資損失準備金の拡充~2024年度税制改正

記載者情報
現在の制度(中小企業事業再編投資損失準備金)
中小企業事業再編投資損失準備金とは、事業承継等事前調査(実施予定のDD)に関する事項が記載された「経営力向上計画」の認定を受けたものが、取得価額10億円以下の株式取得によってM&Aを実施する場合に、株式等の取得価額として計上する金額(取得価額、手数料等)の70%を準備金として積み立てた時は、その事業年度においてその70%部分が損金算入できる制度です。 株式売却等を行った場合や、5年経過後に益金算入して取り崩すようになっています。
2024年税制改正で新しい制度が併設
現在の制度は令和6年3月31日に適用期限が到来しますが、3年間延長するとしています。 更に、下記の新しい制度が創設されます。 1.産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法施行日から令和9年3月31日までの間に産業競争力強化法の特別事業再編計画(仮称)の認定を受けた認定特別事業再編事業者(仮称)が、その認定に係る特別事業再編計画に従って他の法人の株式等の購入取得をし、かつ、これをその取得日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している場合(その株式等の取得価額が100億円を超える金額又は1億円に満たない金額である場合及び一定の表明保証保険契約を締結している場合を除く)において、その株式等の価格の低落による損失に備えるため、その株式等の取得価額に次の株式等の区分に応じそれぞれ次の割合を乗じた金額以下の金額を中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てたときは、その積み立てた金額は、その事業年度において損金算入できる措置を加える。 イ その認定に係る特別事業再編計画に従って最初に取得した株式等・・90% ロ 2回目以後の株式等・・100% この準備金は、その株式等の全部又は一部を有しなくなった場合、その株式等の帳簿価額を減額した場合等において取り崩すほか、その積み立てた事業年度終了の日の翌日から10年を経過した日を含む事業年度から5年間でその経過した準備金残高の均等額を取り崩して、益金算入する。 2.その事業承継等を対象とする一定の表明保証保険契約を締結している場合には、本制度を適用しないこととする。 3.準備金の取崩し事由に株式等の取得をした事業年度後にその事業承継等を対象とする一定の表明保証保険契約を締結した場合を加え、その事由に該当する場合には、その全額を取り崩して、益金算入することとする。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
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