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2024/02/26

経営者保証”不要”の信用保証制度が創設

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3月15日からスタート予定
融資の際、中小企業の4割が利用しているといわれている信用保証制度ですが、その7割で経営者保証を求められているそうです。 経済産業省は、令和5年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき、新たに“保証料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度”を3月15日より申込受付を開始する予定と発表しました。 ※要件確認などの事前審査は2月16日より開始予定。
新しい信用保証制度の概要
本制度は“対象要件を満たすこと”と“保証料の上乗せ”が必要となります。 <対象要件> 次の要件のいずれにも該当すること 1.過去2年間(法人の設立日から2年経過していない場合は、その期間)において貸借対照表、損益計算書等その他財産、損益又は資金繰りの状況を示す書類(1)を当該金融機関の求めに応じて提出していること。 2.直近の決算書において代表者への貸付金等(2,3)がなく、かつ、代表者への役員報酬、賞与、配当等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと。 3.直近の決算において債務超過ではない(純資産の額がゼロ以上である)こと又は直近2期の決算において減価償却前経常利益が連続して赤字ではないこと。 4.上記1及び2については継続的に充足することを誓約する書面を提出していること。 5.中小企業者が保証人の保証を提供しないことを希望していること(*4)。 ※法人の設立後最初の決算が未了の者の場合にあっては1から3までに掲げるものを、法人の設立後最初の2期分の決算が未了の者にあっては3に掲げるものをそれぞれ除く。 (*1)原則、貸借対照表及び損益計算書とするが、必要に応じて試算表や資金繰 表等も含む。 (*2)「代表者」には代表権を持つ者のほか、代表者に準ずる者も含む。 (*3)「貸付金」以外の金銭債権(仮払金・未収入金等)も含み、少額のものや 事業の実施に必要なものは除く。 (*4)経営者保証を不要とすることができる既存の保証制度等については、本制度によらず、引き続き従前の取扱いを可能とする。 <保証料率> 通常の保証料率に下記どちらかの上乗せを行う。 ・上記3の要件を両方とも満たしている場合は0.25%の上乗せ ・上記3の要件をどちらか一方のみを満たしている場合は0.45%の上乗せ ※2期分の決算書がない場合は0.45%の上乗せ。 ◇出典:経済産業省|別紙1.保険料上乗せにより経営者保証の提供を不要とする信用保証制度(制度概要) https://www.meti.go.jp/press/2023/01/20240123002/20240123002-1.pdf
3年の軽減措置
本制度の活用促進を目的として、上乗せした保証料の一部について3年間の時限的な保証料負担軽減策が実施される予定です。 (保証申込時期)       (軽減率) ・制度開始~令和7年3月末まで  0.15% ・令和7年4月~令和8年3月まで  0.10% ・令和8年4月~令和9年3月まで  0.05%
経営者保証ガイドライン
先にご説明した新制度は、経営者保証の機能を『保証料の上乗せ』で代替することで、既存の“経営者保証ガイドライン”の要件よりも緩和した要件で設定がされています。 <経営者保証ガイドライン> 全国銀行協会と日本商工会議所が策定したガイドラインで、下記要件の全て、又は一部を満たすことで、経営者保証なしで融資を受けられる可能性、すでに提供している経営者保証を見直すことができる可能性があります。 <経営者保証ガイドラインの要件(概要)> ・資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている ・財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である ・金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている もし、上記要件を満たしているようであれば、経営者保証ガイドライン活用も視野に入れてご検討されることをお勧め致します。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
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