事業再生
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2023/10/13

【実例から学ぶ】事業再生現場のリアル ~V字回復する企業の特長 建設業編~

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V字回復する企業の特長 ~建設業編~
業績不振に陥っているがその後、V字回復していく企業には特長があります。 今回は建設業編ということで建設業が業績不振に陥ったあとV字回復しやすい特長について説明していきます。 ・売上は毎年ある程度安定していて、 ・営業利益もトントンが少しマイナスくらいなのに ・キャッシュが枯渇している この特徴は建設業で業績不振に陥りやすい落とし穴をよく表したものです。 「売上は毎年安定していて」という部分ですが、確かにある程度ベースとなる 売上というのはあるのですが期末になってくると毎年売上の帳尻を合わすために 急いで期末に売上を押し込んでくるために、なんとか前年度同様の売上はできている ように見えているだけというパターンです。 当然その反動で毎年期首の売り上げが落ち込んでしまうので、その落ち込み分も 翌期の期末に帳尻を合わせてといった繰り返しになってしまっています。 「営業利益もトントンが少しマイナスくらいなのに」という部分についても、 売上などは毎年横ばいにも関わらず未成工事支出金等が拡大しており、費用の先送り がされているだけで本質的には案件ベースで計算すると利益の改善ができておらず 赤字体質であるというパターンです。 その結果、現金・キャッシュは正直ですから、売上や利益の金額はそこそこでも 「キャッシュが枯渇している」という状態に陥り一気に資金ショートになりあっという間に 身動きがとれなくなってしまいます。
そこからV字回復した事例
ただ、こういった企業においても早めに根本的な対策をとれば2年から3年で見違えるように V字回復するケースがあります。 そのためにはまず、業績管理体制を見直す必要があります。 「毎年期末に売上の帳尻を合わせている」というのも毎年の偶然ではなくある意味体質になって しまっていて必然的にそれが起こっているともいえます。 業績管理体制の見直し方法として、期首の段階からきちんと期末の目標とたてて、期が始まったら その期末の目標から逆算をしていくら足りないかを毎月把握する場を設けます。 これを毎月実施することで期末に向かって逆算で物事を考える癖がつくようになるため、 期末の直前になってどうしようか、といったことはまずなくなります。 次に「根本的な赤字体質から抜け出せない」という点です。 こちらはもう少し細かな管理が必要となります。その企業ごとによって原因が異なる場合が多いので 対策については様々なパターンがありますが、まずは案件ごとの粗利額、粗利率を明らかにすることです。 これによって案件ごとの傾向がみえてきますが、 これをさらにもっと細かく、 見積段階の案件ごとの     売上高、原価、粗利額、粗利率 最終実行予算段階の案件ごとの 売上高、原価、粗利額、粗利率 完成・精算段階の案件ごとの  売上高、原価、粗利額、粗利率 これを比較することで、段階別の粗利額や粗利率の変化を見える化します。 そうすることで見積段階に問題があるのか最終実行予算段階で問題があるのか、完成・精算段階で問題があるのか ある程度見えてきます。 そこから問題がある部分の業務分析を行い対策をとっていくということなります。 粗利率としては2%や3%の改善で小さな数字に聞こえるかもしれませんが、 仮に売上高が10億の企業の場合は、営業利益が2000万~3000万円ほど増加する計算になりますから、 一気に黒字体質化します。 その体制のまま、2~3年ほどたつとその黒字の恩恵で実際のキャッシュにも余裕がでてきて、 財務体質も大きく変化するというV字回復のお手本のようなケースになっていくというわけです。
あなたは業績不振に陥っている企業の阻害要因を取り除けるか
ここでピンときた方も多いと思いますが、 業績不振に陥っている会社だからといって買い手としてその候補から外すというのは、 あまり良い選択肢ではありません。 それよりも業績不振に陥っている会社であるからこそ、売り案件としてでている場合もあるし、 買収予算の少ない方でもより多くの案件の選択肢がでてきます。 つまり買い手としては業績不振であるというリスクが買いのポイントになるケースもあるわけです。 その場合、以下の点がとても重要になります。 ☆最も大切なことは、ベースとなる売上の基盤があるか。 ☆また今後もある程度それが見込めるか。 ☆そして赤字体質に陥っている要因は何なのか。 ☆それは自分達のスキルや設備投資、シナジー効果などで解決できる要因かどうか。 ☆解決できた際のアップサイドリターンはどれほど見込めるか。 以上のことを見極めることができれば、他の人には見えていない、あなただけの本質的な 企業の価値を見つけることができると思います。
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