事業再生
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2023/10/06

【実例から学ぶ】事業再生現場のリアル ~業績不振に陥る企業の共通点について~ 

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はじめに
~勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。~  プロ野球の野村克也監督の名言として広く知られている言葉です。 この言葉は経営にも深く共通する部分があるのではと思います。 成功した経営者のインタビューをみると口々に自分は運がよかった、 振り返ってみるといろいろな巡りあわせがあって今の成功がある、など。 そういった言葉を口にする経営者が多いということに驚かされます。 もちろん成功に至るまでには苦労や努力を積み重ねた結果であり、 つかみ取れた成功であることは間違いないと思います。 ただ直接成功に至った要因というのは案外運の要素も大きく、 何か定型的にこれをやれば必ず成功するというものではないような気がします。 まさに、勝ちに不思議な勝ちあり、です。 一方、私自身が実際に体験してきた事業再生の現場では、 全く別の業種であるにも関わらず不思議と共通したモノを感じることが多くありました。 しかも時折ではなくほぼすべての案件において同じような原因を抱えて業績不振に陥っているのです。 まさに、負けに不思議な負けなし、です。 このコラムでは、再現性の低い会社の成功術ではなく、 再現性高く業績不振になってしまう「こうなってはいけない」しくじりポイントについて解説します。
共通点 ~経営者と社員のあいだにある不信感~
経営者と社員とのあいだに互いの積年の不信感がつもり積もっており、 これが原因でうまくコミュニケーションがとれていないという点です。 ただこの原因を掘り下げてヒアリングしてみると、多くの部分はお金にかかわる内容になります。 社員からすると自分はこれだけ売上をあげているのに、なぜ給料があがらないのか。 会社が赤字なのは経営者が別のことに使い込んでいるからではないか、という不信感が沸々と湧いてきているのです。 今思えばよく私に話しをしてくれたなと思いますが、みんなどこかで第三者の立場で話を聞いてくれる人に不満を ぶつけたいのだと思います。 ただ私の場合は、ただ同調して聞くだけではなくきちんと相手の主張が合理的であるかどうかを 確かめながら聞いていきます。 たとえば、売上金額はいくらですか、 その原価はいくらかかっていますか、 会社の販売管理等の経費はどのくらいで計算して利益を算出していますか。 あなたの給料アップに必要な利益はいくらで考えていますか。 その利益を実現するためには何件の受注が必要ですか。 などなど 当然ながら、これらの答えに数字を用いて回答をしてくれた方はいませんでした。 酷いときには自分は給料が30万で50万の売上を上げてるのに何で会社は赤字なんだと訴える方もいました。 (その売上には原価や外注費も発生しているし、工期も数か月かかっている) このような状態では経営者とコミュニケーションをとることはできないでしょう。 社員側の数字に対する知識があまりにも欠如しており議論するための前提が築けていないのです。 またそのような状況だからこそ経営者側もコミュニケーションを諦めていて、互いに大きな溝ができてしまっているというパターンです。 このような状況においては、思い切って業績をオープンにすることから始めます。 これは経営者側も勇気をもって実施する必要がありますが、まずは同じ共通目標を設定することが大切ですからそのためにも 業績をオープンにします。そして毎月数字を見ながら社員と会話を交わし数字に基づいたPDCAを繰り返していきます。 その結果、利益が増え、その利益が実際に見える化され、利益の一部が社員の給与や賞与といった形で還元されて初めて 会社全体の数字への意識が高まり、一体感が生まれるきっかけとなります。 本日は共通点について解説させていただきました。 その他にもいくつかありますが、それはまた次回以降のコラムにて解説します。 弊社では、実践的な組織戦略についても多くのアドバイスを行っております。 もしご興味がある方は下記ホームページよりお問い合わせ下さい。 Biz Linksys 代表 / M&A支援機関登録専門家 福住仁志(ふくずみ ひとし) 会計事務所を母体とするコンサルタント会社に入社、全国TOPの目標達成率を樹立し東京支社長就任。中小企業においても、事業再生の1つの手段としてM&Aが必須となると確信し、代表としてBiz Linksys (事業承継・引継ぎ 相談窓口)を立上げ現在に至る。M&Aのアドバイザーを務めながら、実践的な組織戦略のアドバイス、各企業のクラウドサービス導入等の支援も実施している。 会社HP:https://bizlinksys.jp/
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