事業再生
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2021/01/25

中小零細企業と大企業の違い⑤:戦略より戦術が重要

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中小零細企業と大企業の違い⑤:戦略より戦術が重要
 中小零細企業と大企業では、実は経営の参考書等では書かれていない様々な違いがあります。  そして経営の参考書やビジネス書などに書かれている内容の多くは大企業に関する内容であり、中小零細企業には当てはまらないケースも少なくありません。  そのため、M&Aで大会社のサラリーマンが買収して中小零細企業の経営者になった場合、大企業と同じような感覚で、教科書通りや、サラリーマン時代で経験した大企業の感覚で経営をしてしまい、その結果、うまく経営できず業績を悪化させているケースが多発しています。  中小零細企業の経営をまずは中小零細企業の実態を理解し、それを踏まえて評価しなければ、中小零細企業をうまく経営することはできません。  そこで、中小零細企業の実態について、8回にわたって大企業と比較しながら説明していきます。  中小零細企業と大企業の違い5回目は、「戦略より戦術が重要」です。 ●「戦略」と「戦術」の違い  戦略とは、売上や利益、企業価値向上などの「目的」を達成するための「方向性」のことです。  例えば「営業戦略」は、どの地域や顧客属性、業種などにターゲットを絞って営業活動を行っていくか等を明確にします。  一方で戦術とは、戦略(方向性)に沿った具体的な手法を言います。  例えば「営業戦術」と言えば、営業戦略で決めたターゲット向けの具体的な営業手法を構築したり、必要な営業ツールを作成したりすることです。  そして一般的に言われるのが、「戦術より戦略が重要」だということです。  これはビジネス書などでよく言われていますが、実際はそうとは限りません。 ●大企業は「戦略重視」、中小零細企業は「戦術重視」  大企業にとって重要なのは「戦略」になります。  組織が大きく従業員も多い大企業では、戦略を立てて全体の方向性を合わせることがまず第一だからです。  そして経営者や幹部が戦略を立てて、現場の従業員が戦略をどのように実現していくかの戦術を構築していくのが通常です。  一方で中小零細企業は、「戦略」より「戦術」を重視しなければなりません。  もちろん、戦略が大前提となるのですが、主に単一事業の中小零細企業にとって主な戦略と言えば、ポーターの基本戦略の1つである「差別化集中戦略(ターゲットを絞り、差別化された商品を投入する戦略)」をベースに、アンゾフの成長戦略である「市場浸透戦略」「新市場開拓戦略」「新商品開発戦略」「多角化戦略」の4つの戦略のいずれかを決めるだけで十分な場合が多いのです。  つまり、中小零細企業の戦略は概ね決まっているのです。  そのため、上記の戦略に沿って具体的に何をするかという戦術に注力することが重要なのです。  また、売上規模の大きい大企業の場合、市場の変化や業種の成長サイクルである「幼年期」「成長期」「成熟期」「衰退期」に大きく影響されます。  つまり、外部環境に大きく影響を受けるのです。  一方で中小零細企業は、規模が小さく小回りがきき、機動的に効果的な施策を打ち出すことで効果が出やすいと言えます。  そのため、成長サイクルや市場の変化に影響を受けますが、いくら 衰退期になる業種であっても、戦術を工夫することによって、業績が大きく向上することも多いのです。  つまり、外部環境に影響を受けるものの、工夫次第で売上や利益を向上させることは比較的容易なのです。  なお、大企業の場合、戦略は幹部、戦術は社員が構築するというように分担で実施します。  しかし中小零細企業では、社員が少なく、戦術構築を行う時間や人材が不十分であるため、現場の社員に任せると施策が進展しません。  そのため、戦略と戦術の双方を、経営者や経営幹部が構築しなければならないのです。    このように、中小零細企業の社長の役割は極めて大きいと言えるのです。
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