公開日 | 2022/08/10 |
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記載者 | 翠星企画株式会社 |
財務・税務
事業承継税制(特例措置)とは
事業承継税制(特例措置)とは
事業承継税制とは、中小企業の事業承継推進のために設けられた贈与・相続税が猶予される制度です。
中小企業の後継者に対して、先代の経営者から“非上場”の株式や資産などを贈与、相続または遺贈された際、一定の要件を満たすことによって納税が猶予されます。
もともとは平成21年の税制改正で事業承継税制(一般措置)が設けられたのですが、
企業の利用頻度は高くなく、事業承継を後押しする制度としては物足りないものがありました。
そこで平成30年度の税制改正では、対象範囲を拡大し、節税効果もより大きくなった事業承継税制(特例措置)を新設しました。
現在、企業が事業承継されることなく廃業・解散するケースの6割は直前期決算で黒字を計上している優良な企業です。
そういった企業を事業承継させることは、その地域経済の活力を維持し、雇用の維持・確保に繋がります。
贈与・相続税が負担となって、後継者が事業承継後に資金繰りが苦しくなってしまっては元も子もありません。
この特例措置では、一定の要件を満たすことによって、贈与・相続税が100%猶予されます。
そしてこの要件を満たしながら経営を続けていくことで半永久的に納税の猶予は続き、
さらに一定の条件を満たすことで、猶予されている贈与・相続税は納付免除となります。
納付免除となる条件は以下になります。
・後継者の死亡
・相続税課税対象者となる先代経営者の死亡
・会社の倒産
・次の後継者への贈与、等々
はじめにこの特例措置の申請・申告方法ですが
経営承継円滑化法に基づいて「特例承継計画」を作成します。
この計画は認定経営革新等支援機関の指導・助言に基づいて作成を行います。
その後、都道府県知事の認定を受けて税務署へ申告を行うという流れになります。
原則として、贈与・相続税申告期限から5年間はその後継者は代表者として経営を行わなければならず、
5年を経過した後も対象株式を継続保有することが求められています。
猶予期間中は、都道府県庁への年次報告書を年一回、
税務署への継続届出書提出を5年目までは年一回、6年目以降は3年に一回行います。
事業承継税制のメリット
この税制のメリットは
一つは後継者の贈与・相続税の金銭的負担が減ることです。
二つ目はこの特例措置は期限の定めのある時限立法ですので、中小企業の事業承継を推進しやすいことにあります。
実際に現在企業の第三者承継も増加傾向にあり、2011年の1,687件から2019年には過去最高の4,088件まで増加しています。
(2020年は新型コロナウイルスの影響で減少しましたが、それでも3,730件と高水準です)
特例措置で変更された特徴を上げると
・対象とする非上場株式の上限撤廃
(一般措置では総株式の2/3まで)
・相続における納税の猶予割合の引き上げ
(80%から100%へ)
・後継者の人数を最大3人へ(一般措置は1人)
・贈与対象が「20歳以上の推定相続人・孫」から「20歳以上の者」へ緩和し第三者承継も可能に
・雇用確保要件(承継から5年平均8割の雇用維持)について、経営革新等支援機関から指導・助言を受けることで事実上の撤廃
ということが挙げられます。
事業承継税制の注意点
また、注意点としましては
取消事由に該当すると、猶予されていた税金全額にプラスして利子税を納付しなければなりません。
取消事由は多岐にわたり複雑ですので、専門家・支援機関と連携して経営を行う必要となります。
主な取消事由として
・後継者が代表権を有しない
・株式等の譲渡、解散
・合併による消滅
・資本金、準備金の減少
・上場企業となった場合
などがあります。
金額的なメリットは非常に大きい税制です。
事業承継に悩んでいる経営者の方はぜひ、経営革新等支援機関へご相談ください。
以上、参考になれば幸いです。
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