公開日 | 2023/02/20 |
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記載者 | 翠星企画株式会社 |
M&A
M&Aで注意すべき「名義株主」とは
M&Aで注意すべき「名義株主」とは
M&Aで株式譲渡をする際のトラブルの一つに「名義株主」というものがあります。
これは株式名簿に載っている名義上の株主とは別に、実際に出資をした「実質株主」がいることです。
そうすると、どちらが本当の株主なのか?
という問題が出てきます。
この答えは既に判例として出ており、出資金拠出者である「実質株主」が株主権を有するとされており、名義株主は“実質株主の意向に反して”株主権を行使してはならないとされています。
つまり株式譲渡に際しても、名義株主にはその権利がない、ということになります。
では、本当の株主である「実質株主」から株式を譲渡してもらえばいいのでは?となるのですが、
実際はそう簡単にはいかず、トラブルとなるケースもあります。
過去にあったトラブルとしては
1.M&Aで株式譲渡が行われた「後になって」実質株主が現れ、名義株であったことがわかる
2.「名義株主」が株主権を主張してくる
というものがあります。
平成2年の商法改正以前は、株式会社を設立するためには7名の株主を必要とされていました。
しかし様々な理由により「名義株主」が存在しています。
本当はただ一人が出資者であるのに、数合わせとして親族や親しい友人に「名義株主」となってもらったケースや、
出資者が名前を出せない、出したくない場合に他人の名義を借りて株主となってもらうケースなどです。
この「名義株主」と「実質株主」の株主権については時効がなく、今から30余年以前に起業した中小企業ではそのままになっていることも多いです。
その間に(名義)株主権を相続して所有者が変わっている場合などに、先のトラブルの種があります。
1.M&Aで株式譲渡が行われた「後になって」実質株主が現れ、名義株であったことがわかる
一つ目は、M&Aが成立した後に「実質株主」が現れた場合です。
話し合いと譲渡金額の受け渡しで穏便に済めば問題はありません。
しかし、実質株主が
株式譲渡することに反対であったとか
譲渡価額に納得がいかなかった、
本来「実質株主」が受け取るべきお金を「名義株主」が渡してくれない、等々
訴訟を提起し損害賠償請求をした、などという事例も過去にはあります。
「M&Aであの会社、トラブルがあったらしいよ」
などと吹聴されては買い手の企業イメージを損ねてしまう可能性もあり、
成立したはずのM&Aが契約違反となり、取り消され破談となってしまうこともありえます。
2.「名義株主」が株主権を主張してくる
名義株主は元々お金を出していませんし、判例としても株主権はない、とされています。
にもかかわらず、株主権を主張してきたらどうなるでしょうか。
名義株主であることを“知って”、意図的に権利を主張してくる場合、
相続などで当事者以外が引き継いでおり、名義株主であったことを“知らずに”権利を主張してくる場合
可能性としてはありえます。
もともとは、当時友好関係にあった人に名義株主となってもらうのがほとんどではあるのですが
時間が経てば経つほど、人間関係や経済状況も変わり、当時の状況を知らない人も増えていきます。
場合によっては、弁護士を立てて対策を取らざるをえないこともあります
訴訟となると時間を要することも考えられます。
M&Aを検討していて、創業が平成2年以前の企業においては、しっかりと売り手側で株主状況を整理し、
もし「名義株主」の問題が発覚した場合は、可能な限り早期に問題解決を図るように努めてください。
以上、参考になれば幸いです。
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