M&A
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2022/03/24

株式分散がM&Aにもたらす意外なデメリットとは?

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はじめに
株式分散」という言葉をご存じでしょうか? 非上場で中小規模のオーナー企業でも、意外に多くの株主がいることがあります。 株主が多いと、M&Aによる事業承継を検討する際に、思わぬハードルとなることも……。 今回の記事では、企業の株式分散の実態と、M&Aにおけるデメリットについて解説します。
株式分散とはどういうこと?
まず、株式分散について説明しましょう。 ■オーナー企業なのに株主がたくさん!? 株式分散とは、企業の株式を複数の人物が保有している状態を指します。 非上場の中小企業は基本的にオーナー企業なので、オーナーが100%株式を保有していると思われがち。 しかし、中小企業でも株主が10人近くもいる会社があるのです。 ■なぜ、中小企業で株式分散が起こるのか 中小企業の株式分散は、次のような経緯が考えられます。 ① 相続で株式が拡散 2代目、3代目社長の場合、先代が亡くなった際に、株式が親族に分散している可能性があります。 ②社長が配ってしまう 長年継続している会社の場合、経営者が株式を親族や取引先などに少しずつ配っていることがあります。 株式の譲渡は、「お礼」の意味合いで行なわれることが多く、「過去にお金を融通してもらった」「長年取引して経営を支えてくれた」といった理由で、身内以外にも株主が多くいるパターンが散見されます。また、非上場企業の株式は勝手には売れないので、もらった方も実は換金できない株式となり、そんなに意識してない人が多いです。
株式分散はM&Aにどう影響するのか
M&Aを検討する際、株式分散は思わぬデメリットをもたらします。その理由を説明しましょう。 ■少数株主の存在は買い手企業に嫌がられる! まず伝えたいのは、「株式が分散しているとM&Aの買い手企業から嫌がられる」ということです。多くの場合は買い手側が株式を集めた上での譲り受けが条件となります。 例外もあります。1人が90%以上の株式を所有している場合は、他の10%の株式を複数人が所有していても、スクイーズ・アウトという手法が使えます。 どういうことかといいますと、10%未満の株式を買い取る権利が90%以上保有する株主にあるので、時間と手間はかかりますが、実質100%にすることができます。 その際、たとえ一株しか持っていなくても、公告された株価で1株を現金化することになります。だから、1株でも株式の価値は意外に大きいものです。 ですので、売主の株式保有割合が90%以下の場合は少数株主から買い取った上でM&Aすることを買い手からは求められるのです。 また、株主の権利というと財務諸表といった重要書類の閲覧権限をはじめ、株主総会への出席する権利があります。 株主総会では議案を決議します。ほとんどの議案は過半数で決議されます。過半数あれば取締の選任も可能です。そして、取締会の半数を支配するということは代表も選任できますし、実質、経営できることになります。 また、3分の2以上保有すれば株主総会で特別決議も思い通りに決議することが可能となります。ということは3分の1以上を持つ株主は特別決議に反対できるということです。 ・・・つづきはこちら↓ https://www.kizuna-corp.com/column/kabushiki-bunsan/
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