公開日 | 2020/12/07 |
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記載者 | 弁護士法人飛翔法律事務所 |
M&A
M&Aのポイント④ 決済(クロージング)時の留意点
弊所では各自が専門分野をもって活動しております。各企業の幅広いニーズにお応えできるものと考えております。
専門分野
契約書草案作成
事業再生
デューデリジェンス
法務支援
対応可能エリア
日本全国対応可能
M&Aのポイント④ 決済(クロージング)時の留意点
色々な手続や調査等を踏まえてようやく最終契約書の締結まで至り、安堵する方も多くいらっしゃるかと思います。ただ、これまでの締めくくりとして決済手続(クロージング)が残っており、これを完了するまで気を抜くことはできません。
ここでは、M&Aを締めくくる決済(クロージング)時の留意点について、売主・買主に分けて、それぞれご説明致します。
まず、売主側としては、最終契約に基づき譲渡代金を受領した上で、譲渡関係資料や印鑑等を引き渡すことになります。クロージング後は、原則として譲渡対象企業との関係が遮断されることになりますので(最終契約書等に別段の定めがある場合はこの限りではありません。)、クロージングに先立ち、前提となる条件(連帯保証その他の担保の解除等)を全て整えておくことが重要です。
その上で、クロージング後も譲渡対象企業と一定の関係を残す場合には、その関係を根拠付ける契約書等が全て締結された状態でクロージングを迎えるべきです。具体的には、クロージングまでに売主側の連帯保証が解除できない場合は、連帯保証人の変更が完了するまでの間の保証料を定める保証委託契約を締結すべきです。また、クロージング後も顧問や相談役として売主側の代表者等が企業に残り、必要なアドバイスや引継ぎを行うことが予定されている場合には、顧問契約等を締結しておくべきです。
他方、買主側としては、最終契約に基づき譲渡代金を支払った上で、譲渡関係資料や印鑑等を受領することになります。クロージング後は、売主は譲渡代金を受領して満足していますので、何らかの不備があった場合に改めて売主に協力を求めても、これに応じるインセンティブがないため、誠実に対応してもらえる保証はありません。そこで、買主としては、譲渡代金を支払うまでに、売主側の協力が必要な事項を全て完了させておくのが重要です。その上で、クロージング後に協力を求める必要がある場合には、最終契約書等に明記し、協力義務違反があった場合に譲渡代金の一部返還や後払いの譲渡代金の減額ができるようにしておくべきです。
また、M&Aが進んでいる間も通常の企業活動は変わりなく行われるものですので、M&Aを理由に中断がなされるようなことがあってはなりません。M&A前の従業員説明会やM&A後に行われる買主側による説明会等については、売主側の協力も得ながら確実に準備して実行することになります。加えて、M&A後の取引先等への告知についても、クロージング後に直ちに行うことができるよう、事前に準備しておくべきです。
最後に、買主側は、譲渡代金の支払い後、直ちに役員の変更登記等必要な手続を行うべきであり、可能であればクロージング当日に全て完了させるべきです。そのため、クロージング後の手続まで想定して予定を組むことが重要となります。
なお、譲渡代金の送金は、授受されるべき書類や物品が揃っていることを確認の上で行い、着金確認後直ちに引渡しを受けることになります。そのため、クロージング手続は、送金手続や着金確認がすぐにできるよう、銀行の会議室等で行われるのが通例です。