M&A
451
2020/12/07

M&Aのポイント①株主確認の重要性

記載者情報
M&Aのポイント①株主確認の重要性
1 株主確認の重要性 M&Aを行うにあたって、株式譲渡による方法を選択する場合はもちろん、事業譲渡による方法を選択する場合であっても、株主とその持株数を確認することは必須となります。  誰が何株の株式を保有しているのかを確認するとともに、適法に取得された株式であるか否かを確認します。売主ではない者から株主としての権利を主張されるリスクや、各手続における株主総会決議に瑕疵がある判断されるリスクを回避するために十分に調査・確認する必要があります。 2 確認の際に用いる資料 会社法上、株式会社は、株主名簿を作成する必要があります。そのため、買主は、売主に対して、現在の株主構成を把握するために、株主名簿の提出を求めます。そして、買主は、当該株主名簿における株主が適法に株主としての地位を有しているかを確認します。具体的には、デューディリジェンスに際して、株券発行会社であれば株券を確認したり、原始定款を確認したり、過去の株式譲渡契約や株主総会議事録・取締役会議事録、確定申告書上の記載を確認し、現在の株主に株式が移転する経過に問題がないかを確認することになります。 3 名義株の問題 各種資料を確認した上で、売主から提出された株主名簿上の株主が権利を有しているのか、或いは他に株主としての権利を主張する者がいないかを確認することになります。旧商法下においては、会社を設立するために最低7人の発起人が必要とされておりました。そのため、人数合わせのために資金は実際に設立を望むものが出捐し、名前だけ借りているようなケースがありました。こうした名義株について適切に対応がされているかが問題になることがあります。 4 株券の問題 株式会社には、株券の券面を発行する株券発行会社と、株券の券面を発行しない株券不発行会社があります。現在の株式会社は原則として株券不発行会社ですが、会社法が施行されるより前は、株券発行会社が原則とされていました。株券発行会社において株式を譲渡する場合には、合意のみならず株券の券面を交付することが必要です。株券発行会社であるにもかかわらず、株券の券面が作成されていないケースでは、M&A時の株式譲渡に際して、株券の作成する対応や株券不発行会社に変更するための対応が必要になります。また、過去の株式譲渡に際して株券の券面が交付されていなかったということであれば、株式譲渡自体の有効性にも疑義が生じることとなります。
関連コラム