中小企業支援
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2021/05/19

事業性評価①:事業性評価とその本質

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事業性評価①:事業性評価とその本
 2016年に、書籍「捨てられる銀行」が出版されて大きな話題となりました。  書籍の内容は、ざっくり言うと、これからの銀行マンは、企業に対する貸出の是非の判断について、従来のような企業の人的担保や物的担保ではなく、事業の中身(事業性)で判断すべきというものです。  しかし、当書籍出版から5年が経とうとしていますが、事業性評価は進んでいないのが現状です。 ●従来までの企業分析  これまで銀行が中小零細企業に対して行ってきた企業分析は、PLやBSの決算書や試算表という「数字」が中心でした。  しかしこの数字の分析(定量分析)は事業活動の「結果」であり、なぜその結果に陥ったのかの「原因」はわかりません。  これは人で例えると「お腹が痛い」という結果しかわからず、なぜお腹が痛いのかの「原因」まで突き止めていないのと同じことです。  腹痛の原因は人によって異なり、食べ過ぎかもしれませんし、内臓器官のどこかが悪化しているのかもしれません。  同じ「腹痛」という結果であっても、原因は人によって様々です。  胃潰瘍かもしれませんし、盲腸かもしれません。  このように腹痛の原因を突き止めるには、医者がしっかりと検査する必要があります。  そして腹痛の原因を究明し、その人に合った治療を行わなければ、完治することはありません。  これは企業でも同じで、決算書による分析で判明する「問題点」は、業績が悪化した多くの企業でそれほど違いはありません。  しかし、決算書の数字が悪化した原因は、個々の企業で皆異なります。  そして、その個々の企業の問題の原因を明らかにするには、事業活動の「中身」の分析(定性分析)を行う必要があるのです。 ●事業性評価の本質  「事業性評価」という言葉は、金融庁の平成26年の金融モニタリング基本方針の中で、「金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適切に評価し(事業性評価)、融資や助言を行い、企業や産業の成長を支援していうことが求められる。」と示されました。  つまり事業性評価とは、事業の「中身」を理解し、評価することです。  そして事業の中身を評価するためには、定量評価と定性評価の双方から事業を分析しなければなりません。  具体的には、定量分析で収益性と安全性を見極め、その上で定性分析によって事業内容および将来性を評価し、事業を継続できるか、経営を安定化させて成長させることができるかを見極めることが本質です。  そのためには、企業の現状を正確に把握して事業の問題点・課題がどこにあるのか、そして強みがどこにあるのかを究明し、問題点の改善による安定性と持続性を実現できるか、強みを活かした施策により成長性が期待できるか、これらを見極めることが、事業性評価の本質なのです。
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