M&A
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2021/04/28

M&Aのポイント②買主と売主の双方からの表明保証条項のポイント

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M&Aのポイント②買主と売主の双方からの表明保証条項のポイント
〇表明保証条項の役割 表明保証条項は、最終契約書などに規定されるものであり、会社ないし事業が問題のない状態であることを売主に表明させ、売主に保証責任を負ってもらうことで、万が一表明保証条項に違反した場合には、損害賠償請求や株式の買取請求等ができるようにして損害の回避や軽減を行うものです。 このような表明保証条項は、デューデリジェンスの結果によって会社や事業において想定されるリスクが将来現実化した時のために備える役割もありますが、特に重要な役割としては、デューデリジェンスの補完機能です。 つまり、M&Aの場面では、デューデリジェンスは短期間で行わなければならない場合も多く、また、外部者である買主の立場からすれば、売主側の提出した資料やインタビューに基づいて判断せざるを得ないため、それらが真実であるか否かについて検証する時間が十分に取れない場合が多くあります。そのため、デューデリジェンスでは調査しきれない部分について、会社や事業の実情を熟知する売主に保証してもらうことで、リスクを回避するという役割が重要です。 〇表明保証条項の内容 表明保証条項の内容としては、一般に出回っているひな形のような定型的な条項もありますが、上記のようにデューデリジェンスに表れたリスクの回避やデューデリジェンスの補完の役割を意識して、対象会社ごとにカスタマイズすることが非常に重要です。 例えば、会社の運営において重要な取引契約においてCOC条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)が含まれて否か、含まれているとして相手方の承諾を得ているかについては、取引の重要性や万が一取引が中止となった場合の影響も踏まえながらの表明保証条項を検討する必要があります(場合によってはM&Aを中止するか否かにもつながる場合もあるでしょう。)。 また、労務に関して言えば、労働時間の管理や時間外手当の適切な支給に関して疑問が残ったり、ハラスメントや実質的解雇などの外部者からは分かりにくい潜在的リスクについて回避するためのフォローが必要です。 このように、対象会社ごとのカスタマイズについては、正確なデューデリジェンスを行う能力と共に、将来のリスクを想定する能力が必須となります。 〇表明保証を求められたときの売主側の対応 他方、売主にとっては、違反の場合に賠償責任等が生じることから、買主側が要求してくる表明保証条項については慎重に検討する必要があります。もっとも、デューデリジェンスの負担を経た後であり、多くの場合は時間的な問題もあって、何とかM&Aを実現したいと考えている状況でもあります。 そのため、買主のリスク回避の要望も踏まえながら、表明保証条項の調整が必要になりますが、実務的には、①除外を設けること、②重要な点に限ること、③認識している範囲に限ることがよく用いられます。 つまり、①は表明保証の対象外のものについて「~を除き、~こと」として、保証ができない性質のものを除外したり、既に当該リスクについては検討された上で対価が決定されているような場合において、違反として責任を負わないようにするものです。②については、認識違いなどによって影響の小さい部分や違反の程度が軽微な場合にも責任を負うことのないようにするものであり、例えば、「重要な点において内容が真実であること」などと限定を行うものです。③は、あくまで売主が認識している範囲で保証を行うというものであり、「(売主の)知る限りにおいて、~のおそれがないこと」などとして限定するものです。これは特に簿外債務の存在や第三者の権利を侵害していないことなどに用いられます。 売主側としては、自身がコントロールできない事項を原因として重大な責任を負うことがないようにしつつ、M&Aの実現に向けて買主と交渉する能力が必要となります。
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