PMI
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2020/12/27

シナジー効果の鍵は、「問題」を解決し、「強み」を活用できるよう統合すること

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シナジー効果の鍵は、「問題」を解決し、「強み」を活用できるよう統合すること
 前回のブログでご説明したのですが、M&Aにおける売手企業のビジネスDDでは、企業の問題点を抽出するだけでなく、強みを抽出することが重要になります。  なぜなら、売手企業の強みを把握することにより、買収後のシナジー効果を発揮させ、成長戦略を描くことができるからです。  売手企業と買手企業のシナジー効果を発揮させるポイントは、売手企業と買手企業の、それぞれの問題点と強みについて整理し、戦略・戦術を構築した上で融合することです。  売手企業には、さまざまな問題点と強みが隠れています。  ビジネスDDで売手企業の強みを抽出し、買手企業の経営資源を活用してさらに伸ばせるか、また買手企業の強みを売手企業に活かせるかを検討します。    その他、売手企業の問題点については、PMIによって経営改善を行うことも重要です。  こうして売手企業の問題点を改善し、お互いの強みをそれぞれが活用することで、シナジー効果が得られるのです。  そのため、単にマニュアル通りにPMIを行ってもシナジー効果は期待できません。  ただし、売手企業の社長は、自社の問題点、強みを明確に把握できていません。  そのため、ビジネスDDを行わなければ、買収しても売手企業の事業の潜在的な問題は解決せず、潜在的な強みを活かすこともできないのです。  事業の中身を詳細に調査することはビジネスDDしかありません。  日常ではなかなか振り返ることがないのです。  そのため、企業を買収しても、買収前から存在する問題点を、買収後にも解決できないのです。  そしてその会社の強みも理解できず、その強みを活かすことができません。  したがって、決められた方法で時間をかけてPMIを行っても、シナジー効果を発揮することが難しいのです。  現在の日本は、多くの中小企業の経営者が高齢化し、後継者不足で廃業に陥っています。  この現状の中で、日本の中小企業事業を継続し、日本全体を安定的に維持、発展させるためには、スモールM&Aの活性化が不可欠です。  しかし形だけで会社を統合してもうまくいきません。  ビジネスDDで経営や事業の中身をしっかりと把握し、その上で、PMIで確実に経営統合する、更にシナジー効果を発揮して企業価値を高めていく。  このプロセスこそが、スモールM&Aに不可欠なのです。
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