PMI
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2020/12/23

経営改善事例(実行支援)/電子部品メーカー

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経営改善事例(実行支援)/電子部品メーカー
■事業概要  電子部品メーカーで、本社と工場の双方で製造している。  会社規模は、社員は20名(パートは10人)で、売上高は約1億円強。  現社長(女性)は、メインの技術者の妻であり、元々事務員。そのため事業の詳細や商品知識が不十分で、PL、BSの知識も不足している。メイン技術者の妻だから社長になったという経緯があり、元々社長職に関心があった訳ではないため、モチベーションは低い。ただし責任感はある。  社長は元々事務員であったため、社長になっても他の社員に積極的に指示できず、社員を統制できていない。  製造する部品は手作業がメインで、切削加工などはなく、小さい部品の組立が中心であるため、製造設備も少ない。  顧客との取引は長く、関係性もある。カスタマイズ品も多く、売上高はほぼ既存顧客が占めている。ただし製品の価格は昔のまま改善していない。 ■財務状況  長期間経常利益は黒字を維持しており、数百万円のCFを出している。売上高借入金比率は20%程度で借入も多くない。  しかし、現預金はそれほど多くはなく、資金繰りが厳しくなる月がある。これは、売掛金のサイトが長く、買掛金サイトが短いため、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル:仕入から販売に伴う現金回収までの日数)が4ヶ月かかるためである。売掛金が入らなければ、仕入資金が不足する月が発生する場合もある。  また、月次棚卸は未実施のため、大量仕入の月の試算表は原価率が大幅に上昇し、毎月の収益を正確に把握できない。  なお、近年利益率が減少傾向であるが、これは原価率増加が原因。原価は、材料費・労務費・外注費・経費で構成されているが、その中で売上高に対する材料費比率が増加しており、材料の仕入高が向上する一方、販売価格は変更していないため、材料費比率が上がって収益を圧迫している。 ■問題点  当社の問題は大きく4点。  1つは、資金繰り状況を見ずに大量仕入を行うため、資金繰り難に陥る時期が出てしまうこと。  2つめは、材料費や労務費が年々増加しているが、長年価格表(販売価格)を改定していないこと。  3つめは、社長に商品知識が乏しく、収益状況を把握できず、従業員の統制も取れないこと。  そして4つめは、業務が属人的で管理者が不在、各人が独自で業務を管理し、技術の承継もされていないことである。 ■強み  当社の強みとしては大きく3点。  1つめは、1品からカスタマイズしており、少量多品種対応が可能なこと。  2つめは、カスタマイズしている多くの固定客を持ち、その得意先との関係性があり、競合が少ないこと。  そして3つめは、技術者が一定のスキルを保有し、さまざまな要望に対応できることである。 ■改善策  改善策は、まずは価格を見直して短期的収益力を上げることである。材料費が上がっているため、商品別の原価管理を見直すことで、一気に利益を向上させることが可能である。当社は顧客と関係性があり、カスタマイズ品も多いため、値上げは可能と判断できる。  また価格改定では、原価を見直すことが重要である。従来の商品別の原価には、材料費しか計上されておらず、労務費が含まれていないため、原価が正確に計上されずに値付けをしているのである。作業負荷の高い製品は、低利益率や赤字のものがある可能性がある。手作業で時間のかかる商品は利益率が低くなっている可能性が高い。そのため、材料費に加えて労務費を含めて原価を再計算する。  その他、試算表で予実管理を行い、収益状況や現預金の状況をタイムリーに把握することである。これにより、資金繰りを踏まえた仕入が実施できるようになる。  さらに、組織の管理・統制、そして承継を行うしくみを構築することである。各人のノウハウを承継する体制を構築しなければ、各技術者が退職してしまうと、その技術者のノウハウを会社として失ってしまう。そのリスクを回避する必要がある。
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