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2020/07/06

株券発行会社のデメリットとは?

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自社が株券発行会社かどうかを確認する方法
現在、会社法では「株券不発行」が原則となっているため、最近設立した法人では、特に変更しない限りは、「株券発行会社」になっていることはない。ただ、社歴が長い会社などでは、株券発行会社になっているケースもある。 それを確認するためには、自社の登記事項証明書(登記簿謄本)が必要になる。登記事項証明書に、「当会社の株式については、株券を発行する」と記載してあれば、株券発行会社である。 株券発行会社である場合、株券作成の費用がかかったり、株券の紛失リスクがあったりと、いくつかデメリットがあるのだが、中でも特に注意すべきなのは、「事業承継税制の適用時」と「M&A実行時」の2つである。
株券発行会社のデメリット
法人版事業承継税制では、一定の手続きを行えば、自社株に対する贈与税や相続税の課税が猶予される。その際、納税猶予の条件として、自社株の担保提供が必要となる。株券不発行会社であれば、「株券不発行会社に係る非上場株式に質権を設定することについての承諾書」を税務署に提出するだけで済むが、株券発行会社であると、自社の株券を法務局に供託する手続きを行わなければならない。 また、M&Aで株式譲渡を行う場合には、株券発行会社であると、株券が全て揃っていないと株式譲渡ができない。株券を発行していない場合は、株券を印刷して交付する必要があり、紛失している場合には、別途株券喪失登録などの手続きが必要となり、交渉が滞る恐れがある。
株券不発行会社への変更
株券発行会社が上記のようなデメリットを回避したい場合には、株券不発行会社に変更することができる。手続きの概要は以下の通りである。 (1)株主総会の特別決議での定款変更 (2)株券を発行する旨の定款の定めを廃止すること等の公告と株主への通知 定款変更の効力発生日の2週間前までに公告し、かつ、株主及び登録質権者には個別に通知する。 上記の手続きを経た上で、株券発行会社の株式に係る株券は、効力発生日に無効となる。最終的には、効力発生日から2週間以内に変更登記を行って、手続きは完了となる。
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