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2021/10/07

岸田総理誕生、中小企業や税務への影響は?

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岸田政権による令和版所得倍増計画とは?
9月29日の自民党総裁選で決選投票の末、岸田氏が総裁に選出されました。そして、今日召集の臨時国会で第100代首相に指名される予定です。 ちょうど9月30日で緊急事態宣言が解除されるタイミングで、今後、コロナ対策と経済の両立が求められます。政治の変化は、中小企業の経営にも影響大です。 そこで、現在、公表されている情報からわかる限りで、岸田政権が中小企業や経営者個人に与える影響をまとめてみます(執筆時点2021.10.1)。 まずは、総裁選時点で発表されていた岸田氏の政策です。 <コロナ対策> ・医療難民ゼロ ★困窮者や中小に給付金、経済対策数十兆円 ・ワクチン接種証明書や無料PCR検査拡充 ・健康危機管理庁(仮称)の創設 <エネルギー> ・原発再稼働を含む戦略策定 <社会保障> ・子育て世帯の住居・教育費支援 ☆看護師・介護士らの給与増へ検討委員会 ☆厚生年金の対象者拡大 <企業> ・四半期開示見直し、下請取引の監視強化 <デジタル・地方> ・5Gの早期展開、テレワークで2地域生活振興 <税制> ★金融所得課税見直し 岸田氏は、「令和版所得倍増計画」を掲げています。 総裁選勝利後の会見では、今後の経済対策について、「新しい資本主義の構築」「成長と分配の好循環」「幅広い国民の所得・給与を引き上げる経済政策」「大企業と中小企業、高所得者層と中・低所得層、大都市と地方の格差を埋める」などの発言もされています。 ここから読み取れる方向性としては、おおまかには、高所得者層や大企業への増税、中・低所得層や中小企業への減税、所得引き上げ策の実施などが予想されます。
年内に数十兆円の経済対策発表?
11月の衆院選や来年7月の参院選を意識されていることもあり、公約通り、年内に数十兆円規模の経済対策が発表されることになりそうです。 昨年度に実施された持続化給付金や家賃支援給付金についても、再支給が検討されています。 一般個人向けには、公明党が0歳から18歳を対象にした一律10万円の給付金を主張しているため、これらの給付が盛り込まれる可能性があります。 また、岸田氏は、個別の経済政策として以下のような項目も掲げています。 ・オープンイノベーションへの税制優遇 ・スタートアップへの徹底支援 ・中小企業の事業再構築・生産性向上への支援 ・企業による人的投資推進への支援 上記に関連する施策も、経済対策には盛り込まれるかもしれません。
金融所得課税は一律20%から引上げか?
高所得者層への増税としては、金融所得課税(税率一律20%)の引上げが検討されるようです。 従来、所得税は累進課税ですので、所得が多いほど税率が上がる仕組みになっていますが、実際には、2019年時点で所得が5,000万円超~1億円の層の所得税負担率は27.9%、20~50億円の層は18.9%と逆転現象が生じています(1億円の壁)。 その理由の1つが、上記の金融所得課税です。所得再分配の目玉として、実施される可能性があります。 その結果がわかるのが、毎年12月中旬に発表される来年度の税制改正大綱です。 今年は衆院選との関係で、大きな改正を議論する時間はないのではないか、との声もありますが、自民党税制調査会長の甘利氏が幹事長に就任したことにより、党内根回しなどがスムーズに進むかもしれません。 いずれにしても、今回の税制改正はしっかり注目しておきたいと思います。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
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