シンプルで使いやすく、値段も手頃なアクセサリーを中心に取り扱うECサイト「seasukii」の運営を主力事業とするseasukii合同会社で代表を務めるのは、穏やかな笑顔の中にも芯の強さを感じさせる徳田紗衣様。立ち上げから半年で黒字化を実現し、そのインスタグラムは8,000人ものフォロワーを抱えるほどの堅調な事業を、この度なぜ譲渡することに決めたのか。そこには、徳田様の中で芽生えた新しい思想と事業内容との大きなギャップがありました。ご自身の心の声に耳を傾け、常に自然体で時を紡いでいくような素敵な生き方をしていらっしゃる徳田様に、事業譲渡に至るまでの変遷やその際に感じたことなどを詳しくお伺いしてまいりました。
譲渡企業 | |
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社名 | seasukii合同会社 |
業種 | EC事業 |
拠点 | 福岡県 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受企業 | |
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社名 | 株式会社ステラコンサルティング |
業種 | 経営コンサルタント業など |
拠点 | 神奈川県 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
「いつか自分のブランドを立ち上げたい」4年前に叶えた夢、眠れなかった半年間
専門学校に通われていた徳田様は、カナダ留学を経て時計販売店へご就職。その後、アクセサリーメーカーに転職をされ、「いつか自分のブランドを立ち上げたい」という想いを抱くようになったのだそう。徳田様が実際にその夢を叶えられたのは、それから4年後のことでした。
会社名でもありブランド名でもある「seasukii(シースキー)」は、彼女(she)の好き(suki)なもの、彼女の(she’s)カギ(key)となるもの、そして徳田様のお名前である紗衣のローマ字表記(sae)に字面が似ているといった理由から命名されました。前職で新ブランドを立ち上げたご経験もあったため、事業を創ること自体はスムーズに進んだとのこと。
ですが、初めの半年は赤字が続き、夜も眠れないほど悩まれた時期もあったとのことで、「とにかく、思いつくことは全てやりました。その中のひとつとして、インスタグラムを使った認知度の向上を考えました。数えきれないほどのインフルエンサーたちにDMを送ってアプローチしていくうちに、少しずつ反応が返ってくるようになって売上も伸び始めたんです。今でこそ、半年後に黒字化したと言えますが、当時は赤字の状態がいつまで続くかなんてわからないので、本当に辛かったです」と語る徳田様。
ところが、試行錯誤を経て順調に成長を遂げるようになっていた事業は、1年前に行ったリニューアルによって既存顧客の離脱が起き、再び赤字へと戻ってしまったそうです。
事業譲渡を決めた理由は、心の中に芽生えた新しい思想と自事業との大きなギャップ
事業譲渡を決めた理由は、直近1年の業績赤字だったのかというと、1番大きな理由はそこではないとおっしゃる徳田様。真の理由は何だったのか、掘り下げてお伺いすると「もちろん、事実として赤字ではありましたが、その理由はブランド名変更によるものだとわかっていましたし、過去の成功体験から再び顧客数を伸ばして黒字に戻す方法もわかっていました。事業譲渡をすることに決めた1番の理由は、私自身の思想の変化なんです。
年齢を重ねるごとに、物を長く使いたいと思ったり、地球の環境問題に対する興味が深くなったりしていく自分がいて。一方で、この事業が取り扱っているのは単価2,000円前後のアクセサリーですから、長く使えるものではありません。また、ある程度の時間が経過して劣化すれば廃棄する必要がありますが、金属製なので商品の多くは土に還るのに気の遠くなるような年月がかかります。このことは、私の心の中に大きなギャップを生み出しました。つまり、自分がお客様に提供している商品を、心から推せないという状態になってしまったんです」とのこと。
そこで、税理士の方に決算報告をした際に相談をしてみたところ、事業譲渡というM&Aの選択肢を提示されたのだそうです。「M&Aという言葉自体は知っていましたが、会社をまるごと売却するものだと思っていて、事業だけを切り出して売却できるということは知りませんでした。私は、会社そのものは残したいと思っていたので、この事業譲渡という手法が自分に合っていると感じました。そこで、ネットや知人を通じて事業譲渡について調べていくうちに、バトンズという名前が何度も挙がってきたので、とりあえず登録してみたことがきっかけです」とのこと。
こうして、徳田様のM&Aが本格的にスタートしたのでした。
大切な時に必ず連絡してくれた買い手候補に、不思議な繋がりを感じて最後は決断
そんな徳田様が最終的に選ばれたのは、バトンズを通じてお問い合わせがあったという「株式会社ステラコンサルティング」の代表、木下綾子様。実は、当初は税理士の方から紹介された企業への売却を考えていたそうで、合計3社の買い手候補の中でも、メールでの接点しかなかった木下様とはあまり話が進んでいなかったそうです。
にもかかわらず、最後は木下様に譲渡すると決断されたのは「まさにタイミングだった」とのことで、「実は、この事業を譲渡した後も、アクセサリーに関わるような事業を構想していたんですが、事業譲渡後20年間は基本的に同種の事業を興すことができないという競業避止義務の観点から、買い手の方との調整が必要でした。そこで、税理士さんを通じて交渉したんですが、先方から終日連絡が取れなかったため、私の中で “この企業で本当にいいのかな”という迷いが生じたんです。
そんな折、バトンズさんから電話がかかってきて近況を共有する場を設けていただきまして。そこで、迷っていることをお話ししたところ、新たな候補として2社ほど繋げていただいたんです。木下さんは、はじめこそ接点がメールだけで、他の候補の方々よりも深いお話ができていない印象があったんですが、そんな私の気持ちを察してくださったのか、直接お電話をくださるようになったり、何か大切な時には必ずご連絡を頂戴することが続いたりするうちに、何だか不思議なご縁を感じ始めたんです」とも。
そんな徳田様が次なる展望として描いたのは、天然石の通信販売事業。「もともと、40歳までにアクセサリー販売の事業はやめようと決めていました。それは、自分自身がターゲットである20〜30代のカスタマーの気持ちや感覚がわからなくなるだろうと思っていたからです。そんな矢先、地球に優しくて、それぞれに個性があり、形や模様は唯一無二で、しかも可愛らしいという、とても魅力的な商材である天然石というものに出会ったんです。天然石はまだまだニッチですし、“怪しい”というネガティブなイメージを持っている人がいるもの事実です。ですが、この市場が大きくなれば、環境問題にも貢献できるんじゃないかと思っていて。そういう会社を作るのが、今の私の目標なんです」と楽しそうに語る徳田様は、ご自身の心の声に誠実で、大きな夢を単なる夢で終わらせない行動力をお持ちの素敵な女性経営者でいらっしゃいました。
徳田様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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