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【連載記事】35年ともに歩んだ同僚の突然の退職。年齢とともに考えた自分と顧客の行方。後編

2018年11月17日

▼元同僚と二人三脚で経営してきた竹内オフィス。しかしお互いに歳を重ね、竹内さんはが会社の将来に想いを馳せる中、元同僚は勇退してしまうのでした。

 

竹内オフィスはM&Aできない?

よしんば、元同僚に経営を託してもよいのではないか、とも竹内さんは考えていたそうです。その可能性もなくなり、思い出したのが「中小企業のM&A」という言葉でした。

竹内さんには3人の子供がいましたが、全員親元を離れ独立した生活を送っていましたから地元に帰ってくる見込みもなく、とうとう「自分が引退したら会社はどうなるんだろう」、この質問に残された回答が見えてきたのです。

竹内さんは、CDを送ってきた会社が開くセミナーに参加し、コンサルタントにも相談にいきます。ところがそこで返ってきたのは「高い報酬が必要になる」という事実で、この頃竹内さんと奥さんの2人だけの会社となっていた竹内オフィスにとって「うちのような会社には縁のない話なんだ」とこの時思ったそうです。

 

コンサルタントに紹介されたアイクス

ところが、このコンサルタントから思わぬ言葉を聞きます。「地元の会計事務所で、M&Aと言うより、後継ぎ探しをご支援できる方がいます」と。最初はよくわかりませんでしたが、このまま黙っていれば目前に70歳があり、廃業するほか方法はない。であれば、一度相談して話を聞いてみよう。そうしてコンサルタントに紹介されたのが、アイクスという静岡市を拠点とする会計事務所でした。

その後、アイクスの担当者、飯田さんとアポイントをとり話を聞いてみたところ、より安く、しかし全国規模で、竹内オフィスを継いでくれる方を探してくれるとのことでした。

アイクスは、静岡市で50年続く老舗会計事務所ですが、10年ほど前より地元企業の廃業を止めるべく事業の引き継ぎ業務を手掛けています。顧問先が廃業してしまうのを黙って見過ごしていては地域経済は衰退する一方だと危機感を感じ、自らが後継ぎ探しや引き継ぎにかかる実務支援を行うようになったのです。

 

インタビューに答えてくれる竹内さん

 

後継ぎを探して会社を継いでもらう、それが「中小企業のM&A」

竹内さんの不安の根源はなんだったのか。自分が引退したら顧客対応する人がいなくなる。元同僚とともに入会してもらった1,000もの顧客はその後どうなるのか。ご紹介いただいたご縁はどこにいってしまうのか。引退したくともできない。これらは、竹内さんの想いを継いで、竹内オフィスを任せられる人がいれば解消されるものでした。

その後飯田さんからは、実際に後継ぎ候補となる会社を数社挙げていただき、そのうちの1社は事業内容も似ているし通じるところがあるのではないかと思い、面談することとなりました。飯田さんにこのような具体的な後継ぎ候補を見せてもらったり、進め方や必要な資料などアドバイスいただいたことで、徐々に会社を継いでもらうとはどんなことなのか、イメージがついてきました。

「これでお客さんを信頼できる先にお任せできるかもしれない」これを機に、創業から30年以上竹内オフィスを社長として率いてきた竹内さんの行く先も、ぼんやりと浮かんできたのでした。

 

社長自ら福岡から静岡へ。その心意気に安心。

飯田さんから紹介された会社は、イデックスビジネスサービスという福岡の会社でした。アスクルのエージェントに加盟したのが平成13年と、竹内オフィスよりもアスクル歴は後ではあるものの、その他にもOA機器販売やオフィスリノベーションというオフィス関連事業を広く行っています。

正直なところ、事業規模の大きな会社だったので「本当にうちのような会社に興味があるのか」と最初は半信半疑になるほどでした。しかし、実際に会ったことでそれは杞憂であったとすぐに分かりました。

イデックスビジネスサービスの若杉社長自ら本社の福岡からわざわざ掛川の竹内オフィスまで来てくれたのです。この時、若杉社長は竹内さんの心情を慮り、今後の顧客対応などの希望にも真摯に耳を傾けてくれました。この面談で大変好印象を持ったイデックスビジネスサービスへ、竹内オフィスは譲渡することとなったのです。

 

イデックスビジネスサービス本社での調印式の様子

 

古希という節目に、経営にも区切りをつけられた

面談からは、会社を継ぐための手続きがあり、実際に経営権が移るまでには半年くらいかかりました。その間、会社の書類の整理には苦労しましたが、飯田さんがいてくれたこともあり福岡の会社とのやり取りにもかかわらず、両者で継続的にコミュニケーションをとりながら進めることができました。

そして2017年10月、譲渡契約書の調印にあたっては竹内さんが福岡のイデックスビジネスサービスに表敬訪問するかたちで行いました。60代前半から薄々と感じはじめていた会社の将来に対する不安。この日、ちょうど70歳という節目の年に竹内さんは後継ぎへと会社を託し、10年近い経営者の苦悩の日々は終わりを告げたのでした。

 

頑張った元同僚にも報いたが、奥さんへも報いることができた

2018年現在、引き継ぎも終わったのでスポーツ教室に通うなど、竹内さんは健康面に気をかける生活ができるようになりました。リコーの営業マン時代からずっと外を駆け回ってきた体をようやく労わる時間ができたのです。

また、今ではイデックスビジネスサービスから派遣された新たな担当者が、竹内オフィスの顧客を大切に引き継いでくださり、元同僚と歩んできた会社の歴史は今後も続くのです。そして何より、35年もの間そばで支えてくれた奥さんに、心の余裕を持たせてあげれたことが嬉しいと語ってくれました。孫と遊べる時間も増え、笑顔が増えた奥さんを見る、竹内さんが一番笑顔になっているのだと思います。

竹内さんとしては少し恥ずかしい話だと思いますが、竹内オフィスの創業者として今後も竹内さんの名前は語り継がれるのです。それが、経営者として一番の喜びなのかもしれません。ただ、竹内さんは筆者が「竹内社長!」とお呼びすると「もう社長じゃないですからやめてくださいよ」と照れながら言いました。そんな謙虚さも営業マンとして成功した秘訣だったのでしょう。

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