新潟県新潟市を拠点にお酒を含む飲料とタバコの販売を行なってきた「株式会社のりきち本店」。代表を務める長谷川聡様は、昭和54年ごろにお父様が創業した本事業を受け継いで運営されてきました。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業運営に大きな打撃を受けたことをきっかけに事業承継を検討。バトンズを通じて、山形県在住の個人の買い手様へ事業譲渡を実現されました。酒類小売業を営む中で実感したコロナ禍の苦労や、成約に至るまでの道のりなどについて、長谷川様に詳しくお話をお伺いしました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社のりきち本店 |
業種 | 卸売・小売業(飲料・日用品) |
拠点 | 新潟県 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受側 | |
---|---|
区分 | 個人 |
業種 | 製造業 |
拠点 | 山形県 |
譲受理由 | 起業 |
新潟市を拠点に、約50年にわたり事業を運営
長谷川様のお父様が「株式会社のりきち本店」を開業されたのは、昭和54年のこと。それから約50年にわたり、酒類小売業と自動販売機事業を営んでこられました。
「私は一度サラリーマンとして働いたのち、26歳の頃に父からこの事業を譲り受けました。15年程前までは店舗もあったのですが、撤退して飲料とタバコは自動販売機での販売のみとなっています。お酒に関しては、飲食店への卸売をメインで行なっています。時代の流れもあり昔はとても繁盛していましたね。」
酒類の販売は、酒税法に基づき販売場ごとにその販売場の所在地の所轄税務署長から販売業免許を取得する必要があります。以前は酒類販売免許を取得するにあたり、近くの酒販店との間に一定の距離を設ける必要がある距離基準や、地域の人口に応じて免許の枠数が制限される人口基準があり、規制が厳しかったそうです。
しかし、こうした酒類販売免許の要件が段階的に緩和されはじめ、2001年には距離基準が、2003年には人口基準が廃止されました。規制が緩和されるということは、参入障壁がなくなり競争も激化するということ。そんな中でも「株式会社のりきち本店」は取引先との信頼関係を築きながら長年事業を継続されてきました。
売上低迷に伴い、父親から受け継いだ事業を手放す決断
順調に事業運営されてきたのりきち本店ですが、コロナ禍を迎え大きな打撃を受けました。緊急事態宣言の発令に伴い、外出自粛を余儀なくされ外食や旅行などの需要が激減。当時の状況について、長谷川様は以下のように振り返ります。
「主に飲食店にお酒を販売していたので、コロナの影響はかなり大きく受けました。営業ができないお店がほとんどでしたので、一時は売り上げがゼロになることもありました。一方で、自動販売機はコロナの影響はほとんど受けず、事業は安定していました。しかし、コロナ後の物価高の影響で売り上げが低迷したんです。
そして、2024年7月から新紙幣が発行されるということで、このタイミングで新札対応のために紙幣選別機を入れ替える必要が出てきました。新紙幣発行の際に必ず機械を入れ替える必要はないのですが、元々自動販売機の入れ替え目安である10年を超えて使用していたため、このタイミングで機械を入れ替えたいと思っていました。しかし事業が苦しい中、機械の入れ替え費用を工面するのが難しく、事業譲渡の決断をしました。」
コロナ禍、物価高、新紙幣の発行というさまざまな社会的背景から、事業を継続することが難しいと判断された長谷川様。そのまま廃業という選択肢も考えましたが、二世代で続けてきた事業を誰かに引き継いでもらえないかと思い、銀行や新潟県事業承継・引継ぎ支援センターへと相談に向かいます。
バトンズを通じて約7ヶ月間で事業譲渡を実現
銀行や新潟県事業承継・引継ぎ支援センターに相談後、何名かの買い手候補者の紹介を受けた長谷川様。そこから、長谷川様の買い手様探しが本格的にスタートします。
「まずは同業他社さんを紹介いただき、同時並行でバトンズの利用も提案いただきました。私自身も繋がりのある業者さんに話を持ちかけていましたが、プラットフォームは繋がりのない方々にも広くアプローチできるので、登録してよかったなと思います。
実際に面談をしたのは5組ほどになります。複数の問い合わせがあったため一時的に締め切ったのですが、その後も問い合わせが5〜6件ほどありました。想像よりも多くの方に興味を持っていただいて驚きました。」
譲渡先を選定する優先基準として、取引先との継続を希望していた長谷川様。実際に譲渡が成立したのは、バトンズでお相手様探しを始めてから約7カ月後のこと。
「飲料やタバコメーカーなど、長くお付き合いしたお客様がたくさんいらっしゃるので、その方々と今後もうまくお付き合いしていただける方であれば嬉しいと思っていました。また、お客様の方から断られない限りは、全ての自動販売機を引き継いでいただけるとありがたいと考えていました。」
譲渡先となった井上様は、起業を目的にM&Aを模索。井上様は隣県の山形県に在住していますが、以前はのりきち本店の拠点である新潟にも住んでいたことがあり、多少の土地勘がある領域であるという点は、引継ぎを決める大きな要因になったと話しています。
バトンズだからこそ出会えたご縁
バトンズの登録から約7ヶ月の期間を経て、人生で初となるM&Aを終えた長谷川様。無事に事業譲渡を完了し、安堵の表情を見せる長谷川様にM&Aを終えてのご感想を伺いました。
「当社の場合は規模も小さいので、M&Aでそれほど苦労したこともなかったです。最初は面談の進め方やメッセージ対応など戸惑いはありましたが、初回の面談を終えてからは何となく進め方もわかってきたので、その後はスムーズに対応できましたね。
今回の事業譲渡を検討するまで、M&Aのプラットフォームが存在すること自体知らなかったので、これだけ多くの企業が利用していることに驚きました。実際にバトンズを通じて多くの方からご連絡をいただき、成約まで進んだので登録してよかったと思っています。譲渡した井上さんと出会えたのはバトンズを利用したからこそだと思っています。」
今後はお子様の成長をそばで見守りながら、一緒に何かに挑戦するのが楽しみだと話す長谷川様。納得するM&Aを実現し、新たな活動へ歩みを始めていました。
株式会社のりきち本店の今後のご発展を、バトンズ一同、心より応援しております!
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