神奈川県川崎市を拠点に訪問介護事業を展開してきた「株式会社アリスの介護」。地域密着型のサービスを展開し、食事や排せつなどの介助を行う「身体介護」、調理や掃除などを行う「生活援助」、さらに自宅での生活に関するアドバイスも行なっています。同社の代表を務める横山里美様は、ライフスタイルの変化をきっかけに事業譲渡を検討。譲渡先である株式会社まいぱすと出会うまでの道のりや譲渡の決め手について、横山様にお話をお伺いしました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社アリスの介護 |
業種 | 訪問介護 |
拠点 | 神奈川県 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社まいぱす |
業種 | 個人向けサービス業 |
拠点 | 山口県 |
譲受理由 | 事業拡大 |
高校生から介護職を志し、33歳で訪問介護の会社を起業
高校時代から介護職を目指していた横山様は、新卒で老人ホームに就職。施設や在宅介護の現場で経験を積んだ後、33歳でアリスの介護を創業しました。
「介護職を目指したのは、17歳の頃に長期入院をしたことがきっかけです。その時祖父は『失ったものばかり見るな。残ってるものをみろ。』という言葉をかけてくれました。その言葉にハッとさせられ、家族や友人に助けられて乗り越えた事を今でも覚えています。
退院後、進路に悩んで祖父に相談すると『保育士と介護士の資格とってこい!畑の真ん中に施設を建てるぞ!保育所と介護施設建てて一緒に会社やろう』と言いました。その一言で福祉関係の専門学校を目指したんです。」
資格を取り終える前にお祖父様が他界し、一緒に会社をやる夢は途絶えてしまいましたが、横山様はその後老人ホームに入社し、施設や在宅のホームヘルパーまで幅広く経験。そして社会復帰を応援できる会社を作りたいという思いのもと、2015年1月に「株式会社アリスの介護」を設立されました。
「定年前の方でも疾患で要介護状態になってしまう方も多くいらっしゃいます。社会復帰したいという方の支援ができたらいいなと思い、起業を決意しました。介護業界は究極の接客業だと思っています。普段のコミュニケーションの中で、人に見せないようなところを見せたりするので、一人一人との向き合い方を大事にして事業に取り組んできました。」
創業から10年経った今、地域に根差した訪問介護として認知度が定着したアリスの介護。神奈川県内の優良な介護事業所であることを意味する「かながわ認証」を取得し、地域密着の訪問介護事業として成長していきました。
ライフスタイルの変化により事業譲渡を決断
アリスの介護は順調な事業運営を続けていましたが、横山様のお父様が他界されたことと、横山様のライフスタイルの変化をきっかけに事業譲渡を検討し始めます。当時の心境について、横山様は以下のように振り返ります。
「3年前から田舎への移住を考えていて、事業譲渡を選択肢として考えるようになりました。ただ、アリスの介護をご利用いただいている方々のことや、事業に対する思い入れなどから、なかなか一歩が踏み出せなくて。
そんな中、元気だった父が今年他界し『いつ死が訪れるかわからない』ということを改めて実感しました。それならば、やりたいと思ったことをできる時にやろうと思い、移住に向けて事業譲渡を本格的に進めていきました。」
事業譲渡を進めるにあたり、まずはインターネットでM&Aについて調べたという横山様。しかし、調べれば調べるほどネガティブな情報が目についてしまい、一歩踏み出すのが怖くなったと言います。
「事業譲渡をするにあたり、知識が全くなかったのでまずはインターネットで検索するところから始めましたが、出てくる情報がネガティブなエピソードばかりで、M&Aというのはイメージがよくない業界なのかなと思ってしまいました。手数料だけ支払って成約できなかったという口コミもあり、正直怖いなと。依頼にかかる費用もピンキリで、料金形態がよくわからない会社もあったりと、知識がないと難しいと思ってしまったのが正直な印象でした。」
ネットの情報では何が正しいのかがわからず、情報収集の段階からつまずいたという横山様。そこで、信頼ができる商工会議所へと相談に向かいます。
わずか3ヶ月のスピード成約!大きな不安を乗り越えた理由
商工会議所へと足を運んだ横山様は、まずM&Aについての基本的な知識を勉強しました。そこから、横山様の買い手様探しが本格的にスタートします。
「商工会議所の担当の方は、全く業界のことがわからない私にも丁寧に説明してくださいました。法整備が行き届いていなかったり、ブラックボックスになっている部分があるのは事実ですとフラットにお話しいただいて。そのおかげで、業界に対する悪いイメージや不安が少し軽減された気がします。
ただ、業者によっては頼んだだけで100万単位の手数料がかかってしまうところもあり、自社の規模では譲渡は叶わないのかなと感じました。そんな中、商工会議所の担当者の方からご紹介いただいたのが、バトンズさんでした。バトンズであれば、オファーがあった買い手候補の中から興味のある先だけに情報開示ができたり、担当者がついて相談に乗ってくれたりと、小規模な会社であっても安心して利用できると教えていただきました。」
商工会議所からの紹介を受け、バトンズで買い手様探しを開始した横山様。譲渡先を選定する優先基準として、介護業界のことを理解している人がいるかどうか、という点を大事にされていたそうです。
「少子高齢化により高齢者の人口が増えている中で、色々な企業が介護業界に参入してくる姿を見てきました。しかし、『介護だから誰でもできるでしょ』という感覚で異業種から参入してくる企業は、大体1年以内に撤退していきました。介護業界についての知識や理解がないと事業継続が難しいと感じていたので、業界を理解していることを譲渡先を選ぶ際の必須条件にしていました。」
譲渡先として選んだ「株式会社まいぱす」は、重視していた介護業界への理解があり、利用者やスタッフのことを大事にした言葉もかけていただけたとのこと。最終的には人柄が決め手となったそうで、面談の際に風通しのいい会社だという印象を持ったと言います。
譲渡が成立したのは、バトンズでお相手様探しを始めてから約3カ月後のことでした。
バトンズを活用してM&A業界に対するネガティブな印象が払拭
M&Aを進めるにあたり、バトンズの川村がサポートを担当。交渉や手続きはスムーズに進み、M&A業界に対する不安なイメージも払拭されたと話します。
「私の場合は事業を本当に譲渡するのかどうかを迷っていた期間が長かったので、調べれば調べるほどネガティブな情報を拾ってしまい、一歩踏み出すハードルが年々高まっていました。それでも実際に足を踏み込んでみると、気をつけるべきポイントを抑えておけば案外ハードルは高くなかったなと感じます。
特にバトンズは、金額もサポート体制も安心できて、私のような小規模の事業者の方には特にオススメしたいです。担当してくださったバトンズの川村さんは、とても丁寧に私の希望をヒアリングしてくださり、買い手様にもうまくこちらの要望を伝えてくださったので、とても頼りになりました。」
わずか3ヶ月というスピードでM&Aのご成約を実現した横山様。最後に、M&Aを終えた現在のご心境と今後の活動について伺いました。
「人生はどれも選択した結果が未来につながっていると思います。しかし、情報を知らなければ選択すらできません。もし迷っているのであれば、私のように商工会議所に伺ったりバトンズさんに話を聞いたり、一歩踏み出してみると良いと思います。情報を得る段階ではお金はかからないですし、インターネットの情報だけではなく、その業界に詳しい人に直接話を聞くことをオススメします。」
今後は移住先で心機一転、異業種の仕事にも挑戦してみたいと明るい笑顔でお話しいただきました。横山様、アリスの介護のますますのご発展を、バトンズ一同心より応援しています!
こんなお悩みありませんか?
つなぐマッチングプラットフォームです。
累計5,000件以上の売買を成立させています。
またM&Aを進めるためのノウハウ共有や
マッチングのための様々なサポートを
行わせていただいておりますので、
まずはお気軽にご相談ください。
編集部ピックアップ
- M&Aとは?流れや注意点、スキームなどを専門家がわかりやすく解説
- 事業譲渡とは?メリット・手続き・税金などについて専門家が解説
- 中小M&Aガイドラインとは? 概要や目的を詳しく解説
- 企業買収とは?M&Aとの違いは何?メリットや手続きの流れをわかりやすく解説
- 会社売却とは?M&Aのポイントや成功事例、IPOとの違いも解説
- 【完全攻略】事業承継とは?
- スモールM&AとマイクロM&Aとは?両者の違いとメリット・デメリットを解説
- 合併とは?会社合併の種類やメリットデメリット・手続きの流れ・必要書類を解説
- 後継者のいない会社を買うことで得られる多くの利点とは?
- カフェって実際のところ儲かるの?カフェ経営の魅力と開業方法
その他のオススメ記事