海外添乗と海外旅行の企画という2つの事業を軸に経営する「株式会社マンデラ」が、株式会社American Timeが運営する英会話スクール「Homestyle English School」を引き継ぎされました。新型コロナウイルスの影響により、一時期は売り上げが0近くにまで陥ったという株式会社マンデラが、M&Aによって新たな事業をスタートするに至った背景について、株式会社マンデラの創業者であり、現オーナーの梁瀬様にお話しを伺いました。
譲渡事業 | |
---|---|
社名 |
株式会社American Time |
業態 |
英会話スクール |
拠点 |
宮城県 |
譲渡理由 |
オーナー転居のため |
譲受企業 | |
---|---|
社名 |
株式会社マンデラ |
業態 |
海外添乗事業、旅行企画事業 |
拠点 |
東京都 |
譲受理由 |
新規事業への参入 |
海外旅行の添乗事業。起業の裏には、学生時代にお世話になった先生の後押し
添乗員は、ツアーを安全かつ円滑に運行するために、施設などの調整や旅程の管理などを行う仕事。株式会社マンデラは、旅行会社から依頼をいただき、海外の現場でツアーを運営する海外添乗事業と、自社で旅行企画から行う事業、この2つの事業を手掛ける会社として2006年に設立されました。
自社で企画する旅行の行き先は、ソマリア・アフガニスタン・リビアなど、他の旅行会社が企画しないニッチな国に特化しており、独自性をもった旅行サービスとして近年事業を伸ばしてきました。
海外旅行について、梁瀬様は「観光というのは、社会問題を考えることも含まれていると思っています。ただ観光地に行って有名な建物を見たり、レストランで食事をするのではなく、旅先で人々の暮らしを体感したり、現地ならではの問題に触れたり、様々な角度から社会について考えるきっかけを作る、という意味合いも含めて旅行を企画しています。」とおっしゃっていました。
梁瀬様は、大学卒業後に海外旅行の専門会社に就職され、海外旅行の営業・手配・添乗など、様々なポジションから海外旅行に携わりました。その後、社内で発足したプロジェクトチームの責任者として、ツアーの企画・海外添乗・マネジメントを担当。それら8年半の経験を経て起業されました。
起業する際には、大学時代にダブルスクールで学ばれていた観光専門学校の先生に相談。その先生の心強い後押しもあり、起業に至ったそうです。
「会社を存続するために」新たな事業を模索する中で思い出した学生時代の苦労体験
起業1年目はなかなか営業が取れず苦労したこともありましたが、その後はかなりの紆余曲折ありながら徐々に受注を伸ばしていったと話す梁瀬様。
しかし、業界全体を襲った新型コロナウイルスは、株式会社マンデラの事業存続に関わる大きな打撃を与えました。
「一時期は売り上げが0近くにまで陥ってしまったこともあり、本当に苦しかった2年間です。添乗員という仕事は、私を含め、この仕事が好きだから働いているという人ばかりです。海外旅行ができない現状が続く中で、止む無く仕事を離れた従業員もたくさんいましたが、海外旅行がコロナ前の状態に戻ったら、またマンデラに戻って働きたいという方もいてくれています。
ただ、海外旅行が普通にできるようになったとき、みんなが帰ってこられる職場がなくなっていたら困るじゃないですか。」と話す梁瀬様は、会社を存続させるために様々な事業を試されたそうです。
そんな中、“バトンズを通じて会社を買った”という内容の新聞記事を見たことがきっかけで、M&Aプラットフォームの存在を知った梁瀬様。最初はマンデラの事業とシナジー効果が見込めそうな、医療福祉を中心に事業を探していたそうです。
「ツアーには、シニアの方も数多く参加されます。クルーズ船など、ツアーによっては足腰の悪い方や歩けない方もいました。そういった方々のお世話をしてきたという背景もあり、この事業に携われば双方向でお役立ちできるのではないかと思い、最初は医療福祉の分野で事業を探していました」とのこと。
医療福祉の分野は人手が足りていないこともあり、社会的意義も感じていたという梁瀬様でしたが、自身が未経験の領域であることもあり、なかなか交渉に踏み切ることができなかったそうです。
「私は決断するのは速い方なのですが、今回の件に関しては、どうしても決断できない状態が続いていました。そんなとき、私が好きな矢沢永吉さんのインタビュー動画で、永ちゃんが “幸せとかカンファタブル(comfortable)というのは、もっと自分の身近なところにあるんだよ”というようなことを話していたのがなぜか耳に残っていて、“それって、自分に当てはめると何になるんだろう?”と考えるようになりました。そのときに思い浮かんだのが、英語だったんです。」
梁瀬様が海外添乗員になろうと思った学生時代、最初に壁となったのが英語の勉強だったそう。英会話スクールやホームステイなど、様々な方法を試して英語学習に取り組まれた過去があった梁瀬様は、顧客のニーズも理解できると思い、英会話スクールにシフトして事業を探し始めました。
成約の背景には、決断の速さと経営者ならではの想い
今回ご成約に至った株式会社American Timeの「Homestyle English School」は、大人にターゲットを絞ったプライベートレッスンを運営する英会話スクール。ターゲットが明確で、複雑なオペレーションがなくシンプルなビジネスモデルであるところに魅力を感じたそうです。
交渉時のことについて、梁瀬様は「私がビジネスパートナーを決めるとき、レスポンスの早さはひとつの条件としてあったため、相手に対してもスピード感をもって対応することを心がけていました。野村社長とオンラインで最初にお会いしたとき、週末に何社か見学にくるということをお話いただき、 “もうそんなに進んでいるところもあるのか。”とびっくりしました。
それを聞いた私は、その場で“明日、時間空けられませんか?”と交渉をし、オンライン面談の翌日に新幹線で仙台まで会いに行きました。」とのこと。
「早い者勝ちというわけではありませんが、第一印象は非常に大事だと思うので、誰よりも先に動いて交渉を進められたのはよかったのかなと思います。」と話す梁瀬様の決断スピードは、今回のご成約を大きく前に進める結果となりました。
野村様とお会いした後、お酒を交わしてお話もされたという梁瀬様。「創業社長ならではの苦労体験などを聞いて、想いのこもった事業であることも感じ、引き継ぎたい気持ちはより一層強くなりました。」とのこと。野村様の事業に対する想いを聞いたことが、梁瀬様が事業を引き継ぐ一番の決定打となったそうです。
そんな梁瀬様に、最後に今後の経営ビジョンについてお伺いしました。英会話スクールの今後について、梁瀬様は「2月は、野村社長にお願いをして引き継ぎ期間を設けていただいております。その期間で野村社長のやり方を学びながら経営を引き継いでいく予定です。
現在英会話スクールに通われている生徒様は、この英会話スクールが良いと思っているから通われているはずですので、私たちはまずオペレーションの質を落とさないこと。引き継いだ途端にこれまでのやり方を否定したり、方向性を変えたりすることは、生徒様のためになりません。
ですので、まずは既存の生徒様を大切にすることを心がけて、もし自分たちの色を出していくとしたら、違和感のないように時間をかけて進めていく必要があります。そして、事業が軌道に乗れば、横展開して拠点を増やすことも考えています」とお話いただきました。
これまでの顧客体験を活かし、新たな事業にチャレンジする梁瀬様。
梁瀬様と株式会社マンデラの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同心より応援しております!
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