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介護業界で増えるM&A、背景と成功事例を紹介

2021年08月05日

近年、M&Aで会社や事業を売買する日本企業が増えていますが、中でも介護業界ではM&Aに対する注目が高まっています。介護業界でM&Aが増えている背景と、成功事例をご紹介します。

M&Aで介護業界にできること

現在の日本は65歳以上の高齢者が人口に占める割合が30%に迫っており、これは世界でもトップクラスです。今後さらに高齢化社会となっていくことが予想される中、介護サービスへの需要は高まっています。

こうした事情を背景に、介護事業を営んでいる企業が規模拡大を目指すほか、異業種から介護業界への参入を目指す企業が増えています。

介護サービスの利用者は増える一方で人手は慢性的に不足傾向にあることや、地域などの特性によりニーズの高い介護サービスの形態が異なっていることがあり、介護事業を経営するにあたり複数の課題があります。

しかしこのような状況下でも、M&Aでチャンスを創出することができるケースがあるため、介護業界のM&Aのニーズが高まっています。

では、介護業界の特徴や、M&Aを利用して会社や事業を売買するメリットとは具体的にどのようなことなのでしょうか。また、M&Aにより事業拡大や事業承継等などに成功した企業の事例も紹介します。

介護業界の基本情報

介護業界におけるサービスは、

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 通所
  • 短期入所介護
  • 訪問介護
  • 有料老人ホーム

に分類ができます。

その中でも民間の企業が手掛けていることが多いのが有料老人ホームです。

有料老人ホームには介護付・住宅型・健康型の3種類がありますが、どれも開設するためには都道府県等への届出が義務付けられています。特に「介護付有料老人ホーム」を運営するためには、都道府県からの事業者指定を受ける必要があります。介護業界は規制産業であり、一人当たり面積や人員配置、運営などについて、労働福祉法や介護保険法などの法律により細かく基準が指定されています。

また、介護サービスを提供するためには一定の水準の設備を整える必要があります。各自治体が指針を定めており、基準を満たしていなければ事業を運営することはできません。施設や設備については、設置届を提出する必要があります。

介護業界への参入を検討する際は、上述した特色を認識しておきましょう。

介護業界のM&A動向

介護事業のM&Aの動向をご紹介します。まずは売り手の状況を見てみましょう。

既存の介護サービスは小規模の事業所が多く、重労働で待遇が悪いイメージが先行し、慢性的な人手不足に陥っています。担い手となる若者が少なく、後継者問題を抱える事業所が多いのも特徴です。

一方、高齢化が進む中で要介護認定を受ける高齢者は増加しており、介護サービスに対する需要は高まっています。そのため、介護業界への新規参入の検討や、既存の介護事業の拡大を目指す経営者や投資家などの買い手が数多く存在します。

介護業界でM&Aの頻度が増えているのは、後継者問題に悩む既存の企業と、介護業界への新規参入や規模拡大を狙う経営者との意向が合致しやすいからといえます。

また、介護サービスの事業所を新規に開設するのは難しい場合もあります。自治体がそれぞれの介護保険事業計画に基づいて、新規の有料老人ホームの開設を制限することができるからです。介護事業への参入を検討する経営者から既存の有料老人ホームを買収するニーズが高い背景には、このような理由もあります。

M&Aで会社や事業を売買することで、利用者に対してもメリットとなる可能性があります。規模拡大などで経営を安定させることができれば、サービスの質が高まり、利便性も向上するからです。介護業界のM&A需要は、今後もますます高まっていくでしょう。

介護業界M&Aでのメリットは

ここまでで介護業界が置かれている現状をお伝えしました。では、介護業界でのM&Aにはどのようなメリットがあるのでしょうか。買い手側、売り手側ごとに見てみましょう。

買い手側にとってのメリット

介護事業は将来的にも需要の増加が期待できるため、参入を検討する経営者が増えています。

しかし、前述のとおり規制産業である介護事業においてはほかの業種と比較して新規参入の難易度が高めであり、基準に見合う設備を準備するのにコストがかかる事情があります。そこで、スムーズに事業に参入するための経営戦略としてM&Aという手法が選択されます。

異業種からの参入の場合でも、既存の事業を買収することでスピーディーかつ迅速に介護サービスを始めることができます。またこれまでの実績があるため、新規開設するよりも比較的安定した経営を見込むことができます。

すでに介護事業を営んでいて、事業エリアや形態の拡大を目指す場合にも、既存の事業所の買収により少ない手間とコストで規模拡大の実現ができます。人材不足が続く中で、即戦力となる人材も合わせて獲得できることもメリットの1つです。

売り手側にとってのメリット

前述のとおり、介護業界で売却を検討している企業の多くは後継者問題を抱えています。事業を引き継ぐ先が見つからなければ廃業するしか選択肢はなく、M&Aにより事業を存続させることが売り手にとっての最大のメリットと言えます。

事業が存続するということは、現在働いている従業員の雇用を守れるだけではなく、利用者への介護サービスの提供も続けることができます。つまり経営者、従業員、利用者のどの視線に立っても、廃業となるよりもM&Aにより事業を承継する方が大きな意義があります。

介護事業のM&A成功事例

では実際に、介護や福祉の関連事業でM&Aに成功した事例を見てみましょう。

ITエンジニア集団からスタート、現在は複数事業を運営するグループ会社に

https://batonz.jp/learn/5777/

IT企業のエンジニアから独立してシステム開発会社を立ち上げた小川様。その後知人からの要望もあり介護事業に参入し、現在は複数の事業を経営していますが、介護事業については特に積極的にM&Aで事業の売買を行っています。

最近買収したのは、長野にある50床の介護事業所です。多少の赤字はあったものの、一定の規模があるため収益改善の余地が大きいと判断しました。またすでに愛知や岐阜などに拠点があり、地理的にも好条件でした。

M&A後にスムーズに事業を軌道に乗せるための方針は、できる限り具体的な指示をすることです。スタッフのシフトの組み方やケアプランに対する会社の考え方など、収益改善の手助けとなる事柄については細かく現場に伝えることで目線を合わせています。

「売上が上がれば人件費を上げることができ、良い人材も集まる」というのが、小川様が大切にしている考え方。事業エリアを拡大させながら、好循環を生み出すべく経営を進めています。

障がい児の成長後も支援を継続したい、グループ企業として横並びに

https://batonz.jp/learn/6979/

岐阜県で障がい児通所支援を営む鈴木様は、精神障害者に特化した相談支援事業所などの複合施設を営む富山県の企業を買収するためにM&Aを利用しました。障がいを持つ子どもを対象としたサポートを行う中で、子どもが成長した後も支援を続けたい思いから、相手先企業を探していました。

M&Aの決め手は、相手先企業の経営者の人柄と情熱でした。そして、買収して傘下に入れる形ではなく、グループ企業として共に歩んでいくことを決断。相手先企業の経営者が継続して施設の運営に携わることができるような形でM&Aを進めました。

同じ目標のもと共に施設の運営を行う仲間ができ、従業員も増えたことでこれからも信念を持って福祉に取り組んでいきたい気持ちを新たにしています。

「福祉の流れを変えたい」という想いを共有できる出会い

https://batonz.jp/learn/6850/

事業を譲り渡した側の事例も見てみましょう。

デイサービスセンターなどの事業を営んでいた野上様は、運営していた2つの福祉施設の事業を任せる後継者を探していました。これまで大切に育ててきた事業を、熱い想いを持った次世代の後継者に託したいと考えていました。取引先の銀行から提案を受けたこともきっかけとなり、M&Aで事業承継を進める検討を具体的に始めました。

巡り合ったのは、民間だからこそできる血の通ったサービスを提供したいという想いを共有できる後継者でした。野上様が引き続き運営に関わり続ける形での承継となったことから、従業員の安心感にもつながり、10名以上いた従業員たちもそのまま施設に残って働くことを選択。形は変わっても、大切な事業を引き続き発展させていくことができ新たなやりがいとなっています。

地元で人気の住宅型老人ホーム。6名の買収候補者現れ、1年越しの事業承継に成功

https://batonz.jp/learn/5364/

秋田で住宅型老人ホームを運営していた加藤様。介護事業に参入した当初はデイサービスを運営していましたが、事業が低迷し借金も膨らんでいました。

しかし、その後地域のニーズに合わせて住宅型老人ホームに事業転換をしたことで経営が好転。入居者が日々を楽しく過ごすことができ、入居者の家族からも高く評価される施設へと成長しました。順調な経営を続けていたところで直面したのが、事業承継です。

後継者がいなかったため事業承継に悩んでいた時に知ったのが、ネットのM&Aサービスでした。6名の買い手候補とマッチングして丁寧に面談を重ねたうえで、最終的に選んだのが現在のオーナーです。ポイントは、従業員の継続雇用や連帯保証の解除といった条件に同意してくれて、すでに3件の介護事業の経験があったからです。M&A後に事業を投げ出されてしまうようなことがないよう、介護業界の経験がある人に託したいと考えていたのです。

検討を始めてから1年かけて進めたM&Aでしたが、熟考のうえで決断したために最適な買い手と巡り合うことができ、安心して引退をすることができたとのことです。

まとめ

介護業界は継続的な需要を見込むことができるため、参入への関心が高まっています。一方で、既存の介護事業の経営者の中には、担い手がいないために廃業も視野に入れている人が数多くいます。こうした人同士がマッチングすることで、売り手と買い手がともに満足のできるM&Aとなります。もちろん、サービスを継続して利用することができるため、利用者にもメリットがあります。

介護事業でのM&Aを考えている経営者や投資家の皆さんは、検討を始めてみてはいかがでしょうか。

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