▼ 必見!今盛り上がっている個人型M&Aで成功する為に、絶対押さえておくべき鉄則3ヶ条
最近は個人で事業を承継する、所謂「個人型M&A」が流行っていますね。いよいよ日本のこういうステージに入ったのかと思うと、とても素晴らしいと思いますし、バトンズを通じて是非もっともっと拡大していって欲しいですね。
とは言え、どんなに小さくてもM&AはM&A。会社や事業を買うということは、当たり前ですがメルカリでブランドバックを買うようにはいきません。当然注意すべきところは沢山あって、セオリーを知らなければ大変なトラブルに巻き込まれることになりかねないわけです。
私も一応M&Aのアドバイザーとしては28年の経験があるベテランの一人ですので、その経験から個人型M&Aをトラブルなく成功させるために、絶対に押さえておくべきポイントをご紹介しましょう。
鉄則1 「決算書を盲信しない。会社の実態は資料を熟読すべし」
普通のモノの売買でも、例えばメルカリでエルメスのバックを買ってみたら、実は中国製の偽物だったとか、Amazonで買った商品がホームページに乗っている商品とは全く別物だったら、当然大トラブルになりますよね。
M&Aの場合も同じで、最も警戒すべきトラブルは売上も利益も聞いていたのと全然違うと言う場合です。この場合、元になる情報は決算書がベースになることが多いのですが、ここで大事なことは「決算書には公証性は全くない」ということです。
意外なことですが、元々普通の会社の決算書は会社の中身を正確に表している訳ではなく、それを証明するものでもなく、そもそもそういう目的で作られているわけでありません(上場会社は別)
普通の会社の決算書の使い道は、税金の申告と納税のためです。つまり極端な言い方をすれば、決算書とは多くの企業にとって単なる「税金の計算書」なのです。従って、決算書と実際の会社の内容が異なっていても、売り手からすれば問題ない訳で、勝手に誤解した買い手の責任ということになります。
要するに会社の本当の姿を把握することは、実は売り手ではなく本来的には買い手側の義務だということです。
もちろん意図的に嘘をいって高値で会社を売り抜こうというのは明確な詐欺行為ですが、実際問題として、買収後に思っていたのと会社の内容が違うことを理由に、M&A契約を解除することや、損害賠償を勝ち取るというのは、なかなか困難だと言わざる得ません。
だからこそ、まず自分である程度はきちんと内容を把握しておくことが大事なのです。
個人M&Aを行なう場合、まず最低限以下の資料はチェックしておきましょう。
◎ 決算書3期分(BS・PLだけでなく必ず付属明細書付きで貰ってください)
◎ 税務申告書(法人税・消費税・事業税・所得税(個人の場合)等申告書、勘定科目明細書及び別表全て)
◎ 法人又は商業登記簿謄本(必ず登記事項全部証明書が必要です)
◎ 不動産登記簿謄本(不動産があれば)
◎ 株主名簿(税務申告書別表2でも代用できます)
◎ 借入金の明細(最終的には金銭消費貸借契約書を確認しましょう)
◎ 店舗、駐車場などの賃貸借契約書(転貸や法人所有権が変わった時の条件は確認必須です)
自分ではこうした資料の見方がよくわからない時は、ちゃんと専門家のアドバイスを受けてくださいね。
鉄則2 「買収監査(デューデリジェンス)は必須!安全の為に必要な費用はケチらない」
必要な手続きや経費を惜しんだ為、後日大きなトラブルになることがあります。その際たるものが、「買収監査(デューデリジェンス)を省略する」ことです。
人間と同様、どんな会社にも傷の一つや二つはあるものですが、M&Aの際相手の会社に入れあげるあまり、その会社の傷や弱点に気づかない、目が行かない、というのは良くあることです。
又逆に相手が意図的に悪い点を隠そうとすれば、素人ではそれを見破ることは容易なことではありませんし、見逃した時には本当に致命傷になりかねません。
そこで、M&Aの最終段階では、専門家に依頼して、帳簿の詳細や在庫の一つ一つ、株主総会や取締役会議事録、それこそ伝票の一枚まで、直接相手の中味をチェックする機会を作ります。
これを買収監査(デューデリジェンス)と呼びます。
通常は会計士や監査法人、対象によっては弁護士といった専門家を使うので相応の費用がかかりますし、又費用だけでなく監査当日、及びその準備にもそれなりの手間暇がかかります。その為資金的な余裕がない個人型M&Aでは、小さな会社だしやらなくてもいいか、と思いがちです。
しかしこれは話が全く逆。特に専門知識のない個人が行なうM&Aでは、どこかでプロの目を入れないとリスク自体を見抜くことができません。だから、買収監査だけは絶対に省略してはいけないないのです。
又売り手の側も痛くない腹まで探られる、ということで買収監査を受けることを避けたがることも多いのですが、後日トラブルが起こった際も、事前に買収監査で確認した事項は通常免責となります。
逆に言えば、買収監査を行わないと、トラブルの際は賠償範囲が際限なく広がってしまう可能性があるのです。
買収監査は実は売り手にとっても買い手にとっても、お金で安心を買うようなもの。
必ず行うようにしましょう。
鉄則3「買収はリスクの取れる範囲内で。特にフルファイナンスは避けること」
最近「かぼちゃの馬車」というシェアハウスの不正融資が大きな社会問題になりました。財産や所得がそれほどない人たちに、預金残高を偽造するなどの手法で、無理やり多額の融資を行いシェアハウス経営を行わせた事件です。
販売元の会社は、家賃保証があるから多額の建設費の大半を銀行融資で賄っても、ちゃんとローンが返済でき、少ない元手で安定収入が得られると勧誘したのですが、実際には予定通りの入居者が入らず、販売会社は倒産して、家主には多額の借金だけが残りました。
これは詐欺の事例ですが、事業会社やファンドなどと異なり、個人では買収資金を銀行融資に頼りすぎると、いざ予定通り収益が上がらなかった時、簡単に資金繰りが行き詰まってしまう、という一つの例です。
というのは、個人M&Aの場合は、個人が担保となる資産を持っているケースが少いため、追加の借入や資金投入ができないからなのです。
銀行借入の際は個人で借入の連帯保証も行いますが、小規模企業の場合は個人と会社の信用が一体のものであるため、法人の方でも借入のための信用枠が減ってしまい、いざという時のための資金が借りることができません。
特に買収資金を全て銀行融資に頼る、いわゆるフルファイナンスの場合、個人では金利は経費にはならないので負担が重いだけでなく、役員報酬や配当などで会社から還流させた資金で返済を行わなければなりません。
当然この資金は税引後の利益から捻出されるので、返済負担が非常に重くなります。また会社と個人の信用は同一に見なされる為、過大な借入金は信用枠を使い果たしてしまい、本当に必要な時にお金を借りられないこともしばしばです。
もちろん多額の借金をして会社が破綻すれば、個人も破産直行だということもお忘れなく。だからこそ、個人型M&Aの場合は、特に自分でリスクが取れる範囲内の会社を買収する、ということがとても大事なのです。
M&Aは買収すること自体が目的ではありません。その後の会社をうまく経営していくことが目的なのです。
そのために必要な資金や、金融機関の信用枠をちゃんと残しておくこと、そして最初の借入は無理のない範囲でするなど、最初からあまり借金に依存しすぎないよう注意しましょう。
無理のない範囲で行えば、個人型M&Aは事業継承や新しい個人の働き方として、素晴らしい手段の一つになります。
ぜひ3つの鉄則を頭に入れて、素晴らしいM&Aを成功させてください。
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