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EPSを計算して対象会社の収益力を知ろう!M&Aにおける意思決定にも役立つ

2019年10月18日

M&Aの代表的な手法のひとつ、株式譲渡は公開会社の株式を譲渡してM&Aを行います。この場合、譲渡企業の株価は市場価格に基づいて取引価格を決めます。譲渡企業がたとえ未公開会社であっても、株式譲渡を行う場合は同業種もしくは同規模の公開会社の株価をもとに取引価格が決められます。

その際に取引価格で損しているのか、得しているのか、M&A後の交換比率は正しいのかを投資家として、また経営者としても把握しておくことは重要です。今回は、その指標として用いられているEPSの活用方法をご紹介します。

EPSに関する記事「企業の収益力を表すEPSとは?活用シーンを解説」

EPSは収益性を計る指標

EPS(Earnings Per Share)とは、1株当たりの純利益額のことを指します。EPSからその会社の収益性が大きいのか判断するためには、同業種や同規模の会社のEPSと比較する必要があります。詳しい判断方法については後ほどご紹介します。

 

EPSの計算方法

ここからはEPSの計算方法やM&Aで判断するためのEPSの活用法について紹介します。

当期純利益から導く(通常のEPS) 

EPSとは1株当たりの純利益額のことであるため、以下の計算式に当てはめると求めることができます。

EPS(円)=当期純利益(税引き後利益) ÷ 発行済み株式数(自社株は含まない)

A社の当期純利益額が1億円、発行済全株式数が100万株だとするとEPSは100円となります。

 

未来の数値を、EPSで予測する

未来の予想EPSについても同様に、先述した式に当てはめることで求めることができます。同じA社の5年前の当期純利益額が5000万円、発行済全株式数が同じく100万株だとすると、EPSは50円になります。A社の5年後の当期純利益額が2億円、発行済み全株式数が200万株だとするとEPSは100円になります。

 

A社の例をもとにEPSから判断できること

A社の現在と5年前を比べると売り上げが倍増しているため、EPSも倍増しています。言い換えると、1株の貢献度合いが5年前の2倍になっているということです。

一方、A社の現在と5年後の予想を比べると売り上げは倍増していますが、発行済の全株式数が倍増しているため、EPSの額は変わっていません。言い換えれば、1株の貢献度合いが現在から変わらないと言えます。

つまり、A社に対してM&Aを行い、売り上げが倍増すると予測していても、収益性が変化しないという予測が立てられます。そのためA社に対しM&Aを行うのは得策とは言えないでしょう。(ただし、買収はEPS以外の指標も参考にして総合的に判断するため、これだけでM&Aを行わない理由にはなりません。)

 

EPSが変動しやすいタイミング

EPSは当期純利益額と発行済全株式数で変動することをお分かりいただいたと思います。ここからはEPSが変動しやすいタイミングについて紹介します。

 

EPSが上がる要因

EPSが上がる要因としては、「当期純利益額の増加」と「発行済全株式数の減少」の2つがあります。

前者は会社の業績が良好、もしくは将来的にそのように予測されているときEPSが上昇するタイミングであると言えます。

後者は株式の自社買取や株式併合が行われると全株式数が減少し、いずれも実施される前に株主に通知されます。しかし、自社買取や株式併合の場合、EPSは増加しますが株主総会での議決権数や発言力が大きく変わるため注意が必要です。

 

EPSが下がる要因

EPSが下がるのは上昇時とは対照に、「当期純利益額の減少」と「発行済全株式数の増加」の2つが要因です。

前者は会社の業績が不調、もしくは将来的にそのように予測されているときEPSが下がります。

後者は株式の分割や新株発行などが行われ全株式数が増加することで、結果的にEPSが下降します。これに関しても、株主総会での議決権数や発言力によって大きく変動するため注意が必要です。

 

M&AでEPSを活用する

最後にM&AでEPSを活用するときの計算方法について紹介します。合併などを行った後、株式を統一するために株式交換を行いますが、その判断材料としてEPSが用いられることがあります。これらの計算は、当期純利益額や発行済全株式数だけでなく、株価なども考慮する必要があります。ここではその適正株価の計算方法について紹介します。

 

適正株価の算出方法 (EPS × PER)

PER(Price Earning Ratio)とは、株価収益率のことです。PERを導く式は以下のようになります。

PER(倍)=株価÷1株当たりの純利益額(EPS)

PERと掛けたときのEPSは、その株価が適正な価格であるかを判断するために用いられる指標です。同業種・同規模の会社のPERと比較して低い場合、株価が適切に評価されていないため、割安と判断することができます。つまり、投資家であれば株式の最適な購入時期であると言えます。

適正株価は、EPSとこのPERを掛けることで導くことができます。

 

適正株価を下回る理由を見抜く

売り手企業の株価が適正株価を下回っていた場合、その理由を見抜く必要があります。

一般的に考えられるのは将来的に収益性が見込まれないときです。適正株価を下回っている時期が一時的なものか長期的なものか分析して、その原因を考察する必要があります。

 

株式交換によるM&Aの場合

株式交換によるM&Aを行う場合、売り手企業の株価と同じ価値分の自社株を新規発行して株式交換を行う以外にも、金庫株(自社株を会社が買いとって会社が所有している状態)と交換するケースや、創業者などの特定のオーナーが所有している株を交換するケースもあります。発行済み株式数が増加するケースでは、EPSが下がる(一株当たりの利益が薄まる)要因になりますので、買主はその点留意しておく必要があります。

【まとめ】EPSを意思決定に生かす

EPSを算出することでM&Aの意思決定を行うことはできますが、将来の純利益額など客観的に判断できない部分もEPSにはあります。M&Aの判断をする場合には、中小企業のM&Aアドバイザーや会計士・税理士・中小企業診断士といったM&Aの知識を持った専門家に相談することをおすすめします。

 

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