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2019.08.08

PER(株価収益率)で株価の妥当性を計ってみよう!値の目安は15倍って本当?

PERは、M&Aを考えるときに着目する指標のひとつですが、実際のPERの数値が高い・低いはどのように判断すればいいのでしょうか。今回は、PERの数字を見る際の判断基準や目安について解説していきます。

 

そもそもPERとは

似たような財務指標がたくさんあるので、まずはPERの基本をおさらいしておきましょう。

PER(Price Earnings Ratio)とは、「株価収益率」のことです。これは企業の収益力に対して株価がどのくらい割安なのか(または割高なのか)を測る指標となります。

 

PERの計算式は2通りある!値の目安は15倍!

PERはどのように算出されるのでしょうか。PERには、以下の2通りの計算式があります。

 

PER(株価収益率)=時価総額÷純利益

 

PER(株価収益率)=株価÷一株当たり利益

 

時価総額というのは企業規模を表す指標で、「株価×発行済み株式数」で求めることができます。また、1株当たり利益とは純利益を発行済み株式数で割ったものです。つまり、この2つの式は実質的に同じ値を表しているのです。

では、PERの目安となるのはどのくらいの数値なのでしょうか。

一般的に上場企業の場合、PERの値は「15倍」がひとつの水準とされています。日本の企業におけるPERの全業種平均がおよそ15倍であることから、この数字が目安としてあげられているのです。PERが小さいほうが、株価は割安ということになりますので、まずはPERが15倍以下であるかどうかに着目してみるとよいでしょう。

ただし、15倍というのはあくまで目安です。しかも、中小企業の場合はこれよりも平均値が低くなるのが一般的です。これには、複数の要因がありますが、未上場株なので流動性がない(株の取引がいつでもできるわけではない)というのがひとつの要因です。

 

PERを比較するためのステップ1:同じ業種の企業と比較する

ほかの様々な財務指標と同様、PERについても、業種によってその水準は大きく変わってきます。たとえば、IT関連企業はPERが高い傾向にある一方で、鉄鋼や石油関連の企業のPERは低めであることが多くなっています。これは、成長性に対する投資家の期待度が業種によって異なっていることなどが原因です。

そのため、PERに着目するときは、同業種のほかの企業の数値と比較するのがよいでしょう。

 

PERを比較するためのステップ2:同じ企業の過去の水準と比較する

ある企業の現在のPERを、その企業の過去のPERと比較することで、現状の株価が割安なのかどうかの参考にすることができます。PERが以前と比べて低くなっているのであれば、その企業は今が買い時かもしれません。PERを確認する際は、過去の数値と比較するのも忘れないようにしましょう。

 

PERで何が分かるの?

PERの目安は15倍、ただし同業他社や過去の水準と比較するのが大切、ということが分かったと思います。では、PERから読み取れるのは具体的にはどのようなことなのでしょうか。

時価総額が15億円、純利益が1億円の企業を買収することを考えてみましょう。計算式に当てはめると、PERは15倍です。これは、この企業を買収するために支払った金額が15年で回収できるということを意味します。なぜなら毎年1億円の純利益を上げ続けると想定したら、15年で15億円になるからです。

もちろんこれは現時点での見込みにすぎませんが、PERというのは「買収した企業の収益で買収額の元を取るためには何年かかるのか」ということを予測する指標とも言えるのです。

では、PERが高い企業の買収は避けた方が良いのでしょうか。そうとは限りません。たとえば、PERが25倍の企業があったとしましょう。この企業の収益で買収額の元を取ろうとすると、現状では25年かかる計算になります。

しかし、PERが高いということは、投資家がその企業の成長性に期待をしているということでもあります。つまりこの企業は今後、増益となる可能性が高いと考えられるのです。現時点では株価に少し割高感があっても、中長期的に見てポテンシャルの高い企業であれば、将来に期待して買収を検討する際の好材料でもあると考えられます。

反対に、PERが低い企業はどうでしょうか。株価には割安感があり、短期間で買収額の元を取れる可能性があります。しかし、PERがあまりにも低い場合は要注意です。財務状況や事業の将来性などに不安要素があるため、投資家が避けている可能性が考えられるからです。こういった企業の買収にはリスクを伴います。

また、マイナスのPERに出会うことがあるかもしれません。PERがマイナスになるのは、純利益がマイナス、つまり損失が出ていることが原因です。PERがマイナスだから株価もさらに割安ということではないため気を付けましょう。

PERは株価の割安感・割高感を測る指標であると同時に、株式市場におけるその企業の評価の高さを表している側面もあるのです。

 

PERは純利益を元に算出するため、必ずしも本業の業績と関連していない

PERを利用することで、企業の収益力に対する現在の株価の水準がどれくらいなのか知ることができます。同時に、投資家がその企業の将来性をどのように判断しているのかがわかり、M&Aの判断基準にもなります。しかし、PERだけを見て企業を判断してはいけません。

PERは計算しやすい指標である反面、良くも悪くもざっくりとした数値です。PERの計算に使われているのは純利益なので、資産売却など、企業の本業とは直接関係のないお金の動きが含まれているからです。そのため、ほかの指標にも注目し、企業の財務状況をバランスよく判断するようにしましょう。また、PERを確認する場合も数値を単体で見るのではなく、同じ業界の他企業と比べたり同じ企業の過去の数値と比べたりするのが重要です。

さらにもう1点、気を付けておくべきことがあります。

PERの数値はほとんどの場合、M&Aを行うことにより大きく変動します。M&Aの情報は投資家の判断に影響を与え、その結果として株価が上下する可能性が高いからです。一般的には、買収される側の企業の株価は上昇しやすく、買収する側の企業の株価は投資家の期待値によって上昇したり下落したりとケースバイケースです。しかしながら、いずれにしても多くの場合に株価の変動が見られるため、M&AのあとではPERが大きく変わるのが一般的である、ということを覚えておきましょう。

 

PERの目安を知っておこう

PERは、M&Aを考えるときの重要な財務指標のひとつです。目安は15倍、ただし過去の水準や同業他社との比較が重要、というのがポイントとなります。株価が割安か割高かを評価できるのと同時に、企業の将来性を予測する水準としても利用できる、便利な指標です。正しく理解して、企業の評価に活用してみてください。

 

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