新しい事業承継のかたち
池田商店のこんか漬けを未来に残してくれる相手を探す。しかも名前や商品ブランドも引き継いでもらえるところがいい。そう考えた。発酵食やお酒、みそなど類似事業から約15社の企業や個人を探した。同業者や類似事業者は、事業拡大のため興味を感じてくれると思ったからだ。結果から話すと事業承継したAMD株式会社は、同業者でもなく類似事業者でもない。小嶋さんは、伝統を未来につなげてくれる若いクリエイティブプロダクションを選んだ。『温故知新』彼らの新しい発想との組み合わせがきっとシナジーになると思ったからだ。
一通の手紙
AMD株式会社は地方創生や社会課題に挑戦する企業の一つだ。特にブランディングやクリエイティブ、プロモーション領域で多くの実績がある。2006年設立で社員数が約60名、渋谷区にある若い企業だ。彼らには目標がある。AMD担当の中神さんは、このように語ってくれた。「伝統的な企業や地場ブランドの中にはお客様とのコミュニケーションが上手ではない会社が多い。パッケージだけでも、もっとこうしたらいいのになと思うことがあった。今回、こんか漬けの話を聞いた時、我々のノウハウでリブランディングし、未来にこの伝統食品を残したいと強く思った。」それで手紙を池田商店に書いた。手紙を送った企業はAMDだけだった。
こんか漬けの可能性を熱く語るAMD担当の中神さん
ビジネスとしての可能性
こうして池田商店の事業承継を行ったAMD株式会社。
担当の中神さんは、こんか漬けに可能性を感じている。若い人や他の地域の人びとに試食してもらっても美味しいと言ってくれる。けれど、ほとんどの方が初めてこんか漬けを知ったと語る。もっと好き嫌いがある食品だと考えていたが、商品認知や販路の拡大ができれば、もっともっと可能性があると確信している。今は、まず金沢に来たら一回でも食べてもらうよう企画を検討中だ。
クラウドファンディングで集めたお金で古民家を借り、製造拠点にしている
編集からひと言
現在は、池田商店の娘さんと共にこんか漬けを一緒につくっている。彼女も変わらずだ。
東京の会社と金沢の会社が一緒になる。一緒に土間で作業をしている。すごく不思議だ。
けれどもこんな風景が日常的になればと願っている。個人的には渋谷のスタートアップの企業が筆をとって手紙に思いをのせたことが興味深かった。伝統×イノベーション=AMD(えー未来のデザイン)会社かな笑。
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