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多角化した事業、全従業員の幸せ。デザイン会社が選んだM&Aによる未来への可能性

2025年05月20日

デザインなど4事業を展開する「株式会社28」(以下、28社)は、ゲーム・eスポーツ関連事業を手がける「GLOE株式会社」へ株式を譲渡し、同社の完全子会社となりました。GLOEグループが生み出すコンテンツに、28社の高いクリエイティブ力が加わることで表現力と品質の向上が期待されます。28社の代表を務める村上元基様は、「28の事業に関わるすべての従業員がHAPPYになること」を重要視し、M&Aを検討。村上様がM&Aに踏み切った思いや背景、そのプロセスについてお話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 株式会社28
業種 WEBデザイン・システム開発 など
拠点 東京都
譲渡理由 資本獲得による事業拡大

 


 

譲受企業
社名 GLOE株式会社
業種 エンタメ (ゲーム・eスポーツ事業)
拠点 東京都
譲受理由 既存商品・サービスの強化

 


事務所を構えた翌日に東日本大震災。3人だから乗り越えられた

GLOEとのM&Aを経て、新たなフェーズへと歩み出したデジタル×クリエイティブ集団の28社。上場企業からのアプローチを受けてその傘下に入るという、ベンチャー企業として順風満帆にも見える同社ですが、その幕開けは途轍もない苦境から始まりました。

28社が代官山にオフィスを構えたのは、2011年3月10日。東日本大震災の前日でした。村上様は当時の状況を以下のように振り返ります。

「当社の法人登記は3月28日ですが、実質的なスタートは3月10日でした。『ここから勝負だ!』と気合いを入れたその翌日、未曾有の震災が起きました。社会が混乱し、デザインどころではない。正直、『これはもうダメかもしれない』と絶望しかけたことを覚えています。」

そんな村上様を支えたのは、2人のかけがえのない仲間の存在でした。村上様は、もともと制作会社でグラフィックデザインやディレクションに携わったのち、「自分の力でどこまでやれるか試したい」という思いから独立。2年間のフリーランス活動を経て、より高いステージを目指すため、志を同じくする2人の仲間と法人化を決意したのです。

「もし自分ひとりだったら、震災の混乱の中で立ち尽くしていたかもしれません。でも、仲間がいてくれたからこそ、励まし合いながら前に進むことができました。3人という小回りが利く規模感も、非常事態を乗り越えるのにちょうど良いサイズでした。」

「ご縁が事業を呼ぶ」自然体で事業が増えていく28社の軌跡

創業期の混乱を乗り越え、28社は代理店経由の案件や直取引の案件を増やしていきました。「柔軟に対応してくれる」「納期をしっかり守る」そんな誠実な姿勢が評判を呼び、信頼が積み重なっていきます。順調だった法人化から3年目、思いもよらぬ“転機”が訪れました。

「昔お世話になったクライアントから、フィットネス事業部のロゴやポスター制作のご依頼をいただきました。継続的にお取引するなかで、事業部の責任者と意気投合して、自然と『一緒に何かできないか』という話になっていきました。」

村上様はその企業の社長と直接交渉。晴れてフィットネス事業部を譲り受けることになり、事業部の責任者も含めて28社に加わることになりました。こうして、異なるジャンルの事業が新たに仲間入りすることになったのです。その後も、28社には“人とのご縁”をきっかけに、次々と新たな事業が加わっていきました。

「当社の事業のひとつである『システムデザイン事業部』は、スマートフォンやタブレット向けのアプリケーションなどを開発する事業です。これは、あるクライアントが解散することになり、アプリ事業部を引き継いでくれないかと相談されたことがきっかけでした。制作チームが丸ごと当社に加わることになり、今では重要な事業の柱になっています。

その後立ち上がった撮影スタジオ事業は、当社に所属していたカメラマンの知人が撮影スタジオを運営していたことがきっかけです。そのスタジオに頻繁に出入りするうちに、『うちでもやれるかもしれないね』と話が盛り上がり、事業化しました。」

「社会の変化についていけるのか」アフターコロナで生じた経営課題

28社は、2011年の法人化から約9年間、“ご縁”と“信頼”を大切にすることで事業を多角化してきました。スタッフも増えて経営は安定していましたが、コロナ禍によってさらなる転機が訪れます。

「コロナの影響で、事業部ごとの売上や利益の変動に明確な差が出るようになりました。売上が急減した部門もあれば、逆に需要が拡大した部門もあり、会社としての軸を再定義する必要が出てきたんです。

また、当社には長く勤めてくれている従業員が多くいます。これは経営者として非常にありがたいことですが、同時に『組織に刺激が少なく、緊張感が薄れがち』という課題もありました。アフターコロナで社会変化のスピードが加速するなか、それに柔軟に対応できる組織にするにはどうしたら良いか。その課題とも向き合う必要がありました。」

こうした背景から、村上様は選択肢のひとつとして「自社よりも規模の大きい企業」とのM&Aを検討するようになりました。大手企業のグループになれば、変化に対応するための投資がしやすくなり、チャレンジがしやすくなると考えたからです。

実際に、注目されている制作会社やメディア企業は、大手の親会社にグループインするケースが多々あります。村上様自身、身近な取引先がM&Aによって変化するのを目の当たりにしていたといいます。

「身近でM&Aに取り組む企業が散見されるなかで、私自身も関心が高まり始めた頃に、バトンズから『登録してみませんか?』という電話をいただきました。まさにM&Aが気になっていたところだったので、迷わず『ぜひお願いします』と即答しました。」

登録から数か月で、4事業に親和性のある企業が現れた

バトンズに登録した村上様ですが、当初「本当にシナジーのある企業と出会えるのか」と半信半疑だったといいます。加えて、村上様が考えていた「譲れない条件」を考慮すると、M&Aの成立はそう簡単にはいかないと感じていたとのこと。

「私がこだわったのは、主に2つの条件です。1つ目は、当社が展開している4事業すべてを引き継いでくれること。『この事業部は欲しいけれど、他はいらない』という考えの企業には、譲渡の決断はできないと思っていました。2つ目は、従業員のワークライフバランスを尊重してくれること。当社の従業員は子育て世代が多く、ワークライフバランスを重視する社風です。譲渡先は、この点を理解してくれる企業であることが譲れない条件でした。」

バトンズに登録後、28社には多くの問い合わせや面談申込が寄せられました。しかし、実際に面談してみると、多くの企業が一部の事業に関心を示し、他の事業部には消極的な様子だったそうです。やはり、4事業一括のM&Aは難しいのかもしれない。村上様がそう思い始めた矢先に出会ったのがGLOEでした。

「GLOE社から最初にご連絡をいただいたのは、バトンズに登録してから数か月後のことでした。最初はデザイン事業に興味を持たれていたのですが、eスポーツを中核に据えた事業構成をお聞きし、システムデザイン事業や撮影スタジオ事業との親和性についてご提案させていただきました。

さらに、面談で谷田社長や古澤社長とお話するなかで、パーソナルジムに通われていたり、スポーツ観戦が趣味だったりすることがわかり、フィットネス事業についても深い理解を示していただけました。

GLOE社は、すべての事業に親和性がある、まさに“シンデレラフィット”する会社でした。『この会社となら、従業員と弊社の可能性を大きく広げられる』と確信し、交渉を前向きに進めることができました。」

これから始まる新しい挑戦に、会社はワクワク感に包まれている

28社はこれまでに複数のM&Aを経験しています。しかし、いずれも信頼関係のある取引先との間で行われたもので、契約形態も簡易でした。今回のような本格的なM&Aは初めてであり、交渉や契約に臨むにあたって、最初は不安が大きかったと振り返ります。

「でも、その不安はまったくの杞憂に終わりました。バトンズの担当者の方が、交渉から契約手続きまで丁寧にサポートしてくれたおかげで、すべてスムーズに進みました。例えるなら、メジャーリーガーが年俸交渉をする際に、敏腕エージェントがついてくれるような心強さがありました。自分では気づけないようなポイントも先回りしてフォローやアドバイスをしてくれて、本当に助かりました。」

GLOEとのM&Aが正式に成立し、従業員にその旨を発表したところ、社内からは全面的にポジティブな反応が寄せられました。従業員の多くは、ゲームやデジタルの進化のなかで育ってきた世代。eスポーツ業界で存在感を持つGLOEのグループ企業になることを、従業員は大いに歓迎しました。

さらに、GLOEの親会社である株式会社カヤックは、クリエイティブ業界で広く知られた存在。今回のM&Aは、とくにデザイン事業部のメンバーから驚きの声が上がったといいます。

「グループに加わってまだ間もないですが、私自身も従業員も、今は新しい挑戦が始まるというワクワク感に包まれています。閉塞感のあったコロナ禍の先に、こんなにも大きな可能性が広がっているなんて想像しませんでした。このきっかけを与えてくれたバトンズとGLOEには、心から感謝しています。」

人との縁を大切にすることで可能性を広げてきた28社。GLOEグループの一員になっても信頼の輪を広げ続け、さらに発展されることをバトンズ一同、心より応援しています!

「株式会社GLOE」の記事はこちら

 

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