1. 事業承継・M&AならBATONZ(バトンズ)
  2. 事業承継・M&A売り案件一覧
  3. M&A記事・コラム
  4. 業種
  5. IT・Webサイト・ソフトウェア
  6. 上場企業のトップ自ら最前線でM&Aを主導。3社競合から選ばれたM&A交渉の舞台裏

上場企業のトップ自ら最前線でM&Aを主導。3社競合から選ばれたM&A交渉の舞台裏

2026年06月04日

トップ自らM&A実務を牽引し、これまでに8社を譲り受けている株式会社フーバーブレイン。今回は、その中から2026年2月に譲り受けた株式会社Youth PlanetとのM&Aについて、代表取締役の輿水英行様にインタビュー。3社競合となった優良企業から、いかにして信頼を勝ち得たのか。交渉の舞台裏やM&Aの方針、PMI戦略などについて、お話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 株式会社Youth Planet
業種 人材紹介
拠点 東京都
譲渡理由 経営基盤の強化

 


 

譲受企業
社名 株式会社フーバーブレイン
業種 IT
拠点 東京都
譲受理由 事業拡大

 企業概要 

株式会社フーバーブレイン
HP:https://www.fuva-brain.co.jp/

2001年5月設立。東京証券取引所スタンダード市場に上場。主要事業は、「セキュリティツール」と「セキュリティサービス」を掛け合わせたソリューションプラットフォームの提供。積極的なM&A戦略により、AIの信頼と安全を守る「日本発のAIガーディアン」を目指す。

 

トップ自ら最前線で M&A に取り組む。輿水社長の高い専門性とこだわり

──これまで多くの企業を譲り受けされていますが、いつごろから M&A を積極的に取り組み始めたのでしょうか。

当社が2026年5月時点で譲り受けた企業は8社。現在は戦略的にM&Aを推進していますが、もともとはご提案があった案件に対して「ご縁があれば検討する」というスタンスでした。

この流れが大きく変わったのは、上場後に業績が停滞した時期です。これまで以上に売上と利益を伸ばしていく必要性を求められるようになり、その中で成長戦略の柱として位置づけたのがM&Aです。

以降は、私自身がM&Aに深くコミットする体制へと切り替え、成約のペースも加速しています。

──社長ご自身が M&A に深くコミットされているとのことですが、具体的にはどのような役割を担われているのでしょうか。

M&Aに関する主要な業務や意思決定は、基本的にすべて私が担当しています。たとえば昨年は、年間で1,000社以上の買収候補リストをチェックし、その中から10社以上と面談を実施。これらの業務は私が主体となって進めています。

M&Aの実務プロセスとしては、ノンネームシートの確認から始まり、NDA(秘密保持契約)の締結、ビジネスDD(デューデリジェンス)、意向表明書や基本合意書の作成など多岐にわたります。

最近は社内スタッフが増えてきたため、事務作業や会計DD・法務DDなどについては任せる部分も出てきましたが、5社目くらいまではこうした作業も含めてほぼすべて私が対応していました。

──どのような条件を重視して候補先を選定されているのでしょうか。

先ほど申し上げた通り、当社は売上と利益を伸ばしていくための成長戦略としてM&Aに取り組んでいます。そのため、検討先は「黒字体質の企業であること」を前提にしています。

加えて、譲受後のPMI(経営統合)の進めやすさも重要な判断基準です。とくに当社の場合は、コミュニケーションの頻度や統合後の運営体制を考慮し、原則として関東エリアの企業を対象にしています。

最終候補は 3 社。売り手社長の心を動かした M&A 交渉

──数多くの企業の中から、Youth Planet のどのような点に魅力を感じられたのでしょうか。

Youth Planetの譲渡情報を拝見した際、主要事業がRPO(採用代行)と人材紹介事業だったことが、最初に興味を持った理由です。

当グループでは、過去にRPOや人材派遣事業に挑戦して思うような成果が出せなかった経験があります。「この領域にもう一度チャレンジしたい」と考えていたタイミングで本案件に出会い、非常にご縁を感じました。

その後、同社の堀田社長とお会いし、メガバンク勤務のご経験やシンガポールの現地法人立ち上げに携わってこられたご経歴を伺い、さらに強い関心を持ちました。独立後はさまざまな苦労を経験されながらも、しっかりと利益体質の会社へ成長させている手腕にも、大きな魅力を感じました。

──Youth Planet を譲受する決め手となったのは、どのような点だったのでしょうか。

私はM&Aを検討する際、できるだけ自分の好みや先入観を持ち込まないようにしています。そのうえで、「この会社がフーバーブレイングループのピースとして、きちんとはまるか」を常に考えています。

単に事業シナジーがあるかだけではなく、PMIがうまくいくかどうかも重要です。たとえば、私自身が「魅力的な会社だ」と感じたとしても、他の幹部やグループ企業との相性が良くなければうまくいきません。

その点で、Youth Planetは事業面だけでなく、企業文化や人の相性も含めて、当グループにフィットしていると感じました。それが、最終的な決断の後押しとなりました。

──Youth Planet との交渉で、課題になったことはありましたか。

今回のM&Aは、当社を含め最終候補が3社あると伺っていました。堀田社長は、その中で当社ともう1社でかなり悩まれていたようです。

私自身、今回の案件に限らず、M&Aの交渉では「グループ全体をさらに成長させていきたい」という想いを率直に伝えることを大切にしています。その考えに共感いただけないのであれば、ご縁がなかったと割り切って考えています。今回は、この想いが堀田社長にしっかり届いたのではないかと思っています。

一方で、経営者が迷われている場合は、条件面だけでなく食事会などを通じて信頼関係を築くことも大切だと考えます。今回のケースでも食事会を設け、2次会でもじっくりお話しする中で「当社を選んでいただけるかもしれない」という感触があったのを覚えています。

最終的には条件だけではなく、「この相手と一緒にやっていきたい」と思っていただけるかどうかが大切です。想いを伝えることに加えて、粘り強く向き合う姿勢が実を結んだのかもしれません。

──今回の M&A で伴走された M&A 支援企業についてお聞かせください。

今回のM&Aでは、レバレジーズM&Aアドバイザリー様にFA(ファイナンシャル・アドバイザー)としてサポートいただきました。とくに最終候補企業が2社まで絞られた大事な局面では、細部まで気を配りながらサポートしていただいたのが印象に残っています。

たとえば、意向表明書の内容について具体的なアドバイスをいただいたほか、食事会の場でもきめ細かくフォローしてくださいました。単なるサポート役というより、「一緒に案件を前に進めるパートナー」として頼もしい存在でした。

徹底した現場目線の DD と、企業ごとに柔軟性高く取り組む PMI

──今回の Youth Planet を含めて、DD に関して重視していることはありますか。

もともと私は大手会計事務所に会計士として勤務し、その後は外資系投資会社にも在籍していました。DDのプロセスは一通り理解しているため、自社の専門部署による確認だけでなく、私自身も細かくチェックするようにしています。

たとえば、先方から提供された資料の内容に整合性があるか、自分でもキャッシュフローを作成して確認します。また、帳簿だけではなく銀行通帳にも目を通し、振込先に取引先名が記載されているかまで確認するようにしています。

──これまでの経験から PMI のノウハウを蓄積されているかと思います。Youth Planet とのPMI はどのように進めていますか。

M&Aのプロセスの中でも、PMIはとくに難しい領域だと感じています。これまで複数の会社を譲受してきましたが、「これが正解」というPMIの型があるとは思っていません。なぜなら、会社ごとに文化がまったく異なるからです。

とくに人事制度には、その会社の価値観や経営思想が色濃く表れます。そこを無理に統一しようとすると、会社そのものの良さが失われ、結果として従業員の離職につながるリスクもあります。そのため、Youth PlanetとのPMIでも、これまで同社が築いてきた文化や強みをできるだけ尊重しながら進めていきたいと考えています。

また、どれだけ精度の高いDDを行っても、想定外のことが起こるのがM&Aです。グループインすれば、必ず何らかの課題や摩擦が生じます。

それを乗り越えるために重要なのが、譲渡先企業のキーパーソンとの関係性です。経営者同士だけではなく、幹部や現場リーダーとも信頼関係を築けているかが、PMIを進めるうえで大きなポイントになります。

実際、現場を動かしているのは彼らです。何か問題が起きた際にも、普段からコミュニケーションが取れていれば、一緒に解決策を導きやすくなる。これは、円滑なPMIに欠かせない要素だと考えています。

──Youth Planet とフーバーブレイングループの間で、どのようなシナジーを期待していますか。

当グループには、採用コンサルティング事業を展開するアド・トップという会社があります。同社は人事部門のお客様との接点が多く、企業によっては人材紹介ニーズもあるため、クロスセルが可能と見込んでいます。

さらに期待しているのは、Youth Planetの堀田社長と、アド・トップの本橋社長が深く連携することです。単なる事業シナジーにとどまらず、当グループ全体の採用や教育戦略を一緒に作り上げていってほしいと考えています。

実際、M&Aが成立する前の段階から、堀田社長にはそうしたテーマについて相談を持ちかけていました。グループ各社の知見を掛け合わせることで、単独では生み出せない価値を作っていけるのではないかと考えています。

今後は、AI 領域の企業との M&A を積極的に検討

写真)左:フーバーブレイン 輿水様、右:Youth Planet 堀田様

──今回、売り手社長は M&A 後も続投されます。経営者が続投する場合にどのようなことを期待していますか。

ご本人の意向もありますが、当社では基本的に経営者の方にM&A後も残っていただき、「一緒にグループを成長させていく」ことを望んでいます。自社単体ではなく、フーバーブレイングループの一員として、どのような役割を果たすかまで考えていただける経営者であれば理想的です。

実際、Youth Planetの堀田社長にも、グループ全体の採用戦略に関わってほしいという話をし、堀田社長からも「グループに貢献していきたい」という意思を示していただきました。当グループとしても、非常に良い形のM&Aが実現できたと感じています。

──最後に、貴社グループにおける今後のM&A戦略についてお聞かせください。

当グループでは、「日本発のAIガーディアン」というスローガンを掲げています。AIが急速に進化する一方で、安全性や信頼性を担保するガバナンスの重要性も高まっているため、AI領域で親和性の高い企業があれば、積極的に検討していきたいと考えています。

もちろん、AI関連企業に限りません。たとえば、当グループの製品やサービスを高めてくれる優秀なエンジニアを抱える会社なども、引き続き対象になります。今後も成長戦略のひとつとしてM&Aを幅広く検討していく方針です。

誰でも会社を売買できる時代に、テレビで話題急増中

IT・Webサイト・ソフトウェア 成約事例 東京 買い手 資本獲得による事業拡大

その他のオススメ記事