長年勤めた銀行の役職定年を機に、学習塾の運営に挑戦される高田操様。バトンズを通じて、千葉県船橋市に拠点を構える個人学習塾を譲り受け、経営者としての一歩を踏み出されました。現在は「わたしの学習塾」としてリニューアルオープン。新たな生徒を迎え入れており、教育業界という新たな領域でのチャレンジがスタートしています。塾運営について「M&Aだからこそ安心して挑戦できた」と話す高田様に、決断までの想いや今後のビジョンについてお伺いしました。
譲渡側 | |
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スキーム | 事業譲渡 |
業種 | 教育サービス(学習塾) |
拠点 | 千葉県 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受側 | |
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区分 | 個人 |
業種 | 金融業 |
拠点 | 千葉県 |
譲受理由 | 起業 |
銀行の役職定年を機にチャレンジした学習塾の運営
大卒から銀行員として長年勤務された高田様は、役職定年を迎えたタイミングで、学生時代から興味を持っていた教育の分野に携わることを検討し始めます。
学生時代には、家庭教師や学習塾の講師としてアルバイト経験があり、その頃から人に教えることが好きだったと話す高田様。銀行員時代にも、社内の人材育成やお客様への新商品の説明といった「教える」ことに携わっており、やり甲斐をもって仕事に取り組んでいたと話します。
また、趣味で空手を嗜んでいる高田様は、小学生から高校生の子供たちと一緒に稽古をする中で、勉強で困っている子供に教えてあげることもあるとのこと。このような背景もあり、過去の講師経験や仕事を通じて培った自身の得意を活かして、学習塾の運営をしたいという気持ちが大きくなっていきました。
「フランチャイズや地元の学習塾を回りながら、業界研究をしていました。また、親族がやっていたオンライン学習塾の立ち上げを手伝う機会もあり、どのような教材が子供たちに合うのかなど知識を得ていました。
その時に『オンライン学習塾では生徒の顔が見えないため、やる気のない子への指導が難しい』とも感じまして。やはり自分は、地域密着型の個別指導学習塾をやりたいと、更に覚悟が磨かれた気がします。」
M&Aだからこそ、未経験の業界でも安心して挑戦できた
フランチャイズへの加盟や独立開業など、他の選択肢もある中でM&Aを選択された理由には、業界未経験でもM&Aであれば安心して挑戦ができると感じたからだと話す高田様。具体的に、どのような点に安心感を持たれたのでしょうか。
「塾を運営するには欠かせない先生、生徒をそのまま引き継ぐことができたので、初心者でも安心して始められると思いました。M&Aであれば、土地もそのまま引き継ぐことができるので、その点もメリットだと感じています。
今回のM&Aでは、引継ぎ後も前オーナー様に『アルバイト講師兼管理者』として残ってもらえることになりました。前オーナー様は大阪大学外国学部出身、私は京都大学工学部出身なので、レベルの高い大学受験もサポートできるのは強みであると感じます。
また、塾講師の先生も同じ条件で引き続き働いてくれることになりました。初めて塾の運営を行う身としては、分からないところを補填してもらえているのですごくありがたいですね。生徒も殆どの子が残ってくれたので、0から自力で集客をしなくても良かったのは非常に助かりました。初期の集客に苦労することがないのは、M&Aの魅力ではないでしょうか。」
学習塾のM&A案件を探す中で、他にもさまざまな案件を検討していたという高田様。どのような基準で探しておられたのかを伺うと、主に3つの基準を設けていたそうです。
「1つ目は立地が良く、かつ自分が通える場所にあることです。学校や駅が近いなどの立地条件の良さは、収益に大きな影響を与えるため重視していました。自分で開業する場合、立地条件の良い場所は他の学習塾の参入も多いため、普通であれば新規参入が難しいです。しかし、M&Aであれば立地の良い場所にある案件を生徒ごと引き継ぐことができるので、新規参入で塾運営を始めるにはオススメです。
2つ目はフランチャイズではないことです。加盟料を払わないといけないことや、本部と交渉しなければならない手間もあることから、今回は除外していました。運営の自由度も下がるでしょうし。
3つ目は、赤字経営ではなく、収支が同じくらいかそれ以上のところを探していました。利益が出ているのであればもちろん嬉しいですが、そこまで望んではいませんでしたね。」
M&Aで大事なのは、スピード感と決断力
今回の案件をご成約するまでに、他にもいくつか交渉を進めていた高田様でしたが、決断スピードの差で成約までには至らなかったとのこと。複数の交渉に挑んだ結果、M&Aで大事なのはスピード感と決断力だと振り返ります。
学習塾の運営において、特に重要となる立地条件。良い立地に構えている学習塾は、バトンズで1週間もかからないうちに成約が決まってしまうこともあり、今回の案件も例外ではありませんでした。
譲り受けた塾の周辺は都市開発が進んでおり、ショッピングモールやマンションなどが新設されています。学習塾をはじめるには好条件の立地だったことを感じた高田様は、スピード感を持ってご決断されました。
「前オーナー様とは、関西出身であるという共通点からすぐに打ち解けられました。実際の引継ぎには1年ほどかかりましたが、引き継ぐ決断をするまでには1週間もかからなかったと思います。引継ぎまでの間は、保護者説明会で引継ぎのアナウンスをしたり、塾名を「わたしの学習塾」に変更しリニューアルしたりと、徐々に準備を進めていきました。」
経済産業省の提供するデータ(※1)によると、少子化による影響で子供の数は減少傾向にあるものの、学習塾業界の市場規模は堅調な伸びを見せています。なかでも、2021年の増加率は、過去10年間で最も高い水準であり、その背景には授業料の単価上昇が主な理由として挙げられます。
市場が拡大している中、高田様は年内を目標に学習塾の他店舗展開を考えておられるとのこと。『わたしの学習塾』では、成績向上と志望校合格にこだわり、一人ひとりの生徒と向き合うことを理念に掲げ、新しくAIを利用した教材や映像学習も取り入れながら、効果的な学習環境を目指していくそうです。
最新の教材を取り入れ、効率的な学習塾の運営ができることで、リーズナブルな価格で提供することができるようになると話す高田様。効率化されて浮いたリソースを、個別の学習計画の作成や、進路指導を行う時間に充てていくそうです。
一人ひとりの生徒さんにしっかりと向き合うからこそ、成績が上がり、志望校に合格した時の喜びは一入だと語る高田様。2店舗目、3店舗目もM&Aでの展開を視野に入れているそうで、学習塾の新たなビジネスモデル構築に挑むわたしの学習塾に、今後の可能性に期待が膨らみます。
高田様とわたしの学習塾の今後の更なるご発展を、バトンズ一同、心より応援しております!
(※1)参考:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1.html
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