結婚を機に地元にIターンし、「自身の経験を生かして地域貢献ができないか」と高齢者向け配食サービスを始めた山内様(仮称)。コロナ禍でも安定した業績を保っていましたが、奥様の療養のために新しい土地に移ることに。「しっかり引き継いでくれる人を探したい」という想いから臨んだ初のM&A。数ある問い合わせの中から、買い手を選んだ決め手はなんだったのか。詳しくお伺いしてまいりました。
譲渡側 | |
---|---|
社名 | FC店 |
事業内容 | 高齢者向け配食サービス |
拠点 | 千葉県 |
譲渡理由 | 後継者不在、体調不安 |
譲受側 | |
---|---|
区分 | 個人 |
業種 | 商業施設事業 |
拠点 | 千葉県 |
譲受理由 | 起業 |
生まれ育った地域のために、何かできることはないか
ご結婚を機に、ご実家のある千葉県に帰られた山内様。地元に帰ってみると、同世代の友人は東京や千葉県中心部に出ており、街が高齢者ばかりである現状を目の当たりにし、生まれ育った地域のために何かできることはないかと考えるようになりました。
「私の地元は、千葉県の中でも高齢者率の高い地域で、このままでは街が廃れていく一方だと感じました。この街で何か自分にできることはないかと考えている中で、街には食事に困っている方がたくさんいるということを知りました。
私はもともと居酒屋を共同経営しており、飲食業の経験があったので、自分にできることを生かして地域貢献ができればという想いで始めたのが、高齢者向け配食サービスになります」
山内様は、高齢者配食サービスで業界NO.1のフランチャイズでFCオーナーとして経営をスタートし、コロナが流行りだしてからも安定した業績を上げておりました。コロナによって外食が難しくなったことは、配食サービスにとっては逆に需要が増えたそうで、山内様と奥様、そしてパートスタッフ数名でお店を回し、4年間黒字の売り上げを続けておりました。
ちゃんと引き継いでくれそうな方に任せたかった
順調に経営を続けてきた山内様ですが、奥様が体調を崩されたことをきっかけに、奥様の地元である長野県へ療養のために移住。これまで育ててきた事業を手放すにあたり、商工会議所などに相談する中でバトンズのご紹介を受けたのだそうです。
今回が初めてのM&Aであった山内様に、交渉にあたって難しかったことについてお伺いすると「難しいことはとくになかったですね。むしろ、自分がこれまでやってきた事業をもう一度見つめ直すことができてよかったです」とのこと。
そんな本事業は、バトンズに登録すると買い手様から36件の問い合わせがあったほど人気のある案件でした。山内様は、その中から20社と面談に進み、譲渡先を検討していきました。
「こんなに反響があるとは思っておらず、かなりびっくりしました。譲渡先を選ぶのはかなり悩みました。金額的な部分はどこも妥当でしたし、値段が下がらないのもわかっていたので。もっとも大事にしていたのは、ちゃんと引き継いでくれる方に引き継いで欲しいという想いです」
山内様の経営するFC店は、社員は山内様と奥様、その他のスタッフは全員パートの方のみの小さな店舗。パートの方々は引き続き残るので業務に支障はありませんが、経営に携わっていた二人が抜けるとなると、引き継ぎがスムーズにできるかどうかも重視したポイントでした。
「大きい会社の社長さんからも連絡があったんですが、大きい会社となると実際に引き継ぎをするのは部下のまた部下の……となっていきますよね。いくら社長さんがやりたくても、その下がやりたくないと話が進まない。そういった理由もあり、今回は会社というよりも個人の方に引き継いで欲しかった部分があります」
「決め手は熱意とスピード感」まさにトントン拍子のご成約
山内様の後を引き継がれたのは、大型の複合商業施設を運営する会社で、サラリーマン社長としてご活躍されている谷口様(仮称)。小規模でも自分の裁量で経営できる事業を模索されていた谷口様は、ご実家が千葉県であることや、ある程度顧客を囲い込んでおり、売り上げに見込みがあるビジネスモデルである高齢者向けの配食サービスに、強い関心を寄せておられました。
「谷口様の印象は、とにかく穏やかで優しそうな方。”どうしようか考えている”という問い合わせが多い中で、”とにかく欲しいです”という熱意が全面に伝わってきました。登録後、一番最初にアプローチをかけてくれたのも谷口様で、そのままトントンとお話が進みました」
決定打となったのは「熱意とスピード感」だったと振り返る山内様。谷口様は、交渉当事は中国におられたにも関わらず、熱心に連絡を取り続けてくれた上に、交渉終盤には来日して山内様と対面で話し合いをされたそうです。
「私は妻と一緒に事業をやってきたので、自分に何かあった時は妻の助けがありました。その点どうお考えか伺ったところ”息子が介護の仕事をしており、妻も現在は仕事をしていないので私になにかあればすぐに対応ができます”と答えてくださいました。この方は、事業を引き継ぐことを真剣に考えてくれているんだなと伝わりましたね」
拍子抜けしてしまうほど、スムーズに決まったM&A
M&Aを初めて体験された山内様に、その印象についてお伺いすると「正直、もっと難しいのかと思っていました。あまりにもスムーズに決まってしまい、拍子抜けでした」とお答えくださいました。6月に登録し、9月には業務の引き継ぎが完了されたとのことで、まさにトントン拍子のご成約でした。
山内様は、引き継ぎ完了後は奥様のご実家のある長野県に移住し、現在は就職活動中。次のキャリアに向けて、新しい土地でスタートを切ろうとしています。
「事業を始めたのも、M&Aを実際にやってみたのもいい機会でした。良い方に譲渡することができて感謝しています。M&Aは、以前よりハードルが下がっているかと思うので、スピード感と熱量を売り手に伝えればスムーズに取引ができるのではないでしょうか。これからもM&Aの市場がどんどん活性化していくと良いですね」
「いろんな経験があっての今ですね」と、晴れやかな笑顔を見せる山内様。
山内様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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