スポーツWEBメディアの運営、運送会社の執行役員、建設会社の顧問など多角的事業を行う島田様は、ロシア向け貿易事業を中心に事業を展開する「ピー・ジェイ・エル株式会社」を引き継がれました。
M&A実施後は、会社名を「株式会社PESPECTIVE」に登記変更を行い、島田様は代表取締役会長として事業経営に携わります。
参入障壁が高い「ニッチ領域」を主として事業を探していたという島田様に、今回のM&Aが成約に至るまでの経緯について、これまでのM&A経験を踏まえてお話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | ピー・ジェイ・エル株式会社 |
業種 | 貿易事業 |
拠点 | 東京都 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受側 | |
---|---|
区分 | 個人 |
業種 | メディア運営など |
拠点 | 神奈川県 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
毎日バトンズの譲渡案件をチェック。参入障壁の高いユニークな事業を検討
スポーツWEBメディアの運営、運送会社の執行役員、建設会社の顧問など多角的事業を行う島田様は、更なる事業展開に向けて数百万〜数千万円規模のスモールな事業投資を常々検討しており、バトンズの譲渡案件もチェックをしていました。
「私は様々な事業に関わっていて、ある意味『なんでも屋さん』的なところがあるので、常に色んな情報を収集するようにしています。
自分の手持ちの余剰資金を運用する一つの手段として、数百万円規模の会社をM&Aしてみたいなと常々思っていたので、バトンズさんのサイトを毎日のようにチェックして『いいご縁がないかな』と探していました。」
過去にも複数回M&Aの経験がある島田様は、M&A仲介会社やM&Aサイトのメルマガ配信などから情報収集を行い、さまざまな形でM&Aの機会を伺っていました。バトンズで案件を探す際には、自身の人脈やネットワークを活かせることと、参入障壁が高い事業を行っていることを基準に検討をしていたと言います。
「誰でもできるような事業ではなく、非常にユニークな要素がある、簡単には真似できない事業や会社に目をつけていました。例えば、私は事業の一つとしてスポーツ関係のWEBメディアを運営しているので、スポーツ関連のニッチな事業はチェックしていました。野球教室を運営しているような会社さんや、ゴルフ場なんかは希少なので注目していましたね。
逆に、飲食店や美容系のネイルサロンの案件なんかは、自分の経験が活かせる領域ではないのと、参入障壁が低いのであまり注目はしていませんでした。」
これまでの経験が活かせるニッチな事業を優先的に検討していた島田様。自身の「好奇心」も重視して譲渡内容を見ており、また交渉に進む際には「ご縁」を感じるかどうかも重要なファクターだったと言います。
「『自分が興味を持てる事業かどうか』は非常に大事ですね。それに、自分の半生を振り返ると『こっちの方に行ってみたい』と思っているうちに、どんどん人のご縁が繋がり、望む方向へ進んでこれたと感じています。
私は様々な事業に関わっていますが、好奇心をきっかけに飛び込んだ先で、また新たなご縁があって次に繋がっていく、という連続でして。今回も、非常にご縁を感じたM&Aでした。」
後継者不在による廃業は惜しい。想いとともに価値ある事業を引き継ぐ
島田様が今回ご縁を感じてM&Aのご成約に至った会社は、ロシア関連の貿易事業を中心に、医療インバウンド事業も手掛けるピー・ジェイ・エル株式会社。事業内容は、まさに島田様が検討していた「ユニークな事業」を行う会社でした。
「ロシアの貿易事業というのは、まさにニッチの中のニッチな事業ですよね。ロシアとのやり取りなので、まず『ロシア語が喋れないといけない』という高いハードルがあります。ピー・ジェイ・エルの事業者さんはロシア語をしっかり喋れる方で、希少性が高いなと感じました。」
さらに、ピー・ジェイ・エルは会長と社長の2名で運営しており、自走可能な事業規模でした。島田様がオーナーとなる形で、事業にそこまで深く介入せずとも会社が運営できるのも大きなポイントだったと言います。
「非ロシア語圏、例えば英語圏でのビジネスに関しては、私の能力を発揮できそうだなと感じました。また、私の人的ネットワークも色々活用できそうだなぁというところで今後の展開や可能性を見出せたので、好感触でした。自分の考えていた投資規模にもちょうど合致していましたし、いいご縁をいただいたなというふうに思います。」
ピー・ジェイ・エルは、会長がご高齢ゆえに健康面を理由に事業を続けることが難しくなり、事業承継を検討していました。
「ロシアとウクライナの戦争により、メイン事業の輸出業・医療インバウンドの事業が非常に影響を受けていました。しかし、戦争が終わればまた回復するでしょうし、事業を継承する人がいないから会社を潰してしまう、というのは非常に惜しいなぁと思いました。
会長様としては、会社を残したいという想いはありながらも『どうしたらいいのか』『誰か引き継いでくれる人がいないか』という状況だったということでしたので、私が事業とともに会長の想いも引き継ぎたいと思いました。」
引継ぎ後、会社名をピー・ジェイ・エル株式会社から「株式会社PESPECTIVE」へと登記変更を行った島田様。前会長から社名の由来を聞き、よりビジョンが伝わる名前へと変更を行いました。
「社名であるピー・ジェイ・エルの由来を聞いたら、フランス語の『PERSPECTIVE JAPON LIMITED』の略だということでした。それではわかりづらいので頭のPERSPECTIVEという言葉を新会社の社名に採用しました。
PERSPECTIVEは視点という意味です。今、ロシアとウクライナの間で戦争が勃発していますが、どちらもそれぞれの視点での正義をぶつけ合っています。しかし、視点は違えど見ているものは一緒であると信じています。
さまざまな視点があり、さまざまな考え方がある。そのような違いを理解し合うことが世界の平和につながるという意味で、新会社のロゴも自分でデザインしました。
上、下、右、左、どの視点から見ても真ん中にPという文字が見えます。このPはPERSPECTIVEのPですが、同時にPEACEのPでもあるのです。」
新規参入をするときは、同じ目線、同じ考え方、同じ言葉で喋れるように心がけ
輸出事業の経験はほとんどない島田様でしたが、個人で事業を始める前はRed Bull Japan株式会社に在籍していた時期もあり、そのころに輸入とマーケティング・販売の経験をしていました。
「これまで輸入の経験しかなかったので、輸出業務のノウハウを身に付けたいという想いがありました。頭の中には、日本から海外に売っていきたい商材もいろいろとあるので、ピー・ジェイ・エルさんの作ってきた事業をうまく活用して海外展開できればと思っています。自分にとっては新しいチャレンジですね。」
今後、ピー・ジェイ・エルの前会長は顧問として1年間会社に残り、社長は島田様の引継ぎ後も会社に残ります。島田様は代表取締役会長という形で、社長と二人三脚で事業を進めていきます。
「私は新しい業界・業種に参入する際には、同じ目線、同じ考え方、同じ言葉で喋れるように心がけています。ビジネスの前提となるコミュニケーションがとれるようにするためには、しっかりとその業界・業種のことを知る必要があると思うからです。
『こちらが買った側なんだから、言うことを聞け』みたいに、上からいくのはもちろんダメですし、かといってへりくだりすぎてもダメです。会社それぞれに文化があるので、自分の会社の文化や考え方を伝えつつ、向こう側の文化も尊重する。お互いがうまく融合していけばいい相乗効果が生まれるんじゃないかなというふうに思います。」
両者好印象で、大きなトラブル等もなくスムーズに成約まで進んだ本案件。しかし、過去にはM&A交渉の中で想定外の事態に見舞われたこともあると島田様は話します。そんな島田様に、過去の失敗経験を踏まえて、M&Aを進める上で気をつけていることについてお伺いしました。
「隠れたリスクがどこに潜んでいるかわからない、というのはいつも意識しています。私の過去の体験で言うと、買収した会社さんが社員の健康診断をしてなかったっていうのが契約直前に発覚し、全社員さんに自社負担で健康診断をしてもらったケースがありました。
他にも、払われるべき社会保険料が社員の方に払われてなかったケースなんかもありましたし、隠れたリスクは最初の交渉段階ではなかなか見えてこないのが現状です。ですので、しっかりと企業調査を行い、売り手さんにヒアリングを行うことが大事だと思います。」
目の前の課題や仕事に全力投球。それが次の道へと繋がっていく
新たな業種・業界に参入した後も、M&Aを活用して事業を展開していきたいという島田様に、今後のキャリア展望について伺いました。
「私の性格やこれまでのキャリア形成の仕方を振り返ると、目標を見据えて逆算していったというよりは、今できることや今したいことを積み重ねていって、振り返ってみたら今の場所にいる、という感じです。
『自分がこれを実現したいから今はこれをしよう』というわけでなくて、『これは面白そうだ』と食いついて一生懸命やっていたら、ここまで来れたなぁと。ですので、いま目の前の課題や仕事に全力投球をしていけば、次の道に繋がっていくんだろうという考え方で生きています。」
具体的なキャリアプランは描いていないという島田様ですが、今回継承したピー・ジェイ・エルはロシアと取引をしている会社であるため、戦争との兼ね合いや、2025年に開かれる大阪万博でのロシアのパビリオンの計画等、ロシアを中心としたビジネスチャンスは見据えていると言います。
「今は自動車部品や自動車の冷却水をメインに輸出しているのですが、それ以外の商材もいろいろと考えています。また、ロシアの周辺にはまだいろんな共和国がありますので、ウクライナやカザフスタン、ウズベキスタン等への進出も可能性として考えています。」
M&Aでの苦い経験や成功経験を経て、今回のご成約を実現させた島田様に、最後に今後M&Aを検討している方に向けたアドバイスをいただきました。
「必要以上に怖がらなくていいと思いますし、今M&Aに興味を持っていたり、M&Aを検討しないといけない状況であることすらも楽しんでほしいです。そして、進む先には素晴らしい世界が待っていると信じながら、M&Aに取り組んでいただきたいと思います。
漠然とした表現になってしまいますが、ビジネスはひとつひとつのご縁なので、それを大事にしていただきたいですね。バトンズさんに興味を持って、今まさにこのサイトを見ているのもひとつのご縁だと思うんです。何かのきっかけがあってバトンズさんのサイトにたどり着いた、そのご縁を大事にして、いい会社さんを探されるのがいいんじゃないかなと思います。」
目の前に訪れる課題や仕事、人間関係と真摯に向き合い、ひとつひとつ積み重ねていきながら現在の多様な事業運営へと繋げていった島田様。新たなビジネス領域へと紡いだご縁とともに、島田様の挑戦は続きます。
島田様と株式会社PESPECTIVEのますますのご活躍とご発展を、バトンズ一同心より応援しています!
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