化粧品、雑貨、インテリア用品など幅広く商品を手掛けるOEMメーカー「Polish up」を運営する佐藤雄太様は、この度バトンズを通じてOEM事業を譲渡されました。副業からスタートし、売上好調だった事業を譲渡するに至った背景は何だったのか。今後の事業展望とともにお話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
事業名 | Polish up |
業種 | 化粧品等の企画・販売 |
拠点 | 東京都 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受企業 | |
---|---|
区分 | 法人 |
業種 | 広報・PR・制作など |
拠点 | 東京都 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
独立したのは「自分の考えた商品を、ひとつでも多く世に出したかったから」
化粧品メーカーでOEM事業の営業職としてご活躍されていた佐藤様は、その経験を活かして「Polish up」を設立。社内の稟議が降りなかった自身の企画を世に出したいという思いから、副業としてスタートされました。
OEMで展開するPolish upのコンテンツは、コスメ用品を起点にしながらも多岐にわたっており、国内におけるオリジナル商品や化粧品原料の企画販売と卸販売、そして同商材の委託販売、さらにはタレントやインフルエンサーとの共同ブランド開発にまで及んでいます。
化粧品のオリジナルブランドといえば、今や多くの有名人が業界進出を果たしており、競争が熾烈で差別化が難しい印象がある昨今。また、日用雑貨店やドラッグストアでは、大手企業の大量生産による低コスト製品が並んでいます。
化粧品メーカーでの営業経験があり、その難しさも認知しているであろう佐藤様は、その領域でどのような強みを見出し、個人事業で拡大・成長させてきたのでしょうか。
「自分が持っていたアドバンテージは、本業であるOEM製品の営業を通じて各メーカーのニーズやターゲット層をリアルタイムに把握できていたことと、大手企業が受けられないOEMの閾値を知っていたことです。
また、作って終わりというOEMメーカーが多い中、アフターフォローを手厚くすることが差別化に繋がることも、仕事を通じて感じていることでした。
自分は副業として事業を始めたこともあり、できるだけリスクがないようなビジネスモデルを構築していました。具体的にいうと、依頼主からの支払いを受け取ってからしか自社にコスト負担が発生しない仕組みにして、その手数料を受け取るビジネスに仕立て上げていました。
よって、自分が前払いで何かを購入することはないので、運転資金等も不要でした。このことは、事業譲渡をする際、早期に買い手を見つけられた理由のひとつだったと思います。」
低リスクで始めた佐藤様の事業は、タレントのプロデュース商品も扱うようになるなど、順調に知名度を高めていきます。
「M&Aを経験してみたい」今後の事業戦略を見据えた、経験の蓄積
順調に見られる事業を、今回なぜ誰かに譲渡しようと思ったのでしょうか。その真意をお伺いすると、今後の事業展開を見据えた経験と資金の蓄積についてお話しいただきました。
「簡単に言うと、ひとつの事業の立ち上げから売却まで、一通り経験してみたかったというのが大きな理由です。本当は会社譲渡をやってみたかったのですが、まずは事業譲渡から始めて概観を掴んでみようと思いました。
同時に、事業が成長していく中、これ以上の拡大を目指すには販売管理費を増やす必要があったというのも、理由のひとつです。そうなると、広告運用の工数も確保しなければなりませんし、今以上の事業規模をひとりでやっていくのは非現実的だと思いました。かといって、人を雇って回すのも乗り気になれず。
OEMは、問い合わせが伸びてから受託案件が増えるまでのタイムラグが発生するビジネスモデルです。一方で、利益率が低いために、広告投下で増えた問い合わせを対応するための人員を確保したとしても、すぐに売上が増えるとは限りません。
そんな中で、余剰人員を抱えられるほどの体力もないだろうと感じていましたし、誰かに渡した方が非連続な事業拡大も期待できると考えて、今回の決断に至りました。
また、一度はM&Aというものを経験しておきたいとも思っていまして。これ以上事業を抱えていくのは難しいと感じたタイミングと、売る経験をしてみたいと思ったタイミングがたまたま合った、ということです。」
次のステージに挑戦するため、重視した「決断のスピード」
運営リスクが低いこともあってか、佐藤様の事業はバトンズ登録後、すぐに複数からの問い合わせがありました。
そして、10件を超える問い合わせの中から4人ほどに交渉者を絞り込み、最終的に今回の引き継ぎ先とご成約に至りました。その交渉プロセスには、どのような決断の背景があったのでしょうか。
「バトンズの担当者の方から『なかなか決まらないまま、ずるずるいくこともある』と聞いていたので、とにかくスピード感を持って決断してくれそうな人に絞り込んでいこうと思っていました。少しでも早く手離れさせた上で、そこで得た資金を次の新規事業に着手したいとも思っていたので。
あとは、ここまで育ててきた事業への想い入れがあったので、同じような熱量を持って成長させていこうと考えてくれているような人に譲りたいとも考えていました。
そんな条件を念頭におきながら、実際に4人の方と面談をしました。最初の方は、自分というより社員にやらせようと思っていたみたいで、1名分の雇用を賄えるほどの事業規模には達していないと判断されたのか、話が先に進みませんでした。
次にお会いしたのは、これまで事業運営をやったことのない方で、意思決定のスピードが遅かったために結果として成約には至りませんでした。
今回譲渡を決めた買い手様は、その中でも決断力があって、お人柄も素晴らしく、この事業を自分で回していこうと考えられていました。熱量も十分に感じることができたので、最終的に彼に譲ろうと決めたんです。」
M&Aは経営者同士の対話の場。そこから学んだ“経営者視点”とは
「一度はM&Aを経験してみたかった」と話されていた佐藤様が、事業譲渡を無事に終えられて、その経験からどのようなことを感じられたのでしょうか。
「一番印象的だったのは、経営者の興味の矛先をあらためて実感できたことでした。彼らには、私がこれまでOEMの営業をしていた際に熱心に語っていた内容が、あまり刺さらなかったんです。
具体的には、商品の魅力やターゲットカスタマの特性をいくら熱く語っても、あまり興味がないというか、そこは二の次という反応だったんです。
それよりも、1年間でどれくらい回せるのかとか、事業として成立するのかとか、キャッシュフローはどうなっているのかといった数字面のことを深く聞かれました。
考えてみれば、そこに興味が集中するのは当たり前のことなんですが、サラリーマン時代のクセで商品の魅力を伝えがちになっている自分にも気づくことができたのは、非常に良い学びとなりました。」
売り手としてのM&Aを経験された佐藤様は、次は買い手としても経験してみたいとのことで、バトンズの譲渡案件も閲覧していると言います。
将来的には、自社のオリジナル商品を確立させて、リアル店舗を構えたいと話す佐藤様。事業譲渡という大仕事を終えたばかりにもかかわらず、既に次のステージに向けて歩き始めている佐藤様は、マーケットを的確に捉える審美眼と、モノ作りに対する熱い想いを持つエネルギッシュな事業家でいらっしゃいました。
佐藤様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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