公開日 | 2023/06/20 |
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記載者 | 藤澤文太税理士事務所 |
M&A
【医療法人M&A】「認定医療法人化」と「M&Aによる買い手探し」の両方の検討が必要
認定バトンズDD調査人
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医療法人のM&Aの場面で、認定医療法人化の検討が必要なケース
医療法人のM&A仲介会社や医療法人の顧問税理士の中には、認定医療法人化による持分なし医療法人への移行について否定的な考えを持っており、お客様からのご相談に対して持分なし移行に反対される方も少なからずいらっしゃいます。
ただし、例えば下記のようなケースでは持分なし移行の「認定医療法人化」と「M&Aによる買い手探し」の両方の検討が必要であると考えられます。
①院長(理事長)が亡くなって多額の相続税の納税が必要、かつ親族で法人の承継が困難
②買手でその後の親族内承継時に相続税を払いたくないので、M&Aの際に買手から持分なし医療法人への移行が求められている
ケース1:院長(理事長)が亡くなって多額の相続税が必要、かつ親族で法人の承継が困難なケース
医療法人の事業承継も株式会社やその他の一般的な法人と同様、解散しない限りは親族が承継するか、第三者が承継するかのいずれかとなります。
ただし、株式会社等と異なるのは、法人代表者(理事長)が原則医師または歯科医師でなければならないことです。
親族にドクターがいない場合は、M&Aで第三者の承継者を探す必要があります。
十分な準備をして理事長の生前にM&Aがクロージングしたのであればあえて認定医療法人化による持分なし移行は不要ですが、持分ありのまま出資を多額に保有する理事長がお亡くなりになった場合は、相続税が多額に発生します。
例えば理事長の保有する出資持分の評価額が10億円の場合にその出資に関して約3億円の相続税を納税しなければならないといったことになる場合もあります。
出資者である理事長がお亡くなりになった場合でも、相続税の申告期限までに厚生労働大臣による認定を受ければ、出資持分の相続税の納税を猶予・免除を受けることが出来ます。
ケース2:買手でも承継時に相続税を払いたくないのでM&Aで買手から持分なし医療法人への移行が求められているケース
持分あり医療法人のM&Aにおける出資持分の譲受人は通常法人ではなく個人となります。
法人の場合は社員の地位と出資者の地位を合わせて持つことが出来ないため退社による持分払戻請求が出来なくなるためです。
その際の買い手である個人の負担をできるだけ軽減するため、譲渡対価は退職金でほとんど精算するのが通例です。
但し、承継時にほとんど0円に近い出資持分も、その後買手の経営努力により株価はどんどん上がります。
買手のご子息がその医療法人を承継する際には多額の相続税が発生する可能性があります。
買手がもともと経営している医療法人を代々親族で承継している場合は、承継の都度多額の相続税を納税しているため、新たにM&Aで引き継いだ医療法人でも将来同じことが起こると想像されます。
このような場合は、買手から、M&Aの前に認定医療法人化による持分なし移行により、将来の買手での親族内承継時に相続税が発生しないようにしておきたいとのご要望がある場合があります。
注意点
M&Aの場面で認定医療法人化による持分なし移行を行う場合は、下記の点に注意する必要があります。
①買い手において認定の要件を6年間充足し続ける必要があります。その点を買い手に十分理解してもらったうえで事業承継を行う必要があります。
②医療法人を休眠していても、認定の要件を満たし続けることが可能であれば認定が取り消されることはありません。ただし、1事業年度全期間を休眠した場合は収入が発生しないため保険診療割合8割超の要件を満たさなくなります。また、休眠により事業費用が一切発生しなくなれば遊休財産要件も満たさなくなります。
③医療法人を休眠後1年以内に正当な理由なく再開しない場合は医療法人の認可が取り消される可能性があります。
④死亡退職金の支給額が相続人の死亡後3年以内に確定した場合はその退職金は相続税の課税対象(500万円×法定相続人の非課税あり)、3年経過後の場合は遺族において所得税の一時所得が課税されます。
持分ありのままで相続人が社員の地位を有しない場合は、被相続人において準確定申告が必要となります。
医療法人において退職金が損金算入要件を満たすかどうかの検討や、医療法人の配当禁止規定に抵触しないかの検討も必要となります。
認定を受けない場合の医療法人の出資持分の評価額、M&Aの対価としての退職金の支給額や支給時期・だれの退職金とするのかによって、課税関係や納税額が大きく変わってきます。様々なシミュレーションを行ったうえでのスキーム決定を行う必要があります。
最後に
本件にかかわらず医療法人のM&Aや認定医療法人化、その他の事業承継についてのご相談がございましたら、下記の弊所ホームページのお問い合わせフォームからご連絡いただけますと幸いです。
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