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2024/06/24

M&Aでトラブル回避する防衛策

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世間で注目されている、M&A仲介に関するトラブル
現在、M&A仲介に関するトラブルの記事が注目されています。 概要は、譲受側が譲渡側に対し、金融機関などの債務の個人保証や自宅の担保等を外し引継ぐと譲渡契約を交わし、譲渡側の事業を承継するが、成約後、譲渡企業内にあった現預金や法人契約の保険の解約金等の資金を譲受側に移させ、最終的に譲渡企業は資金がショートし、契約書で交わした個人保証や担保の解除も履行されず、廃業に追い込まれてしまうというものです。 この件は、同一の企業で数十件行われていたようで、中小企業庁も実態把握へ動く事態となっています。
防衛策の一例
上記のような事態を受け、既にM&A支援機関登録制度の事務局や一部プラットフォームも対策に動いています。 ですが、自衛も大切です。 こういった事態に巻き込まれないよう、防衛策をご紹介致します。 【1】契約前に最低限のM&Aの知識をつける 「そんな時間はない」と思われる方がほとんどだと思いますが、会社にとっても、そこで働く従業員にとっても、その後に関わる大きな出来事です。 最低限、下記の項目を理解し、M&Aに挑まれることをお勧め致します。 1.M&Aの流れ 2.仲介とFAの違いと、メリット・デメリット 3.アドバイザーとの契約時の注意点(テール条項/専任条項/報酬 など) 中小企業庁が発行しています、『M&Aガイドライン』にフロー図などと併せて詳細に書かれています。是非ご参照下さいませ。 ◇中小企業庁|中小M&Aガイドライン(第2版) https://www.meti.go.jp/press/2023/09/20230922004/20230922004-d.pdf ※本記事では掲載都合上、割愛させて頂きます。 【2】仲介を避ける 一部の声にもあるように、仲介で進行するのではなく、FA(フィナンシャル・アドバイザー)でアドバイザーについてもらうということも対策に繋がります。 仲介とは、譲渡側・譲受側の双方との契約に基づいて支援等を行うことを指します。アドバイザーが譲渡側・譲受側の間に仲人としてたち、進行や助言等の支援を進めます。 FAは、譲渡側又は譲受側のどちらか一方との契約に基づいて支援等を行うことを指します。アドバイザーは契約者へのみ支援業務を行います。 上記のような違いがあり、仲介の場合、成約を急ぎ利益相反が起きてしまうと懸念される声も一部から出ています。 その為、そういったことが起きにくいFAをお考えになるのも、一つの防衛に繋がります。 <ご注意> 中小企業のM&Aで仲介が多い理由の一部に、下記メリットがあります。 FAの場合、下記の点が逆に作用してしまうことが大いにありえますのでご留意願います。 ・アドバイザーが譲渡側・譲受側双方の条件や希望を把握しているので、コミュニケーションが円滑である。互いの希望を知っているので、折衷案も出やすい。 ・質問等も介する人が少ないのでスピーディ。 【3】M&A支援機関登録制度の登録事業者に依頼する 中小企業庁が中小企業が安心してM&Aに取り組める基盤を構築するために作られた登録制度です。 登録事業者はM&Aガイドラインの遵守宣言をしております。 ※弊社グループのビジネスサクセション(株)も登録済みです。 https://www.business-s.jp/main_contents/menu_00/ma-shienkikan.html 【4】『何か変…何か引っ掛かる…』の勘は大切に 長年経営をされてきた経営者の皆様の勘は、とても大切です。 引っかかる点があるならば、気のせいで済ませるのではなく、腑に落ちるまで深くご自身で調べることも時には大切です。 【5】セカンドオピニオンを活用 譲渡契約前や、大切な契約前にアドバイザーから受けた助言の内容の妥当性を検証したい場合等に、他の支援機関へ意見や助言を求めること指します。 第三者の視点から意見を貰うことも、防衛策に繋がります。
M&Aは怖くない!!
今回はある一部のトラブルを取り上げた記事でしたが、中小企業のM&Aは 「社長が今まで築いてきた技術や会社・取引先を引き継ぎいで発展したい」 「夢だった事業を引継ぎ、従業員と頑張って成長したい」 などの思いから承継を希望される、友好的なものも多いです。 良くない先入観を持って目を曇らせてしまわないよう、目の前の方と真摯に向き合ってM&Aに挑んで頂けますと幸いです。 この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。
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