公開日 | 2021/09/16 |
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記載者 | ビジネスサクセション株式... |
その他
事業承継税制の特例措置 役員就任要件3年
バトンズ認定アドバイザー
認定バトンズDD調査人
スモールM&Aに特化したアドバイザー業務を売り手及び買い手側共に対応、毎年10件程度の成約実績(M&A支援機関登録専門家ですので事業承継引継ぎ補助金の対象)
専門分野
M&Aアドバイザー(全般相談)
企業/事業評価
企業/事業概要書作成
契約書草案作成
デューデリジェンス
経営支援
金融・行政対応
その他中小企業支援
対応可能エリア
関東地方全般
関西地方全般
事業承継税制の特例措置とは?
中小企業者の円滑な事業承継を支援するため、法人の場合、非上場会社の株式に係る相続税、贈与税の納税が猶予及び免除される法人版事業承継税制があります。
中小企業の事業承継を後押しするため、平成30年度税制改正において、事業承継税制が10年間限定で大きく拡充されました。
いわゆる「事業承継税制の特例措置」です。
特例措置のポイントは4つあります。
1.株式の贈与・相続にかかる税額すべてを対象に
対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合を100%に拡大することで、承継する株式にかかる贈与税・相続税のすべてが納税猶予の対象となりました。
2.対象者を大幅に拡充
これまでは、先代経営者一人から後継者一人への贈与・相続のみが対象でしたが、特例措置では、親族外を含むすべての株主から、代表者である後継者(最大3人)への贈与・相続が対象になりました。
3.雇用要件を抜本的に見直し
雇用要件(事業承継後5年間平均で、雇用の8割の維持が必要)を抜本的に見直すことにより、雇用維持 要件を満たせなかった場合でも納税猶予が継続可能になりました。
※経営悪化等が理由の場合、認定支援機関の指導助言が必要です。
4.将来的な売却・廃業の際の税負担を軽減
将来、事業を売却・廃業する際に株価が下落していた場合には、その株価を基に納税額を再計算し、事業承継時の株価を基に計算された納税額との差額を減免することで、経営環境の変化による将来の不安を軽減します。
なお、事業承継税制の特例措置を利用するためには、2026年3月末までに「特例承継計画」を申請し、2027年12月末までに事業承継を行う必要があります。
さらに悩ましい「役員就任要件3年」もあります。
役員就任要件3年
内閣官房HP新しい資本主義実現会議(第28回)議事「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改定版」が閣議決定されました。
そこに事業承継税制の特例措置が遅々と進まない一要素が取り上げられていますので、ご紹介します。
『事業承継税制については、現行では、その利用のために役員就任要件(実際の承継時に、後継者が役員に就任して3年以上経過している必要があるという要件)を満たす必要がある。
特例措置を利用する場合、本年12月末(実際の税制上の承継期限である2027年12月末3年前)までに後継者が役員に就任している必要がある。
来年以降に事業承継の検討を本格化させる事業者にとって、本年12月までに後継者を役員に就任させることは困難であり、事業承継税制を最大限活用する観点から、役員就任要件の在り方を検討する。』
実際に弊社にご相談に来られた法人様におかれても、役員就任3年要件をクリアするために、急いで取締役登記をされました。
事業承継税制の特例措置は、異次元の税制優遇かと思われますが、特例承継計画の申請件数はというと、増加はしているものの2023年度で5,357件となっています。
優良な中小企業の事業承継を進めたい政府としては、この特例措置の周知徹底に取り組み、特例措置の最大限の活用のために議論を重ねています。
悩ましい役員就任要件3年が短縮されるかどうか、税制改正大綱を待ちたいと思います。
この話が経営者・資産家の皆様のお役に立つことができれば幸いです。