その他
57
2023/02/07

消える魔球?意思決定をしないという意思決定

記載者情報
消える魔球?意思決定をしないという意思決定
意思決定をしないという意思決定。別に言葉遊びをしたいわけではありません。 また経営者は意思決定をするのが仕事なので意思決定をしないのはけしからん、という話をしたいわけでもありません。 これは私が実体験から感じたことですが、私が優れていると感じる経営者は時に、そして戦略的に意思決定をしない、という意思決定をする場合があります。「時に」と書いたのは、ある条件がそろった場合にのみそれを行う傾向にあると思ったからです。 そしてその「戦略的に意思決定をしない」は非常に多くの効用をもたらすことがわかりました。例えるならストレートの剛速球を投げるピッチャーが、時に見せる消える魔球のごとく変化球でバッターを翻弄しストライクをとるように、普段はとんでもない速さで意思決定をするにもかかわらず、時に意思決定をしないという意思決定をすることで、周りを翻弄し、問題解決のボールを一旦自分以外に委ね、そしてその問題解決の期が熟したころに、あらためて意思決定を行い、その結果、事業を前に進める推進力に変わっているという事が起こるのです。 多くの経営者は、意思決定をしすぎている、あるいは意思決定をしなさすぎている、この2つのパターンがあると考えています。そして、昨今の新進気鋭の経営者ほど意思決定をしすぎているのでは、と感じることも多くなってきました。 そういったタイプの経営者がこの消える魔球である、意思決定をしないことを織り交ぜることによってよりエッジの効いた経営が推進できるのでは、という提案が今回の趣旨になります。
「戦略的に意思決定をしない」をする上での条件
優秀な経営者は、この「戦略的に意思決定をしない」を利用するタイミングを非常に重要視しています。 なぜならこれはあくまで、「変化球」であり、多用し過ぎると本来もっているストレートの剛速球の良さを失い副作用のほうが大きくなり経営にマイナスになることを知っているからです。そのためにも「ある条件」を満たした場合にのみ利用することでその効用を最大化しようとする働きが生じます。 その条件は、  ①問題の整理がされていない、かつ判断するための情報が欠けている。  ②①の状態で間違って判断した場合、そこから引き返すコストが大きい。   ➂その問題が仮に放置されたとしても経営にクリティカルな影響がない。   おおむねこの3つがそろったときに「戦略的に意思決定をしない」が発動します。 反対をかえすとこの条件が整っているにも関わらず意思決定をしてしまっている経営者も多くいるいると思います。 優秀な経営者は時を図ってこの3つの条件がそろったのを確認し、伝家の宝刀「戦略的に意思決定をしない」を出してきます。 この発動がされた場合、周りはどのように受け止めればよいのでしょうか。
「戦略的に意思決定をしない」が発動した場合の周りの対応方法
 いつもはすぐに意思決定をしてくれる経営者が、とつぜん意思決定をしないとなると周りは一時混乱するかと思います。 ですが一番重要なことは周りがこれは「戦略的に意思決定をしない」だと冷静に判断し、まず上記の3つの条件のうち①の解決に集中して取り組むことです。 この3つ条件のうち①を満たすように経営者に追加で情報を提供することによって、その情報が適切であればおそらく今まで通りの意思決定プロセスに移っていくでしょう。多くの場合は①が原因となっていることが多いので周りの対応としては①への対応に集中する、で良いと思います。  このような対応ができるようになれば、それは企業風土となり、何か経営者に意思決定を促すとき、①の条件を満たしていないか必ずチェックして判断を仰ぐようになります。 そしてこれが、優秀な経営者が狙う最大の効用でもあります。直接ストレートに言わなくても、足りないものを周りが察知し動くようになること。これは組織が大きくなればなるほど大きな効用となってきます。 これは確かに受け取る周りのスキルのレベルも求められます。ただし、これらを上手く利用しながら組織全体の推進力をあげていく手腕というのは、より経営者のスキルとして必要とされるものになるのではと考えています。 以上となります。 弊社では、実践的な組織戦略についても多くのアドバイスを行っております。 もしご興味がある方は下記ホームページよりお問い合わせ下さい。 Biz Linksys 代表 / M&A支援機関登録専門家 福住仁志(ふくずみ ひとし) 会計事務所を母体とするコンサルタント会社に入社、全国TOPの目標達成率を樹立し東京支社長就任。中小企業においても、事業再生の1つの手段としてM&Aが必須となると確信し、代表としてBiz Linksys (事業承継・引継ぎ 相談窓口)を立上げ現在に至る。M&Aのアドバイザーを務めながら、実践的な組織戦略のアドバイス、各企業のクラウドサービス導入等の支援も実施している。 会社HP:https://bizlinksys.jp/
関連コラム