「独創的で唯一無二」そんな言葉がピッタリな織田篤志様は、愛知県春日井市で主婦やシニア向けのパソコン教室を運営している「株式会社元氣玉」の代表を務める遣り手の実業家。今から20年前に開業した同教室の卒業生は1,200名を超え、市内トップクラスの実績を誇る超優良事業であったにもかかわらず、なぜ、織田様は事業譲渡という決断をされたのか。50歳を超え、ご自身の生き様に真剣に向き合った結果の選択だったという今回のM&Aを、どのように駆け抜け、次はどんなステージに向かおうとされているのか。その詳細をお伺いしてまいりました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | 株式会社元氣玉 |
業種 | 教育事業 |
拠点 | 愛知県 |
譲渡理由 | 後継者不在、選択と集中 |
譲受側 | |
---|---|
引き継ぎ | 個人 |
業種 | 教育事業、学習塾 |
拠点 | 愛知県 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
とにかく起業してみたい!やりたい事業を決めたのは脱サラした後だった
もとはゲーム機器の卸売業を営む企業で、社長の右腕としてご活躍されていたという織田様が、ご自身の経営手腕を試してみたいと独立起業を決意されたのは、今から22年前。
「社長になることが目的だったから、これがしたい、というものは後から決めたんです」と気さくに笑う織田様が選んだのは、フランチャイズの学習塾という事業でした。
「漠然と、教育というものの大切さは感じていて、何らかの形で子供たちの成長に関与できるようなことに携わりたいと考えていました。教員免許を持っていない自分でも、何か良い方法はないのかと模索したところ、学習塾のフランチャイズという手法に辿り着いたんです。
これなら教員免許を持っていなくても、子供たちと触れ合うことができ、自分自身のアイデンティティを伝えられるのではないかと思ったんです」とおっしゃる織田様が、パソコン教室という分野に進出するのは、それから更に2年経った後のことでした。
「冷静に考えれば分かることだったんですが、かわいい我が子を学習塾に通わせるなら、知名度が高く、地元に根付いた実績のあるところを選ぶのが普通ですよね。だから、ポッと出の小さな学習塾が安定運営をするためには時間が必要だったんです。
そんなことにも気が付かずに事業をスタートしてしまったため、2年もすれば経営的にも非常に苦しくなってきて、昼間のカラ家賃を何とかするために始めたのがパソコン教室だったんです。
当時のパソコン教室というのは、パソコンは大好きだけれども、サービス業のノウハウをお持ちでない方が開業するケースが多かったので、私の教室は生徒さんたちをサービスという観点からファンにすることで差別化を図りました。それが結果的に大当たりして、生徒さんの多くが2年以上通ってくれるような、そんなアットホームな教室を作ることができたんです」とも。
こうして織田様のパソコン教室は、地元のみなさんが何年も通い続ける憩いの場となり、業績は順調に推移していきました。
残りの人生をかけてやりたいこと、それは愛と勇気を伝える五穀豊穣の伝導神?
このように実績を堅調に積み上げてきた優良事業を、20年経った今、なぜ手放すことにしたのか。その真意をお伺いすると「パソコン教室というハコがあると、そこを守ることに大半の意識を向ける必要があります。
実は私は、輸入ビジネスやセミナー開催など、他にもいろんな事業を手がけているのですが、ハコに何か問題が発生すれば、予定を変更して戻ってこなければなりません。教室というハコを所有するには大きな責任が伴いますが、そのことが自分から自由を奪い、可能性を消しているのではないかと思うようになったんです」とのこと。
「私は今年で52歳。全ての体力と気力をつぎ込んで何かをできる時間は、既に20年を切っていると考えています。だからこそ、自分の自由度をもっと高めて、次のステージに向かいたいと思いました」とも。
そんな織田様に、深い愛着のある本事業を手放してまで進みたかったという、次なるステージとは何なのか尋ねてみると「私は、残りの人生は人々に夢と希望を与えるヒーロー活動に専念すると決めました。その一環として、実は明後日、LOBRAVEという名前で他4名のメンバーと共にアーティストとしてメジャーデビューすることが決まっているんですよ。
これは、音楽を通じて私たちの想いを届けるという目的のもとで始めたもので、50歳を過ぎてもメジャーデビューできるんだ、誰もがヒーローになれるんだということを、世の中に伝えたいと思っています。
そのグループにおける私の名前はアポロンというのですが、これは五穀豊穣の神様の名前から取りました。私は五穀豊穣というテーマで、人々に人生を豊かにする方法を伝えていきたいと思っています。五穀豊穣という文字通り、実はアーティスト活動と並行して実家の葡萄農家を継ぎ、農業も始めるんですよ。また、五穀をお金に見立て、それを豊かに実らせるという意味合いで、資産形成のコンサルティング事業も運営していく予定です」とのこと。
情熱と志を持って自ら路を切り開いていらっしゃる織田様が語る多彩な未来絵図に、ただただ圧倒されました。
譲渡先の選定にあたって最も重視したのは、志を継いでくれる情熱の量
そんな織田様が、譲渡先の選定にあたって最も重視したのは「志を継いでくれるかどうか」だったそうです。
「実は、当初の売却価格は200万に設定していたのですが、三期分の決算書を見せてほしいとか、今後の伸び率を示してほしいとか、いわゆる左脳系の問い合わせばかりで。もちろん商売ですから、儲かるかどうかが大切なのも分かるんですが、こういう人達には譲りたくないと思いました。
そうではなくて、私の想いを全て汲んでくれて、たとえ大きく儲からなかったとしても、この志を継いでくれて、仲間とし今後もお付き合いできるような人に譲りたいと思いましたし、そういう人を自分で選びたいと思ったんです」とおっしゃる織田様は、売却価格を50万に下げることで間口を広げ、集まった多くの買い手候補者の中から、名古屋市で30年に渡り英会話スクール、学習塾を経営していらっしゃる長野様を後継者として選ばれました。
「私は、この事業譲渡で利益を得ようとは思っていませんでした。全部で5名くらいの方と最終的に面談したのですが、長野様から“どうしても自分に譲ってほしい”、“どうか自分を選んでください”という猛烈なアプローチを受けまして。
そこまで言ってくださるなら、長野さんにお譲りしようと思いました」と笑う織田様は、メジャーデビューを明後日に控えて新聞社の取材などでお忙しそうでしたが、夢に向かって邁進している姿は眩しいばかりで、お話を聞いているだけで元気になれるような、ポジティブなエネルギーに満ちた実業家アーティストでいらっしゃいました。
織田様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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