会社を立ち上げようとする場合、さまざまな資金を用意する必要があります。また、会社を立ち上げてもすぐに利益が出るわけではないため、あらかじめある程度の資金を調達することが求められます。
会社立ち上げには平均してどのくらいの資金が必要なのか、また、資金を調達したい場合はどのようにしたらいいのかを詳しく解説します。
会社の立ち上げに必要な資金はいくら?
そもそも会社を立ち上げるには、どのくらいの資金が必要なのでしょうか。平均的な開業資金を業界別に見てみましょう。
業界別で見る平均的な開業資金
下記は、業界別の平均開業資金を一覧にしたものです。
業界・業種 | 起業・開業資金 |
---|---|
飲食店 | 1,000万円~ |
美容室・サロン | 500万円~3,000万円 |
学習塾 | 100万円~1,000万円 |
小売り・アパレル | 1,000万円~ |
税理士・弁護士 | 50万円~500万円 |
表を見るとわかるように、店舗を構える必要がある業界は開業資金が高い傾向にあります。税理士・弁護士などの士業として開業する場合には、事務所を借りずに自宅で開業できるため、必要資金が低くなっています。
また、店舗の大きさや必要な機材などにこだわればその分、金額がかかってきます。
そもそも資本金とは?
資本金とは、事業を始める際に用意する運転資金のことです。資本金が多ければ多いほど、事業が安定していると判断する基準になります。資本金の計上については会社法445条で定められており、株主が会社に対して払い込んだ金額を指します。合同会社である場合は、社員が出資者となります。
2006年5月1日に施行された新会社法により、それまで株式会社は1,000万円以上、有限会社は300万円以上の資本金が必要であった「最低資本金制度」が撤廃されました。これによって資本金の最低金額がなくなり、1円からでも開業が可能になりました。企業によって資本金の額は異なり、平成26年経済センサス―基礎調査のデータによると、日本企業の資本金の平均額は300万円程度とされているため、300万円ほどは用意するつもりで進めると良いでしょう。
会社の立ち上げにかかる平均的な金額と内訳
起業資金とは、上記で説明した資本金とは別に、会社を立ち上げるためにかかる費用のことです。必要な費用規模や会社の大きさによって左右されるため、正確に計算して計画を立てる必要があります。
起業資金は、大きく4種類に分けて考えることができます。
以下で、それぞれについて紹介します。
会社設立費用
株式会社、合同会社の設立には一般的に以下の金額がかかります。
株式会社 | 合同会社 | |
---|---|---|
会社設立の登録免許税 | 資本金×0.7% もしくは 15万円 | 資本金×0.7% もしくは 6万円 |
定款用収入印紙代 | 4万円(電子定款の場合不要) | |
定款認証手数料 | 資本金100万円未満の場合3万円
資本金100万円以上300万円未満の場合4万円 資本金300万円以上の場合5万円 |
0円 |
合計 | 約24万円から | 約10万円から |
その他、手続きや発行する書類等により金額が左右されます。最低でも資本金に加えて上記の金額が必要になることを認識しておきましょう。
設備費用
設備費用は、事業を開始するために必要な機材・設備を整えるための資金です。業種や規模によって、金額は大きく異なります。飲食店など機材・設備が多く使用する業種は設備費用に相当の金額を要します。
運転資金
運転資金は、家賃や光熱費など実際の運営に必要な資金です。こちらも会社によって金額はさまざまなので、起業の際はきちんと計算する必要があります。オフィスを借りる場合にはあらかじめ多額の初期費用を支払う必要があるため、そちらも考慮しましょう。
税金などの諸費用
最後に忘れてはならないのが、税金をはじめとする諸費用です。起業すると、法人税、法人住民税(もしくは法人事業税)、均等割、消費税、源泉所得税、社会保険料などがかかります。会社の規模によっては金額が大きくなり、初年度から支払い義務が生じる税金もあるため、事前に把握し余裕を持って資金調達する必要があります。
会社の立ち上げに必要な資金の集め方
会社の立ち上げに必要な資金はどのように集めるのでしょうか。以下では具体的な資金調達方法について解説します。
自己資金を充てる
まず考えるべきは、個人の資産を企業資金に充てる方法です。貯金や、私財を売却して得た資金で費用に充てます。個人資産であれば返済義務に追われないため、事業を開始したあとに返済が滞ることによる倒産のリスクを軽減できます。また、自己資本比率が高いと健全な運営を保証する基準になることから、融資を受けやすくなるという効果も期待できます。
国、自治体、金融機関からの融資
自己資金のみで費用をまかなうことが難しい際は、融資を受けるのが一般的です。以下では、融資を受ける方法として代表的なものを紹介します。
日本政策金融金庫からの融資
日本政策金融公庫から融資を受けるという方法が最も広く知られています。事業規模に合わせてさまざまな融資制度が用意されていますが、新しく事業を始める方は、新創業融資制度と新規開業資金を利用すると良いでしょう。使い道は「事業を行うために必要な設備資金および運転資金」と定められており、新創業融資制度は融資限度額が3,000万円(うち運転資金1,500万円)、基本的には担保・保証人なしで利用できます。また、原則担保・保証人が必要とする新規開業資金は融資限度額が7,200万円(うち運転資金4,200万円)まで融資を受けることができます。対象者には条件や審査があるものの、国が100%出資で運営している制度であるため、安心して利用することができます。
創業補助金を利用
他にも、創業者向けの補助金・給付金を受けるという方法があります。創業補助金は都道府県別に用意されている国の融資制度です。なお、自治体ごとにも特別な補助金・助成金制度が用意されていることがあるので、細かくチェックすることをおすすめします。
資金提供を受ける
自己資金や融資による調達だけでなく、資金提供を受けるという方法もあります。事業に共感した家族・友人などから資金提供を受ければ、出資というかたちになり、返済の義務は生じません。
その他、資金提供にはさまざまな形態があるので、以下で紹介していきます。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせて作られた造語で、活動への共感によって資金を集める手法です。目標金額を設定して資金提供を受け、その代わりにリターンを設定するのが一般的です。
クラウドファンディングは誰でも資金提供を募ることのできる手段ですが、目標を一度達成するとプロジェクトの取り下げができないため、募集は慎重に行いましょう。また資金を集めるためには、事業のアイデアを細かく発信する必要があります。そのため競合企業に事業内容を知られてしまうというリスクがあることも留意しましょう。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルからの出資を受けるという手法もあります。ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業やスタートアップ企業の株式を取得し出資を行う投資会社です。
銀行から融資を受けようとする場合、信用や担保が乏しいベンチャー企業やスタートアップ企業では断られてしまう可能性があります。しかしベンチャーキャピタルは、信用や担保よりもビジネスモデルを見て将来性を判断してくれます。
企業の将来の成長を見込んで出資してもらうため、ベンチャーキャピタルからの出資を受けると、経営ノウハウを提供してもらえるなどのメリットもあるでしょう。その一方で、経営の内容について干渉を受ける可能性があることに留意が必要です。
エンジェル投資家からの出資
エンジェル投資家とは、創業して間もないベンチャー企業に投資する個人投資家や実業家のことです。エンジェル投資家は、上記で紹介したベンチャーキャピタルと同じように、株式を取得することで出資を行います。銀行などからの融資と違い、資金を返還する義務はありません。ただしベンチャーキャピタルとは異なり、個人組織であるエンジェル投資家は額が少額になる傾向にあります。一方で一般的には経営に対しての関与を求めることが少なく、またより短い判断期間で投資を決定してくれるという特徴もあります。
会社の立ち上げにM&Aを活用するといい理由
ここまでさまざまな方法で資金調達を行うことができると紹介してきましたが、会社を立ち上げる際には、M&Aを利用するのもおすすめです。ここからは会社の立ち上げにM&Aがおすすめな理由について紹介します。
増えるM&Aを活用した起業!そのワケとは
少子高齢化が進行する昨今、経営者が高齢になり、後継者を探しているという企業が数多く存在します。そのためM&Aや事業承継によって第三者が会社を引き継ぎ、経営者となるケースが増えています。最近では、コロナ禍による業績悪化が顕著になり、さらに多くの会社が後継者を探すようになっています。
M&Aを活用した起業をオススメする理由
自身の想定する事業と引き継ぎ元の事業内容が上手くマッチし、将来の見通しも立つのであれば、M&Aや事業承継による起業は効果的な手法だといえるでしょう。
その理由のひとつは、起業にかかる膨大なコストと時間を大幅に節約することができることです。もちろんM&Aや事業承継にも金額がかかりますが、案件によっては安価で事業を引き継ぐことができます。そして案件が成立すれば、買い手側は、売り手側が蓄積してきたノウハウや顧客基盤をそのまま引き継ぐことができます。また、M&Aの契約の種類によってはノウハウや技術を持っている売り手側の従業員の雇用を引き継ぐことも可能です。
ゼロから始めると事業が安定するまでに時間がかかったり、失敗してしまったりするリスクがありますが、M&Aや事業承継によって基盤を手に入れれば、リスクを最小限に抑えることができます。好調にいけば、迅速に利益を上げられることが期待できます。
しかし、M&Aや事業承継にもリスクはあります。たとえば買い手側は、簿外債務や偶発債務を引き継いでしまう可能性やM&Aを機に売り手企業の従業員のモチベーションが低下してしまうことも考えられます。このようなデメリットも含めて、慎重に見極めながら実施に踏み切ることが大切です。
会社立ち上げの資金を節約するならバトンズ
事業内容にマッチし、資金を最小限に抑えた起業をM&Aで行いたい場合は、国内最大級のM&A総合支援プラットフォームのバトンズの利用がおすすめです。
全国規模で案件を揃えており、6,000件以上の案件の中からご自身のビジネスプランにマッチした最適な企業を見つけることができます。成約までのスピードも速く、平均3ヵ月、最短1週間で成約した事例もあり、ビジネスチャンスを逃すことなく起業することができます。
また、専門スタッフが成約まで無料でサポートいたしますので、安心してM&Aを行うことができます。
まとめ
会社の立ち上げにはさまざまな資金が必要です。事前に正確に予測し、余裕を持って資金を調達しましょう。資金を節約しつつ、起業を成功させるにはM&Aもおすすめです。検討されている方は、実績豊富で満足度の高いマッチングを実現するバトンズまでお気軽にお問い合わせください。
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