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ベンチャーキャピタル(VC)から出資を受けるメリットとデメリットを徹底比較!

2022年05月24日

起業して間もないベンチャー企業にとって、資金援助を得られる「ベンチャーキャピタル」は非常に頼もしい存在ですが、一方でこの資金調達方法には必ず考慮しておくべき点も存在します。

今回はベンチャーキャピタルの収益モデルや仕組み、役割のほか、資金援助を受けるケースでのメリット・デメリットについて解説します。

 

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)とは?役割や種類を解説!

ベンチャーキャピタルとは、一体、何をしている組織なのでしょう。ひとえにベンチャーキャピタルと言っても、その役割や種類は多岐に渡ります。実は知っているつもりになっているかもしれないベンチャーキャピタルについて、解説していきます。

 

ベンチャーキャピタル(VC)とは?

高い成長が見込めるスタートアップやベンチャーなどの未上場企業に対して出資を行う投資会社のことを指しています。

未上場のうちに投資を行って、投資先の企業が上場して成長した後に株式を売却、もしくは事業を売却して、キャピタルゲイン(当初の投資額と株式公開後の売却額との差額)を得ることを目的としています。

ただし、ベンチャーキャピタルは未上場企業に対して資金援助をするだけではありません。それと同時に、「ハンズオン」と呼ばれる経営支援を行い、企業の価値向上を図ります。こうすることでキャピタルゲインがより高まるよう、支援を行っています。

ベンチャーキャピタルは、ただお金儲けのために投資を行っているのではありません。今、社会に蔓延している課題や不自由を解消するビジネス展開を果たせる起業家との出会いを求めています。

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)の種類

一口にベンチャーキャピタルといっても運営元が異なり、それぞれ独自の特徴をもっています。ここでは、それぞれのベンチャーキャピタルについて解説します。

 

独立系ベンチャーキャピタル(VC)

投資家が独立して立ち上げたベンチャーキャピタルのことです。起業経験の豊かなベンチャーキャピタリストが、独自のノウハウを提供しています。出資する企業との心理的な距離感も近いため、成長を見込んだ支援と出資を行うことができるという点に特徴があります。

 

政府系ベンチャーキャピタル(VC)

産業革新機構など、政府や地方公共団体によって設立されたベンチャーキャピタルのことです。日本のグローバル化を推進することを目的として、高い技術力を持った中小企業やベンチャー企業に出資します。技術力が高くても金融機関からの融資を受けにくいという現状を打開し、解決していくという目的で運営しています。

 

事業会社系ベンチャーキャピタル(コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)

事業会社が外部のベンチャー企業に投資を行うベンチャーキャピタルのことです。株式の上場や売却によって資金を回収するだけではなく、自社の事業との相乗効果を期待し出資しています。そのため、新規性・専門性が高い分野へ投資を行うという特徴があります。

 

金融機関系ベンチャーキャピタル(VC)

銀行などの金融機関が設立したベンチャーキャピタルのことです。今後、成長する見込みがあると判断した企業に対し出資を行い、株式上場後の売却などを目的にしています。また、企業成長後の将来的な融資先を確保して、引き続きその企業と取引していくことを目的としています。

 

ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達を行うメリット

ベンチャーキャピタルからの資金調達には以下のようなメリットがあります。

 

 

無担保かつ返金義務がない!

一般的にお金を借りた場合、返済する義務が発生するのですが、ベンチャーキャピタルから調達した資金に返済義務はありません。もし投資に成功すれば、数百倍のリターンがある変わりに、返済義務がないということになります。

起業家の立場からすれば、ビジネスで勝負できる環境が揃い、失敗したときに負う責任が少ないというメリットがあります。

銀行や日本政策金融公庫などは、会社の権利を持つことができない代わりに、返済義務が発生するというわけです。したがって、開業当初においては日本政策金融公庫、銀行から融資を受けておいて、さらに企業を大きくしたい場合にベンチャーキャピタル、エンジェル投資家からの投資を受けるというケースが多くなっています。

 

 

資金繰りの手間を削減でき、リソースを事業の成長に集中できる!

ベンチャーキャピタルから投資を受けることで、財務状況が改善し、金融機関からの融資を受けやすくなる可能性があります。有名なベンチャーキャピタルから資金援助を受けると、「この企業の事業内容やビジネスモデルは、ベンチャーキャピタルから評価される水準」と世間から認知されるわけです。

事業をさらに拡大したいと考えたときに、追加出資を受けらると、事業成長のためにリソースを集中させることができるため、資金繰りの手間を削減することができます。

 

 

投資先が提携しあうことで、事業の成長スピードをアップ!

ベンチャーキャピタルは複数の企業に投資しています。たとえば投資先の企業同士が事業提携をした場合、相乗効果を得られる場合があります。

事業提携を実施することで企業が成長すれば、ベンチャーキャピタルはより多くのキャピタルゲインを受け取れることになります。このように、ベンチャーキャピタル側にもメリットが生じれば、積極的に事業提携先の紹介の話が上がるようになり、自ずと事業の成長スピードを高めることができます。

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)の経営資源・経営ノウハウを活用できる

一般的にベンチャー企業の経営陣は年齢が若く、経営者目線での経験や経営に関する知識が不足しているケースがあります。そこで、役員の派遣など、ベンチャーキャピタルが経営に関与することによって、ベンチャーキャピタルが持っているスキルやノウハウを学ぶことが可能です。

これにより、自社事業の確認や見直しなどができるようになり、結果、経営が円滑に進むようになっていきます。

ベンチャーキャピタルの目的は企業売却、株式売却のために事業を成長させることなので、使える経営資源、新しいアイディアがあれば資金以外にも供給を行ってくれます。

数億円を調達できたとしても、その大量の資金を効果的に使えなければ意味がありません。そこで、ベンチャーキャピタルの幹部が資金提供先の打ち合わせに参加することもよくあり、商品、人材、マーケティング、そしてブランディングなど、数ある選択肢に対して適切な資金の使い方をレクチャーします。ベンチャーキャピタルのなかには、オフィスまで提供してくれるところもあります。

 

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)から資金調達を行うデメリット

一方で、ベンチャーキャピタルから出資を受けることにはデメリットもあります。

 

自社の持ち株を失う

当然のことながら、自社株式との交換によって資金を手に入れた場合は、相手に株の所有権が移ってしまいます。したがって、企業の売却や株式の売却の際に自分たちが手に入れられる資本が減ってしまいます。また、経営権を握られ経営の自由が少なくなる場合もあります。

 

経営者の決定権が低くなる可能性がある

株式を増やすことで出資を受ける、第三者割当増資により株式の数が増えた場合、経営者の株式保有率が低下します。それにより上場後には創業社長が辞任に追い込まれるケースもありますが、株式保有率の低下は最終的に上場を目指す会社はいずれ通る道です。上場を目指している経営者にとっては、ベンチャーキャピタルからの出資によるデメリットとは考えなくてもよいでしょう。

 

将来性がなくなった場合、早期に足切りされる可能性がある

ベンチャーキャピタルの目的は、将来性がある企業に投資して利益を得ることです。株式上場や経営計画がうまくいかず、その結果利益が出ないと判断された場合、出資金の回収が早期におこなわれ、足切りにされる可能性があります。

 

ベンチャーキャピタル(VC)のアドバイスが正しいとは限らない

ベンチャーキャピタリストのなかには起業経験のない方や、業務を熟知していない方もいることがあり、一般論やフレームワークを事業に当てはめる方もいらっしゃいます。先進的なことをしているのに、不適切なアドバイスによってストレスを抱えたり、事業を前に進めることができない場合もあるので注意が必要です。

 

 

資金調達を受ける際に必要なポイント

ベンチャーキャピタルは資金調達に苦しむベンチャー企業・スタートアップ企業にとっては頼もしい存在です。しかし、どの企業でも出資してくれるわけではなく、厳しい審査があります。審査を通るために必要なポイントをご紹介します。

 

経営陣の質を上げること

ベンチャーキャピタルは、経営陣の質を最も重視しています。現在経営している分野でどの程度のキャリアを有しているのか、明確でしっかりとしたビジョンが描かれており、行動に移すことができる経営者と、根拠のある数値にもとづいた戦略を立てることができる経営陣のサポートメンバーが存在しているのかなど、しっかりと企業を見ています。

 

競合他社と比べて、優位性のある商品・サービスであること

ベンチャーキャピタルは、商品やサービスの優位性を重視します。商品やサービスが競合会社と比較して、圧倒的な強みを持ち、市場においての優位性があるのかを見ています。

特に、商品やサービスがユーザーに受け入れられるものであること、その商品が長期的に売れるものであるかなどが、大変重要な指標になっています。

 

参入する市場が拡大・成長の見込みがあること

ベンチャーキャピタルは、投資先企業が展開している市場の成長性も重視しています。

・一定以上の市場が存在していること

・今後も成長性が見込めること

上記2点が大切なポイントです。

「市場の成長性」は非常に重要で、現時点でたくさんの収益が上がっているかどうかよりも、この2点投資をするかどうかの判断基準になっています。

 

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)以外からの資金調達も検討する

先述の通りベンチャーキャピタルの審査は厳しく、必ずしも出資を受けられるとは限りません。そのため、あらかじめそれ以外の選択肢も検討しておく必要があります。

 

自己資本・知人・友人からの借り入れ

資金調達を最も簡単に済ませる方法は、親族、友人、知人などからの借り入れです。会社が軌道に乗るまでは、返済に手が回らないだけではなく、破産してしまう可能性すらあります。

自己資金と借り入れを合計して、どれくらいの資金力を得られるのかをしっかりと見極める必要があります。まずは、周囲にいる力になってくれる人に声を掛けて、事業の説明をしっかりと行いましょう。

友人・知人は、前提として、借りられないつもりで交渉するのが良いでしょう。もし資金を調達したいと思えば、プレゼンテーションをしっかり行ってリターンを用意しておかなければなりません。

友人・知人から資金調達ができたら、

・返済期限

・月々の返済額

 

などを書面に記載し、金銭消費貸借契約書として互いに保有するようにしておくのが良いでしょう。

 

金融機関からの融資 

銀行などのような金融機関からのプロパー融資と信用保証協会の保証付き融資があります。

プロパー融資とは銀行が直接、自身の責任で融資を行ってくれる仕組みのことです。メリットは保証料が不要であることと、融資の限度額がなくなることです。デメリットは審査が厳しいために、初期の資金調達には向いていないことです。利益を生み出すサイクルが出来上がっていない状態では、どんなに綿密な事業計画書を作成したとしても審査には通りにくいと考えられます。

初期の資金調達である場合に重宝するのが保証付き融資です。保証付き融資は、資金調達の保証人に信用保証協会になってもらうことによって受けることができる融資のことです。融資額はプロパー融資に比べて少ないものの、設立して間もない企業に対しても資金を調達してくれますので、まずは信用保証協会の保証付き融資によって銀行に対する信用を獲得して、さらなる事業拡大が必要になってきた段階で、プロパー融資を受けるようにするのが良いでしょう。

 

 

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、最近登場した新しい資金調達方法です。誰でも投資者になることができるのが特徴で、こんなビジネスをやりたいのですが資金が足りませんというメッセージを発信し、それを見て納得してくれた人が出資を行うサービスです。クラウドファンディングにはリターンが用意されていて、出資額に応じてリターンの特典も豪華になります。

SNSが普及していることもあり、実際に多くの人がインターネットを活用してクラウドファンディングを実施し、気軽に資金調達をすることができる時代になってきています。選択肢の一つとして、クラウドファンディングを利用するのも良いかもしれません。

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)と繋がる、知り合うには?

それではベンチャーキャピタルと知り合い、出資を交渉するにはどうしたらいいのでしょうか。3つの方法をご紹介します。

 

 

自身で調べて飛び込む

電話やメールで問い合わせてベンチャーキャピタルに接蝕します。訪問する際には事業計画書を持参して、自身の事業をしっかりとプレゼンテーションできるようにします。また投資を受けて事業を成長させようとする起業家と、有望な事業を支援したい投資家を繋げるマッチングサービスを活用するのも有効です。

 

 

知人や友人、周囲から紹介を受ける

キャピタリストと知り合いであるという場合においては紹介してもらうのが最も簡単な方法です。とりわけ、その経営者の会社が、かつてベンチャーキャピタルから出資を受けていたことがある場合などにおいては、紹介を受けることによってベンチャーキャピタルの信頼は増していくのです。

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)の目に留まる行動をする

昨今ではスタートアップ企業を対象としたプレゼンテーション大会「ピッチコンテスト」が、様々な場所で開催されています。そこでは、著名な経営者や投資家の前で、自分の会社の商品やサービスのプレゼンテーションを行います。プレゼンテーションが経営者や投資家の目に留まり、出資へつながるケースもあるようです。

いかに短時間のうちに自らの想いや商品・サービスの将来性を伝えられるかが大きなポイントです。

また、ベンチャー企業と投資家が出会う機会を、インターネットを介して提供してくれるサービスも登場しています。そういったサービスを有効活用し、人脈を構築することで事業連携につながったり、新たな気づきを与えてくれる機会も増えています。ベンチャーキャピタルの目に留まるためには、積極的にピッチコンテストなどに参加したり、講演会やセミナーなど、様々なイベントに参加して接点を持つことを心がけましょう。

 

 

ベンチャーキャピタル(VC)と出会うために

近年は、資金を供給してくれる組織やコミュニティーが一昔前と比べると格段に増えています。

投資金額に制限があるため、ベンチャーキャピタルもすぐに選定を行わなければなりません。一度、ベンチャーキャピタルに断られたからといって、すぐに諦めず、数多くのベンチャーキャピタルと接点を持つように行動しましょう。また、近年活発化しているマッチングサービス(資金調達をしたい企業と出資をしたい企業を繋ぐサービス)なども、大変有効で、資金調達をしたい企業は、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

 

 

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