多様な商品が溢れ、商品のライフサイクルが短くなっている昨今、発売初期にいかに売上を最大化するかが販売戦略の肝になっています。そこで注目を集めているのが「垂直立ち上げ」です。
垂直立ち上げのメリット・デメリットに触れながら、成功する販売戦略の描き方を紹介します。
垂直立ち上げとは
垂直立ち上げとは、製品の販売初期に最大の売上を達成できるよう、発売と同時にフル生産体制を整える戦略です。
もともと垂直立ち上げは、パナソニックが赤字を回復するためにとった戦略だとされています。現代では市場の変化と共に普遍的な価値を持つ戦略として広く浸透しつつあります。
従来は、初期不良などが起きた際にすぐ対応できるように製品を発売してから段階的に生産設備を拡大するのが一般的な戦略でした。しかし昨今の日本では商品の多様化が進み、発売初期段階で売上のピークを迎えるというケースが増加しています。それを受け、初期からフル体制で生産し、高いシェアと利益を獲得しようとする動きが広がっていきました。
垂直立ち上げのメリット・デメリット
垂直立ち上げは、メリット・デメリットの両面を知った上で行う必要があります。以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
垂直立ち上げのメリット
垂直立ち上げのメリットは、短期間で売上の最大化を目指しやすくなることなどがあります。
短期間で売上・利益を最大化できる
昨今の商品は、発売初期に売上のピークを迎え、その後値下げなどにより徐々に利益率が低下していく傾向にあり、商品が世に出てから消えてしまうまでの「寿命」が短くなっています。そのため、発売初期の短期間で開発コストを回収する必要があります。
垂直立ち上げを行えば、製品の発売と同時に大量生産を開始することができます。その結果、発売初期の高い需要に対して十分な供給を行うことができ、売上・利益を最大化させることに繋がります。
シェアと競争優位性の確保
垂直立ち上げによって発売と同時に生産を最大化することで、商品への注目度が高い初期段階から、最速で売上の拡大ができます。また、大量生産を実現できれば商品価格を抑えることが可能です。その結果、競争相手と品質・価格の面で優位に立ち、シェアを大きく拡大することが期待できます。
機会損失の心配がない
垂直立ち上げを行えば、いち早く本格的に製品を生産・発売することができます。競争相手が後から参入することで起きる機会損失をしてしまうという心配もありません。
垂直立ち上げのデメリット
一方で垂直立ち上げにはデメリットもあります。
ハイリスク・高コスト
垂直立ち上げで商品を販売する場合は、類似事例のない中で先行者として動くことになります。そのため市場分析が難しく、製品が本当に売れるかどうかの見極めを慎重に行わなければなりません。このような状態で大量生産ラインを整備することにはリスクがあり、大規模なコストも発生します。ただしその分、商品がヒットした際には競争相手がいないため大きなリターンを得ることができるでしょう。
自社の企画開発力に大きく左右される
垂直立ち上げは、優れた製品でなければ効果を発揮しない戦略です。そのため企画開発力が必要になります。企画開発の際は、市場のニーズや消費者の行動を踏まえて商品案を練るものですが、この際に自社の企画力や生産技術がなければ、どれだけ垂直立ち上げに力を入れてもメリットを得ることはできません。
垂直立ち上げを成功させるポイント
ここまで垂直立ち上げのメリット・デメリットについて紹介してきましたが、成功させるにはどのようなポイントに注目すれば良いのでしょうか。ここからは成功のための4つのポイントを紹介します。
製品のライフサイクルを見極める
まず重要なのは、製品のライフサイクルを正しく見極めることです。プロダクトライフサイクル(PLC)の理論を参考に、一つひとつの製品のライフスタイルを考えましょう。PLC理論では、製品が市場に投入されてから消えてしまうまでのステップを5段階にわけて考えます。
一般的に製品は、「導入期」「成長期」「成熟期」「飽和期」「衰退期」の5つの言葉で表せるステップを辿ります。従来は「成長期」「成熟期」に利益が最大化するのが一般的でしたが、最近では「導入期」から「成長期」にかけての売上がピークになる傾向にあります。この初期段階に注目し、どのくらいで売上のピークが来るのか、いつまでにコストを回収すればいいのかを予想した上で戦略を立てましょう。
サプライチェーンマネジメントシステムの導入
サプライチェーンマネジメントを導入することでコストを抑え、生産体制を強化することも重要です。サプライチェーンマネジメントとは、原料調達から完成品販売・取引までの工程全体を、企業が管理することです。全体を一括で管理することで、無駄なコストや時間を抑えることができます。さらに、すべての工程が企業の管理下にあることで、需要が変化した場合などに柔軟に生産体制を変化させることができ、需要と供給のバランスを臨機応変に整えることが可能です。
ITの力で企画開発期間を短縮
ITの力を活用することも、成功の大きな助けとなります。ITを活用したツールや分析ソフトを使っていち早くミスや不具合を検知し改善することができれば、製品のスムーズな製造が叶い、変化の激しい市場に対応していけるでしょう。また、想定されるあらゆる不備についてあらかじめコンピュータ上でシミュレーションを実施しておけば、予期せぬ事態が起きた場合にも冷静に事態収拾を行うことができます。
M&Aで自社に足りない要素を補う
垂直立ち上げに必要な環境を自社で作るのが難しいという場合、M&Aによって補完するのもひとつの手段です。
たとえば生産設備が不足していている場合、または特定の分野におけるノウハウが足りないという場合、M&Aによる事業拡大は、既存企業のリソースを使って自社の生産力を高めるための有効な手段です。さらにM&Aのやり方次第では、ノウハウを持った買収先企業の人材をそのまま雇用することもできます。M&Aは大量生産に向けた準備を急速に進める際に有効な手段です。
垂直立ち上げを行うならバトンズ
M&Aによって垂直立ち上げを成功させたいという場合は、バトンズの利用がおすすめです。バトンズは、国内最大級のM&A総合支援プラットフォームで全国規模で案件を揃えており、6,000件以上の案件の中からご自身の事業にマッチした企業を探すことができます。成約までのスピードも速く、平均3ヵ月、最短1週間で成約した事例があります。ご利用の際は、専門スタッフが成約まで無料でサポートするため、初心者でも安心して利用することができます。
まとめ
垂直立ち上げは、現代の製造業にとって重要な戦略です。しかし成功させるためにはさまざまな準備が必要なのも事実。自社の力だけで垂直立ち上げを導入することが難しいという場合は、バトンズでM&Aを検討してみましょう。
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