少子高齢化が年々深刻化する中、労働者の人手不足が問題視されています。今後はますます労働人口が減っていき、特に中小企業においてはさらに人材不足に悩まされることが予想されます。
本記事では人手不足問題の実態や原因を解析し、取り得る対策について紹介していきます。
中小企業が抱える人手不足問題の実態
中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構が調査した、従業員数過不足DIの結果の推移をみると2009年から下降に転じています。
従業員数過不足DIとは、今現在従業員の方が「過剰」であると答えた企業の割合から、「不足」していると答えた企業の割合を引いた値のことを指します。
この数値が下降するということは、人手不足がより深刻化してきていることを表しているのです。
2013年の終わりからは全ての業種、特に建設業・サービス業が顕著に下降しているのが見て取れます。この人手不足は規模の小さな会社ほどより深刻な状況になっており、その大きな理由のひとつとして人材の採用が困難な状況にあるという点があげられます。
中小企業における人手不足問題の原因とは
なぜ中小企業が人手不足に陥ってしまうのか、その原因を3つ紹介していきます。原因を知ることで人手不足を解決に導く糸口を見つけましょう。
生産年齢人口・労働力人口の減少
第一に生産年齢人口や労働力人口の減少があげられます。
生産年齢人口は1995年をピークに減少傾向にあり、2015年には7,700万人にまで減少、2060年には4,800万人まで減少するといった推計もあり、今後ますます人手不足が深刻化していくことが予想されます。労働力人口も44歳以下が減少傾向にあります。
しかし、少子高齢化の影響で55歳以上の労働人口が増加傾向にあり、その中でも特に60歳以上の増加率が高くなっています。働き盛りである若年層の労働力人口減少が最も深刻な課題であり、解決策を早急に実施することが各企業に求められています。
有効求人倍率の上昇・売り手市場
売り手市場であることが企業の人手不足を招く要因でもあります。
リーマンショック以降は徐々に景気が上向き傾向にあり、2021年11月現在の有効求人倍率は1.15倍・新規求人倍率は2.13倍と高い水準を維持しています。そのため人材を確保したい企業側の競争が激しくなり、中小企業は人材を集められない現実に直面しています。
この人手不足の傾向は企業の規模が小さくなればより深刻化し、従業員数299人以下の企業の求人倍率は約3〜4倍で推移していましたが、足元では上昇傾向にあり、2017年度には6.4倍と大きく跳ね上がっています。
大企業と比較される福利厚生
中小企業の有効求人倍率が高くなる一方、大企業側は1倍前後で推移しています。その理由として福利厚生や業務量などを比較し、より充実している大企業へと労働力人口が流れていることが考えられます。
中小企業側が一度人手不足に陥ってしまうと、1人当たりの作業量が増加し、残業が増えた結果、作業効率が低下するなど職場環境の悪循環に陥ってしまうのです。こういった一連の流れがさらなる離職者を生む原因のひとつにもなるため、人手不足に対して早めの対策が求められています。
中小企業の人手不足を解消するためには?
今後生産人口の減少に伴い、人手不足はさらに進むと考えられています。
そこで中小企業における人手不足を解消する対策には、どのようなものが考えられるのでしょうか。さらに人手不足が深刻化する将来を見据えて対策を取ることで人手不足問題の解決に繋げましょう。
ITを活用して業務の効率化を図る
人手不足が深刻化する中では、見える化などの業務効率化や顧客への対応強化・付加価値の向上など、ITを活用した生産性の向上などの取り組みが必要です。
クラウド会計サービスを導入することで経理業務の大幅削減や、リアルタイムの作業工程の見える化による生産性の向上など、ITを活用することで労働力に余裕が生まれ、人手不足の解消に繋がる他、さまざまな経営課題を解決に導くことができるでしょう。
ロボットやITツールの導入にはハードルが高いものもありますが、一度導入すると効率化が図れるものも多く、少しずつ検討してみることをおすすめします。
また中小企業や小規模事業者が、ITツール導入を支援する際に問題となるのが導入費用ですが、国のサポートを受けられる補助金制度が整備されています。
「IT導入補助金」は、経済産業省がITツール導入の一部を負担したり、クラウド利用料を最大2年分補助するなど、企業間取引のデジタル化の推進を目指して行われている制度です。補助金であるため審査すれば全ての事業者が交付を受けられるものではありませんが、2022年度も最大450万円の補助金が交付される予定でそのメリットは大きなものです。
ITツールの導入を検討されている方は、IT導入補助金の申請を行ってみてはいかがでしょうか。
出典:IT導入補助金2022
一部業務の外部委託をすることでゆとりを持つ
企業によっては、繁忙期や閑散期など業務量の変化に対応する人員の確保に悩みを持つ方も少なくありません。採用できたとしても、教育にかかるコストや退職してしまうリスクなど課題も多く残ります。
そんな時には外部委託やアウトソーシングを活用することで、抱えている業務量や案件数に応じて臨機応変に人材を確保できるメリットがあります。
社外に委託することにより人材育成にかかるコストや時間を削減でき、人手不足の中小企業にとっても柔軟に対応できるため労働力の確保をスムーズに進めることができます。
幅広い人材を積極的に採用する
労働人口の減少に伴い、社会の多様化は年々進んでいます。
従業員の定年を65歳未満と定める企業側は、定年を65歳まで引き上げる・65歳までの継続雇用制度の導入・定年の廃止のいずれかの措置を実施する必要があります。2021年4月以降は、70歳までの就業機会の確保に努めるなど定年退職後の従業員再雇用が重要視されています。
また、60歳以上の高齢者を雇用することで、特定求職者雇用開発助成金を受けることも可能です。この他にも外国人労働者の採用など、幅広く人材を採用することで人手不足解消にも繋がります。
コストがかかる場合もありますが、育休・産休制度を整備・労働環境のバリアフリー化を推進するなど、働きやすい環境を改善することで離職者を減らす取り組みも重要です。
労働条件・労働環境を見直す
売り手市場の中でどれだけの人材を確保できるかは、中小企業にとって大きな課題のひとつです。その人材を確保するために重要なのは労働条件と労働環境でしょう。
福利厚生や待遇の見直しを実施し、好条件を提示することができれば新しい人材採用に繋がり、今働いている社員の離職を防ぐ効果も期待できます。
しかし待遇改善に取り組むことで会社の財政圧迫を招く恐れもあるため、労働条件と労働環境をどこまで充実させるのかは慎重な見極めが必要です。
M&Aで規模を拡大し人材も確保する
人手不足解消のきっかけとして、M&Aも戦略の1つです。
相手の従業員を合わせた数が労働力となり、即戦力の人材確保にもつながり大きなメリットがあります。お互いの強みを活かす合併は、新たな企業価値が生まれるきっかけにもつながり、相手の持つ技術やノウハウは業務効率化の強い味方にもなります。
しかし、合併先の企業の経営状態を正しく見極めることは、リスクを回避するためにも重要です。M&Aを進める際は、自社の経営状況と買収先の経営状況とを照らし合わせて慎重に計画を立てましょう。
中小企業の人材不足をM&Aで解消するならバトンズ
人手不足に悩む企業にとって、M&Aは問題解決に有効な手段です。
M&Aによる経営課題の解決は、相手の持つ新技術の継承や、業務効率化・経営基盤の強化など、人材確保以外にもさまざまなメリットがあります。
BATONZ(バトンズ)は、国内最大級の成約実績を誇るM&A・事業継承支援サービスを提供しています。圧倒的なスピード・利用料無料・専門スタッフの支援体制・売り手企業の財務諸表の徹底調査など、より満足度の高いM&A実現に向けて充実したサポート体制を整えています。
バトンズは、小規模や零細企業だけでなく中小企業も含めた豊富な案件数を取り扱っているため、自社の人手不足解消や経営課題の解決にぴったりの企業を見つけることができます。
人手不足解消だけでなく、事業拡大なども視野に入れてM&Aによる成長戦略を検討する際は、お気軽にご相談ください。
まとめ
人材不足が深刻化している昨今、中小企業が取りうる対策は多数あります。
ITの活用・外部委託・労働環境の見直しなど、今できる取り組みから少しずつ実行に移していきましょう。
バトンズは、人材不足に悩む中小企業の心強い味方です。
本気のM&A実現に向けて、バトンズで最適なマッチングを試してみてはいかがでしょうか。
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